電気ポット・電気ケトルの選び方
手軽にお湯が沸かせるアイテムとして人気の電気ポットと電気ケトル。ここでは、電気ポットと電気ケトルそれぞれの特徴や、搭載されている便利な機能を紹介します。ポイントは、家族の人数や生活スタイルに合わせて選ぶこと。安全性もチェックして、自分に最適な製品を見つけましょう。
2022/6/22 更新
目次
電気ポットも電気ケトルも「お湯を沸かす」という点では同じ性能の製品ですが、比較的容量が大きく保温機能を備えたものを「電気ポット」と呼んでいます。電気ポットは、大容量のお湯を常時蓄えておけるため、お湯を使いたいときにすぐに使用できます。一方、「電気ケトル」は必要な量のお湯を素早く沸かすタイプ。容量1L以下の製品が一般的で、小型・軽量のため扱いやすく、比較的小人数での使用に適しています。
電気ポットには3つの出湯方式があります。電動式は、ボタンを軽く押すだけで出湯できるタイプです。女性や高齢者など力の弱い方でも使いやすく、たくさんお湯を注ぎたいときに便利です。電気で制御されているため、便利な機能を備えた製品も多くあります。エア式は、空気圧によって出湯する方式です。電気がいらないので持ち運びができ、災害時にも便利。ただし、お湯を出すのにある程度の力が必要になります。3つめが、電動式とエア式両方の機能を兼ね備えたハイブリッド式です。電動と手動、どちらの給湯方式でもお湯を出すことができ、使用する人や場所によって使い分けられるので便利です。
出湯方式で選ぶ
「お湯を使いたいときにすぐに使える」というメリットを最大限に生かすために、電気ポットや電気ケトルには、さまざまな便利機能が搭載されています。ここでは温度調節に関わる機能と調理機能を解説します。
用途別・温度の目安
温度 | 用途 |
---|---|
98〜100度 | 紅茶やカップ麺 |
90〜95度 | コーヒー |
70度 | 赤ちゃんのミルク作り |
60度 | 玉露 |
ひと言でお湯といっても、用途によって最適な温度はさまざま。とくにお茶類は種類によって適温が違うため、温度調整機能が付いていると便利です。70度程度に調節できれば赤ちゃんのミルク作りにも最適で、調乳の負担を軽くすることができます。設定温度はメーカーによりますが、3〜7段階に分かれている製品が多く、電気ケトルでは1度単位で調節が可能なタイプもあります。まずは、用途に適した温度設定ができるかを確認しましょう。なお、電気ケトルには保温機能を備えた製品が少ないため、適温をキープしたい場合は保温機能にも注目して選ぶのがポイントです。
最低保温温度で選ぶ
温度設定で選ぶ
一度沸かしたお湯をしばらく使わない場合は、再沸騰機能が付いていると便利です。ボタンを押すだけで、冷めたお湯をすぐに沸騰させることができます。熱湯を利用するときだけ沸騰させるようにすれば、常に高い温度を保つよりも電気代の節約になります。
お湯を沸かすだけではない「調理機能」搭載モデルとは?
電気ケトルには「素早くお湯を沸かす」という役割だけではなく、調理機能を搭載したモデルがあります。調理機能を搭載したケトルは「クッキングケトル」や「おりょうりケトル」などと呼ばれ、近年、製品ラインアップも増加。製品によっては、材料を入れてメニューを選ぶだけで手軽に調理できる「自動メニュー」機能を備えたものや、ローストビーフのような低温調理に対応するものもあります。電気ケトルと鍋の用途を1台にまとめ、鍋や煮込み料理などの調理に対応する電気ケトルは、1台持っておくと非常に便利です。
電気ポットや電気ケトルは熱湯を作る家電製品。安全性を考慮した機能を備えているかは、製品を選ぶ際の重要なポイントです。とくに、小さい子供やペットがいる家庭は、しっかりとチェックしましょう。
「蒸気レス」機能は、本体の蓋(ふた)部分で蒸気をキャッチし、冷却して外に出さない機能です。高温の蒸気の発生を抑えるため、やけどのおそれがほとんどありません。一方で「蒸気セーブ」は、穏やかな加熱で沸騰させたり、注ぎ口を工夫したりして、蒸気の発生量を抑える構造です。湯気による家具の傷みややけどの危険性を考えるのであれば、「蒸気レス機能」搭載製品を選ぶとよいでしょう。
電気ポットや電気ケトルは、電源をつけっぱなしにすることが多いため、スイッチの切り忘れが気になるところ。空焚き防止機能が付いていれば、本体に水が入っていない、またはごく少量しか入っていない状態での空焚きを検知し、通電を停止してくれます。空焚きは火事や故障の原因にもなりかねないため、対策機能があると安心して使用できます。
万一本体が転倒しても、お湯を漏れにくくする機能です。電気ケトルは子供の力でも簡単に倒れることがあり、こぼれたお湯でやけどする危険性もあります。小さな子供がいる家庭では、安全な場所で使用することはもちろん、転倒湯漏れ防止機能を備えた製品を選ぶことも重要です。なお、転倒湯漏れ防止機能は、完全に湯漏れを防ぐものではありません。
二重構造の電気ケトルは、中のお湯が沸騰しても表面が熱くならないため、安心して使用できます。構造としては、外側と内側にある2つの容器の間が真空に近い状態になっていることで、お湯の熱が逃げにくく、本体表面が熱くなることもありません。保温性にもすぐれているため、沸かしたお湯の温度を長く保つことができます。
電気ポットや電気ケトルには、さまざまな材質の製品があり、耐久性や安全性のほか、味や匂いにも影響します。材質ごとに特徴が異なるため、何を重視するかを決めて選ぶとよいでしょう。
プラスチック製の電気ケトルは、軽くて扱いやすいうえ、商品ラインアップや価格帯のバリエーションも豊富に揃っています。比較的安価なものも多いため、初めて電気ケトルを使う方には有力な選択肢になります。ただし、熱によってプラスチック特有の雑味や匂いが水に移ってしまうことがあります。また、傷がつきやすく、長期間使用すると劣化しやすいため、こまめなケアが必要です。
ステンレス製の製品は耐久性があり、頑丈なのが特徴です。サビにくく傷がつきにくいため、手入れが簡単なのもうれしいポイント。ただし、熱伝導率が高く本体の表面が熱くなりやすいので、やけどには注意が必要です。小さい子供やペットがいるご家庭では、二重構造のタイプを選ぶと安心です。また、匂いに敏感な方は、ステンレス特有の金属臭や味が気になる可能性もあります。
電気ポット・電気ケトルは、水に含まれるミネラル分などの影響で、汚れがたまりやすい製品です。蓋が取り外せるタイプや本体を丸洗いできるタイプだと掃除がしやすく、毎日の手入れも簡単です。
本体の蓋を取り外すことができるタイプだと、洗いやすく、手入れが楽に行えます。毎日使用していると、カルキや水垢の汚れが目立つようになるため、中まで手を入れて掃除できるのは非常に便利です。
電気ケトルは通電する製品のため、通常丸洗いすることはできませんが、清潔に使いたいというニーズにこたえ、本体を丸洗いできる製品が登場しています。食器と同じように洗えるため、日々の手入れも楽です。
フランス発の調理器具・家電メーカーで、世界で初めてコードレス電気ケトルを発売したことで知られています。丸洗いできるタイプから安全性を重視したタイプ、8段階の温度コントロールができるタイプなど、幅広くラインアップされているのが特徴。シンプルな構造で、誰にでも使いやすいのも魅力です。
魔法瓶作りから始まった老舗の調理家電メーカーで、電気ポットでは「蒸気レスVE電気まほうびん」シリーズ、電気ケトルでは「蒸気レス電気ケトル」シリーズが人気。蒸気レスのほか、転倒お湯もれ防止機能や空焚き防止機能、電気ケトルの本体二重構造など、安全にこだわった製品作りで、安心して使用できます。
大阪に本社を置き、魔法瓶を中心に、炊飯器、電気ポットなどの製造販売を行う家電メーカー。電気ポットでは、電気とまほうびんを組み合わせて保温することで、消費電力量を抑える「優湯生」シリーズが人気。電気ケトルでは、コーヒーをじっくりいれるのに適した「ハンドドリップモード」搭載モデルが人気です。
生活家電や日用品などをリーズナブルな価格で提供するアイリスオーヤマ。電気ポットは「メカ式」と「マイコン式」の2シリーズを展開し、電気ケトルでは、シンプルなモデルのほか「ガラスケトル」「ドリップケトル」などを展開しています。すべての電気ケトルに自動電源オフ機能と、空焚き防止機能が搭載されています。
イタリアの家電ブランドで、特にオイルヒーターやコーヒーメーカーなどが人気のデロンギ。電気ケトルでも、シンプルな構造のスタンダードモデルから、保温機能や温度設定機能を備えたハイエンドモデルまで、さまざまな製品を展開しています。材質にはすべてステンレスが使用されており、重厚な作りが特徴的です。
バルミューダは、2003年に東京で設立された家電メーカー。扇風機やトースター、炊飯器などの生活家電や、スマートフォンなどのIT機器の分野で、幅広いアイテムを展開しています。バルミューダが提供する電気ケトルの特徴は、デザイン性の高さ。注ぎ口が細いフォルムで取り回しやすい点も人気の理由です。
電気ケトルを選ぶ際は、注ぎ口の形状にも注目しましょう。最も多く採用されているのは三角口タイプ。その名のとおり、注ぎ口が三角形で、カップラーメンや料理など、お湯を一気に注ぎたいときに適しています。一方、細口タイプは、お湯が細く出る分、ゆっくりと注げるのが特徴です。注ぐ量を調節しやすいため、コーヒーのハンドドリップに最適です。
電気ケトルは、沸騰するまでのスピードが速いとうたっている商品が多くありますが、商品によってかかる時間はさまざま。多くのメーカーは、コーヒー1杯分(140ml)の水を沸騰させるのにかかる時間を基準としています。たとえば、ティファールの「アプレシア・プラス0.8L」では、カップ1杯分の沸騰時間が約53秒。コーヒー1杯分のお湯を手早く沸かしたい人にはよい目安になります。また、満水時の沸騰時間が示されている場合は、ポットやケトルの最大水位まで水を入れた際の沸騰時間を表しています。ただし、沸騰までにかかる時間は水温や室温にも左右されるため、あくまでも目安として捉えましょう。
沸騰までに要す時間(カップ1杯分)
沸騰までに要す時間(満水時)
クエン酸を入れて沸騰させます。
普段水しか入れない電気ポットや電気ケトルですが、内部は意外と汚れています。汚れの正体は、水中のミネラル分などがこびりついて固まったもの。とはいえ、ごしごしこするのはNG。いつもの要領で水を沸騰させるときにクエン酸も一緒に入れて沸騰させ、しばらく放置してからすすぐのが一般的なメンテナンス方法です。正しい対策がマニュアルに記載されているので、最初に確認しましょう。
水道水を使うほうがよいでしょう。
ミネラルウォーターを入れてお湯にすることはできます。しかし、水道水よりもミネラル分が多いので、その分汚れもたくさん付いてしまいます。ミネラルウォーターを使う際は、小まめにメンテナンスをしましょう。
塩分があるのであれば、使わないほうがいいでしょう。
海洋深層水はもともと海水です。完全に脱塩していればいいのですが、塩分が残っているとさびの原因になります。塩分が残っている水は電気ポット・電気ケトルには使わないほうがいいでしょう。メーカーによっては、ウェブサイトや取り扱い説明書などに海洋深層水は使わないよう明記している場合もあります。
事故や故障の原因になるので避けましょう。
食材が蒸気口をふさいだりパッケージが膨張したりして、お湯があふれ出す可能性があります。また、コーヒーやスープといった水以外のものを入れて加熱すると、変色や焦げ付きなどの原因になります。いずれもメーカーの保証対象外になるので、注意してください。
あります。再沸騰できるものも存在します。
電気ケトルにも、一定時間保温してくれる製品や、電気ポットと同じように温度設定や再沸騰ができるものもあります。しかし、その分コンパクトさのメリットは失われることになります。求める機能・性能を見極めて製品を選ぶようにしましょう。
電気ケトルのほうが消費電力は抑えられますが、使い方も重要です。
電気ポットも電気ケトルも同じ量のお湯を沸かすのであれば、消費電力に大差はありませんが、保温機能がない分、電気ケトルのほうが消費電力は少なくなります。とはいえ、電気ポットは長時間保温することが前提の機器なので、保温性能が高い構造になっています。保温性能の低いケトルを使用して頻繁にお湯を沸かす使い方をすれば、消費電力が逆転する可能性もあるでしょう。より自分のライフスタイルに合った機器を選ぶほうが、ムダもなく節電につながります。
カフェドリップ給湯
電気ポットから出るお湯の量を減らし、ハンドドリップで入れているように少量でゆっくりお湯を注げる機能です。コーヒーなどをじっくり蒸らすことができるほか、お湯が飛び散りにくいのも魅力です。
カルキ
雑菌や微生物が増えないように水道水に添加されている次亜塩素酸カルシウムのことです。体に影響はありませんが、お茶などでカルキ臭さが気になる人はカルキ除去機能搭載モデルを選びましょう。
キッチンタイマー
即席麺を作る際などに便利なキッチンタイマーを搭載している製品もあります。
クエン酸
レモンや梅干しに含まれている酸っぱい成分です。炭酸カルシウムを溶かすので、電気ポットや電気ケトルについた水アカを除去するのに利用されます。
節約タイマー
外出中や就寝中に、一定時間電源をオフにしておく機能です。節電になるうえ、必要なときにはお湯になっているので、利便性も損ないません。
マグネットプラグ
電源ケーブルを足で引っかけたときに、簡単に外れて電気ポットや電気ケトルが倒れないようにする機構です。磁石の力で本体につながっており、手軽に脱着できます。
まほうびん保温、VE保温
内側と外側の層の間を真空にしたまほうびん構造を採用し、お湯の温度を落ちにくくする機能です。電気ポットの上位モデルはほぼ対応しています。