洗濯機の選び方
「縦型洗濯機とドラム式洗濯機のどちらを選んだらいい?」「どのくらいの容量が必要?」など、洗濯機を選ぶときに出てきそうなことをわかりやすく解説。あると便利な機能やメーカーの特徴を知って、家庭にぴったりな洗濯機を選びましょう。
2025/8/20 更新
目次
洗濯機を選ぶときには、家庭で出る洗濯物の汚れを落としやすいのは「ドラム式」「縦型」のどちらかを検討し、乾燥機能を使うか使わないかでタイプを選びます。それと同時に、家庭に必要な容量を決め、そのなかから、使いたい機能や必要なスペックを備えたモデルを絞り込むとよいでしょう。
洗濯機には「ドラム式」「縦型」「2槽式」など種類がありますが、家庭で使われるのは「ドラム式」と「縦型」が主流。そのなかで、乾燥機能を搭載した「ドラム式洗濯乾燥機」「縦型洗濯乾燥機」、乾燥機能のない「ドラム式洗濯機」「全自動洗濯機」に分類されます。
斜め横や横向きに配置されたドラムを回転させて持ち上げた洗濯物を落として洗う「たたき洗い」と、ドラムを左右に小刻みに動かす「もみ洗い」を組み合わせて洗濯します。少量の水で洗浄できるため節水性が高く、洗浄液の濃度も高くなるので、皮脂汚れをはじめとした油汚れに効果的。洗濯物を広げて乾かせるため、効率よく乾燥できます。
パルセーターの回転で水をかくはんし、その水流で衣類を動かして洗濯物同士をこすり合わせる「もみ洗い」で汚れを落とします。この洗い方は、泥などの固形汚れに効果的。洗濯物が沈むくらい水を溜めて洗うため、色移りや汚れ戻りは少なめ。そのいっぽうで、使用水量が多く、1回の洗濯で使う水量はドラム式の倍近くかかる傾向。ドラム式ほど洗濯物が広がらないので、乾燥効率は低いです。
洗浄を重視するなら「縦型」、乾燥を重視するなら「ドラム式」とよく言われますが、製品によって性能が大きく異なるため、洗浄力に関してはどちらが上とは言えません。ただし、ドラム式と縦型で洗い方が違うため、得意とする汚れや洗濯物へのダメージ、節水性が異なります。乾燥に関しては、ドラム式のほうが圧倒的に上。「ヒートポンプ乾燥方式」を採用したモデルなら節電も期待できます。
ドラム式洗濯機 | 縦型洗濯機 | |||
---|---|---|---|---|
ドラム式洗濯乾燥機 (ヒートポンプ乾燥方式) |
ドラム式洗濯乾燥機 (ヒーター乾燥方式) |
全自動洗濯機 (乾燥機能なし) |
縦型洗濯乾燥機 (ヒーター乾燥方式) |
|
洗浄力 | 皮脂汚れに強い | 固形汚れ・泥汚れに強い | ||
節水性 | ◎ | ○ (排気方法による) | △ | |
乾燥の仕上がり | ヒーター乾燥方式ほどカラッとは 仕上がらないものが多い |
カラッとした仕上がり | - | カラッとした仕上がり |
節電性 | ◎ | △ | ◎ | △ |
衣類のからみ、 傷みやすさ |
△ | ○ | ||
色移りしやすさ | ○ | △ | ||
設置スペース | 比較的大きい | コンパクトな機種も多い |
とにかくガシガシ洗いたいなら「2槽式」
洗濯槽と脱水槽があり、それぞれの槽で洗濯・脱水を行います。洗濯やすすぎが終わった後、洗濯物を洗濯槽から脱水槽に移すなどの手間はかかりますが、すべて手動で設定するため、洗濯や脱水の時間を調整でき、洗濯だけ、すすぎだけ、脱水だけと選ぶことも可能。洗濯と脱水を同時進行もできます。
洗濯機の種類を決めるのと同時に、家庭に必要な洗濯容量を決定します。一般的に言われている、大人ひとりの1日分の洗濯物の量は「約1.5kg」。「1.5kg×家族の人数」で1日に出る洗濯物の量(目安)が算出できます。
ひとり分の洗濯物の量は約1.5kgが目安ですが、実際はもっと多くなるはず。たとえば、ワイシャツ1枚、綿パンツ1本、半袖肌着1枚、トランクス1枚、靴下1足、ハンカチ1枚、パジャマ上下1着、タオル2枚で約1.5kgなので、バスタオル1枚が追加されると目安の量を超えてしまいます。 何日か分をまとめて洗濯したり、布団シーツやカバーなど洗ったりすることを考慮すると、目安よりも大きめの容量の洗濯機を選んだほうが快適に使えるでしょう。
洗濯機に必要な容量(目安)を求める計算式で算出される数値とは異なりますが、価格.comでの売れ筋を参考に、人数別の容量をまとめました。
「乾燥容量」は「洗濯容量」よりも小さいので必ず確認を!
乾燥機能付きの洗濯機には、「洗濯・脱水容量」のほかに、乾燥できる量を示す「乾燥容量」が記載されています。乾燥容量は洗濯・脱水容量の半分くらいなので、ドラム式洗濯乾燥機や縦型洗濯乾燥機で洗濯〜乾燥運転したい人は、忘れずにチェックしておきましょう。
最近の洗濯機に搭載されている人気の機能を紹介します。汚れ落ち、操作やお手入れの手間、電気代などに影響するので、こうした機能から製品を絞り込んでもいいでしょう。
液体洗剤や柔軟剤を本体の専用タンクに入れておけば、洗濯物の量やコースに合わせて、必要なタイミングで最適な量を自動で投入してくれる機能。面倒な計量が不要になるだけでなく、洗剤の過不足が防げるので安定した洗浄が期待できます。
主に乾燥機能を備えた洗濯機に搭載されている機能。ヒーターで温めた水温で洗浄します。特に油汚れに強く、皮脂汚れや部屋干し臭、黄ばみといった普通の洗濯では落ちにくい汚れに効果を発揮。寒い日に少し温めて洗浄力を高める15度前後、酵素系洗剤の効果が出やすい40度前後、除菌できる60度前後など、汚れや洗濯物に合わせて水温を設定可能。なお、縦型洗濯乾燥機はほとんどが温風で衣類を温めて洗う「温風洗浄」となります。
洗濯機の乾燥方式には「ヒートポンプ式」と「ヒーター式」があります。ヒートポンプ式はドラム式洗濯乾燥機の上位機種に採用されていることが多く、縦型洗濯乾燥機はすべてヒーター式です。
ヒートポンプ式は、空気中の熱を集め、その熱を温風にして洗濯物を乾かし、乾燥中に出る蒸気を水に変えて排水するエアコンなどに使用される技術を使った方式で、省エネ性が高いのが特徴。ヒーターを使うヒーター式の半分程度の電気代で乾燥できます。風温が65度くらいなので、熱による衣類のダメージが抑えられるのもメリット。その半面、カラッとした仕上がりにならないことも。ヒートポンプ式採用モデルの中には、ヒーターを補助的に使い、カラッと仕上げる製品もあります。
ヒーターで温めた熱風で洗濯物を乾かす方式。電気代はかかりますが、80度くらいの高温で乾かすため、洗濯物はカラッと仕上がります。ただ、衣類が縮んだり、傷んだりしやすい傾向。ドラム式洗濯乾燥機でヒーター式を採用しているモデルのなかには、衣類へのダメージを抑えるため、低温で乾かす製品もあります。縦型洗濯乾燥機はすべてヒーター式です。なお、ヒーター式は排気方法で「排気タイプ」と「水冷除湿タイプ」で分類されています。排気タイプは乾燥に使った熱風をそのまま洗濯機の外に排気するため、洗濯機を設置してある場所の温度と湿度が上がります。いっぽう、水冷除湿タイプは槽内の湿った空気を水道水を使って結露させ、排水口から出す仕組み。洗濯機周辺の温度や湿度はそれほど上がらないものの、空気を冷やすために水を使うので排気タイプより水道代がかかります。快適性や水道代に差が出るので、排気方法もチェックしておくと安心。
送風のみで乾燥させる「簡易乾燥機能付き洗濯機」
ドラム式洗濯乾燥機や縦型洗濯乾燥機の乾燥機能とは別物。洗濯槽を高速回転させて洗濯物の水分を飛ばす、脱水のようなものなので、洗濯物を完全に乾かすことはできません。しっかり脱水されるため、通常よりも干す時間が短くなりますが、その半面、洗濯物にシワが残りやすくなります。全自動洗濯機に搭載されている機能で、「送風乾燥」「風乾燥」風脱水」など、メーカーにより名称は異なります。
洗濯後に自動で掃除する機能。洗濯槽を水で洗い流し、内槽の外側や外槽に付いた洗剤カスなどを流してカビの発生を抑制する「槽洗浄」をはじめ、「乾燥フィルター」の自動お掃除、ドアパッキン(窓パッキン)の裏に溜まるホコリを洗い流す機能など、洗濯機のグレードにより自動お掃除の内容は異なります。
Wi-Fi機能を搭載した洗濯機とスマートフォンを連携する機能。専用のアプリで洗濯の状況を確認したり、アプリ専用の洗濯コースを選んだりできます。また、製品によっては外出先から洗濯の開始/終了時間の変更などを行うことも可能。
水道代を節約したいなら、風呂の残り湯をくみ上げて洗濯に使用する「風呂水ポンプ」が付属している製品を選ぶといいでしょう。市販の風呂水ポンプを購入して使うこともできますが、付属している洗濯機には風呂水を使用する機能がほぼ搭載されています。
脱水後に、ドラムを回転させながら送風したり、パルセーターを小刻みに動かしたりして洗濯物同士のからみをほぐす機能。縦型は特にからみやすので「ほぐし脱水」があると便利でしょう。
縦型洗濯乾燥機や全自動洗濯機にはインバーター搭載と非搭載モデルがあります。インバーター搭載モデルは洗濯物の量に合わせてモーターの回転を細かく制御するため、節電や節水効果が高いほか、運転音が静かなのがメリット。
洗剤を泡立ててから投入することで素早く繊維の奥まで浸透させ、汚れを落とす「泡洗浄」を多くの機種に採用。上位モデルには液体洗剤と柔軟剤のほかに、おしゃれ着洗剤または酵素系液体漂白剤を自動投入する「トリプル自動投入」を搭載しています。アウトドアウェアなどのはっ水機能を回復させるコースがあるのも特徴。また、全自動洗濯機では唯一、温水洗浄できる機種をラインアップしています。
日立のドラム式洗濯乾燥機と言えば、高速風&大風量でシワを伸ばしながら乾かす「風アイロン」が有名ですが、上位モデルに採用された自動おそうじ機能「らくメンテ」が好評。乾燥フィルターレス構造なので乾燥フィルターの掃除をする必要がなく、ドアパッキンの裏まで一括で掃除してくれます。縱型洗濯機の「ビートウォッシュ」は高濃度の洗浄液で洗い始めることで高い洗浄力を発揮。
繊維の隙間よりも小さい直径1μm未満の微細な泡「ウルトラファインバブル」を洗剤液や水と混合させて洗濯するため、常温の水&普通の洗濯コースで黄ばみの原因となる皮脂汚れまで落とす洗浄方法を多くの機種に採用。すすぎでも効果を発揮し、微細な泡が洗剤を吸着して洗剤残りを低減します。さらに、水道水を抗菌水に変え、銀イオンの力で部屋干し臭の原因菌を抑える「Ag+抗菌水ユニット」も搭載。
縦型は、槽の外側や底裏に発生した黒カビが槽内に侵入する心配がなく、節水性能も高い「穴なし槽」採用モデルが人気。ドラム式洗濯乾燥機の上位モデルはエアコンのフィルター自動お掃除のような機能を採用しており、乾燥フィルターのお手入れ回数を減らすとともに、乾燥性能の低下を防ぎます。さらに、毎秒100万個以上の微細な水滴を噴射する「マイクロ高圧シャワー」を洗いやすすぎで使うことで、高い洗浄力とすすぎ性能を実現するほか、節水にも貢献。
ドラムを水平に配置し、本体内のデッドスペースを有効活用することでコンパクトなボディと大容量を実現した「まっ直ぐドラム」が好評。乾燥フィルターに付着したホコリをワイパーでかき集めて洗い落としたり、ドアパッキンの溝に溜まる糸くずを洗い流したりする自動おそうじ機能も搭載しています。全自動洗濯機は超音波洗浄で部分洗いできる「らくらくSONIC」を備えたモデルなどをラインアップ。
ドラム式は乾燥機能を搭載していないタイプしかなく、全自動洗濯機がラインアップの中心。最近トレンドの洗剤の自動投入機能を搭載したモデルもありますが、柔軟剤にはあえて対応せず、「液体洗剤自動投入」とすることで本体サイズを抑えています。洗濯槽とモーターを直結させた構造で低騒音を実現するDDインバーターモーターを、大容量モデルだけでなく、5.5kgモデルに採用しているのもポイント。
洗濯機を選ぶのと同時に、設置できるサイズか、問題なく搬入できるかサイズかを確認しておきましょう。
せっかく配送してもらったのに、設置場所まで搬入できなかったというトラブルも少なくありません。本体サイズをチェックし、エレベーター、廊下、玄関など、洗濯機が通過する場所の幅や高さが十分か、手すりの有無や取り外しの可否を事前に確認しておいてください。また、経路に不安がある場合、大手量販店などでは事前の搬入見積もりを比較的低価格で行っていることもあるので、検討してみましょう。
玄関の幅が洗濯機よりも小さいと家の中に搬入できません。特殊な玄関でなければ高さは問題ありませんが、玄関の幅が「本体+10cm以上」あるか確かめておきましょう。
エレベーターを使うなら、玄関と同様に「本体幅+10cm以上」の幅があるかを確認しましょう。エレベーターに入らず階段から搬入することになると、別途料金がかかる場合があります。
階段から搬入する場合、「本体幅+10cm」以上の幅に加え、手すりの有無もチェックしましょう。踊り場の広さも忘れずに確認してください。
マンションの廊下はもちろん、家の廊下の幅も要チェック。通過する場所すべての幅と設置場所の入り口のサイズまで、しっかり確認しましょう。
洗濯機を室内に設置する場合、基本、プラスチック製の四角い皿状の「防水パン」に設置します。洗濯機ごとに設置可能な防水パンの大きさが決められているため、必ずチェックしてください。なお、洗濯容量が同じでもドラム式は縦型よりもサイズが大きめなので、買い替え時は注意しましょう。
防水パンに設置する場合は、防水パンに収まる洗濯機を選びましょう。ベランダなど室外に設置する場合、防水パンがなくても大丈夫です。
防水パンの排水口が洗濯機の左右にある場合は問題ありませんが、真下にある場合、別途追加の部材が必要になることもあります。
洗濯機には給水用の給水栓が必要です。給水栓が本体より高い位置(おおむね本体+10cm)にあれば問題ありませんが、本体よりも下にある場合は専用の部材が必要な場合があります。
ドラム式はドアを手前に開けるため、洗濯機の前側にドアが完全に開くスペースが必要です。
ドラム式のドアには、右開きと左開きがあります。設置場所に合わせて選びましょう。
少ないエネルギー(電気)で空気中から熱エネルギーを効率的に集め、大きな熱エネルギーとして利用できる技術です。
エアコンや冷蔵庫、エコキュート(ヒートポンプ技術を使った家庭用給湯システム)などにも採用されています。洗濯機では、乾燥機能としてドラム式洗濯乾燥機の上位モデルで使われています。
消費電力量で比較すると約2倍の差があります。
たとえば、6kgの洗濯物を洗濯〜乾燥運転するのにかかる消費電力量を日立のドラム式洗濯乾燥機で比べると、ヒートポンプ式の「BD-SX120JL」は約980Whなのに対し、ヒーター式の「BD-SV120JL」は約1,570Whと2倍近い数値です。1か月(31日)間、毎日1回洗濯〜乾燥運転した場合、電気代はヒートポンプ式「BD-SX120JL」が約930円、ヒーター式「BD-SV120JL」が約1,488円かかるため(1kWhあたり31円で計算)、乾燥運転を使う回数が増えるほど電気代の負担に大きな差が出ます。
製品によって異なりますが、可能です。
縦型は洗濯中に投入できますが、製品によってはロックがかかることもあります。また、縦型乾燥洗濯機で乾燥機能を使った場合、洗濯槽が高温のときにはロックが解除できないことも。ドラム式は一時停止ボタンを押し、ロックが解除されたらドアを開けられますが、洗濯中に開けると泡やドアに付いた水がこぼれることもあるので注意が必要です。
つけ置き洗い用のコースが搭載されている機種ならば、コースを指定して運転するだけで可能です。
専用のコースがない機種では、運転開始してから注水後に一時停止を行うことでつけ置き洗いできます。
ドライクリーニングのマークが付いた洗濯物に対応したコースがあれば可能です。
ただし、クリーニング店の水を使わない「ドライクリーニング」とは異なるため、洗えない衣類もあります。洗濯機により「ドライコース」「おしゃれ着コース」など名称が異なりますが、該当するコースで洗えるかを取扱説明書で確認しましょう。
糸くずフィルター
洗濯物中に出た糸くずを集めるフィルター。洗濯時に水を通過させて糸くずを集め、洗濯物への付着を防ぎます。
乾燥フィルター
乾燥運転時に洗濯物から出る綿ぼこりを集めるためのフィルターで、乾燥運転を使うたびにお手入れする必要があります。その手間を軽減するため、乾燥フィルターの自動お掃除機能を搭載した製品や、乾燥フィルターレス構造を採用した製品も登場しています。
熱湯洗濯(沸騰洗濯)
90度程度の熱湯で洗濯する機能。硬水が多い海外では熱湯でないと洗剤が溶けにくいという事情から、海外製の多くの洗濯機に搭載されています。なお、熱湯洗濯は除菌や抗菌に効果的ですが、やけどのおそれや色落ちしやすいといったデメリットもあります。