プリンタの選び方
一家に1台あると何かと便利なプリンタ。仕事で使う資料の印刷や、スマートフォンで撮影した写真の印刷、子どもの学習用プリントの印刷など、さまざまな用途で活用できます。ここでは、目的・用途別を中心にプリンタの選び方を詳しく解説します。
2024/11/5 更新
写真をきれいに印刷するには、「インクの色数」が重要です。基本は4色(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)ですが、高品質な写真印刷を求めるのなら、「6色以上」のインクを搭載するインクジェットプリンタを選ぶとよいでしょう。4色では表現できないような濃淡や微妙な色の違いを表現できます。なお、作品レベルの品質で写真を印刷したいのなら、プロ・写真愛好家向けの8色/10色インク搭載モデルをチェックしてみてください。
インクジェットプリンタを選ぶ場合に、ランニングコスト(インク代)を抑えたいのなら、大容量インクタンクを搭載するモデルに注目してください。大容量インクタンク搭載モデルは、単に印刷可能な枚数が増えるだけでなく、1枚あたりの印刷コストも大幅に低減できるのが特徴です。なかには、インクタンク1本でモノクロ印刷6000枚程度の大量出力が可能な機種もあります。インクボトルを本体に挿しインクを直接注入するタイプと、従来のようなカートリッジ式インクを大型化したタイプが用意されています。
印刷だけでなくコピーやスキャナといった機能も使いたいのなら、複合機(多機能プリンタ)を選ぶようにしましょう。コピー/スキャナはあると便利な機能で、仕事だけでなく、子どもの学習をサポートするのにも役立ちます。なお、仕事でFAXを使う機会がある人はFAX機能の有無をチェックしておくとよいでしょう。別途FAX専用機を設置する必要がなくなるため、作業スペースを有効活用できます。
写真・イラストと文字が混在する年賀状は、染料インクと顔料インクの両方を搭載するインクジェットプリンタが最適。一気に何十枚も印刷するのであれば、ハガキの最大給紙枚数が多いもの(40枚以上)を選ぶとよいでしょう。最新モデルのなかには、スマートフォンの専用アプリで年賀状をレイアウトし、そのまま印刷できるモデルもあります。また、年賀状を含めてハガキを印刷する機会が多いのであれば、エプソンの「ハガキプリンター PF-81」もぜひチェックしてみてください。
「大量の文書を高速に印刷したい」という人にはレーザープリンタやLEDプリンタが適しています。レーザープリンタは、レーザー光線を使ってトナー(樹脂の粉)を紙に圧着する方式。LEDプリンタは光源にLEDを使用する方式です。レーザープリンタ・LEDプリンタは文字をくっきりと印刷することに長けているうえ、印刷スピードが速く、大量の書類をスピーディーにプリントできます。以前は業務用の印象が強かったレーザープリンタ・LEDプリンタですが、近年は家庭用として使う人も増えています。
小さなノズルからインクを打ち出して印刷するタイプのプリンタ。色の再現性にすぐれ、解像度も高いため、文書と写真両方の印刷に最適です。比較的安価でコンパクトな製品が多いのも特徴。なお、インクは4色、6色、一体型の3種類が主流。プロ・写真愛好家向けの8色/10色インク搭載モデルもあります。
トナー(樹脂の粉)を熱で溶かして紙に圧着させるタイプのプリンタです。カラーレーザープリンタのほか、モノクロ印刷に特化したモノクロレーザープリンタもあり、用途に応じて選べます。インクジェットプリンタと比較すると、印刷速度が速い点が特徴。かつては業務用の機種が中心でしたが、最近は家庭でも使いやすいコンパクトなモデルも増えています。
LEDプリンタはレーザープリンタのレーザー発生部を発光ダイオード (LED) に置き換えたタイプです。機能的にはレーザープリンタと同様で、文書印刷に向いており、「印刷速度が速い」「大量印刷が可能」「トナーの交換回数が少なくて済む」などのメリットがあります。
家庭用インクジェットプリンタを大型化したもの。基本的な構造は変わりませんが、B0などの大きなサイズを印刷できます。基本的にロール紙に印刷するので長尺サイズの印刷物を作成することが可能。用途はポスター、POP、CAD、ディスプレイ、グッズ、アパレルなど多岐にわたります。
細いピンにインクを付着し、たたきつけることで印刷するタイプのプリンタです。複写用紙(カーボン紙)を使う伝票などの重ね印刷はこの方式でしかできないため、現在は事務用途で使用されることがほとんどです。製品選びの際には、「複写可能枚数」「印字スピード」「駆動音」「印字桁数」「バーコード印字対応」などの項目をチェックしましょう。
プリンタのインク形状には、いくつかの種類があります。各色のカートリッジが別々になっているタイプが「独立型」、すべての色がひとつのカートリッジに収められているタイプが「一体型」、レーザープリンタで用いられるのが「トナー」です。インクの形状は、プリンタ選びの優先度としては低めですが、購入前に各タイプの特徴を理解しておくとよいでしょう。
家庭用インクジェットプリンタの多くは独立タイプのインクを採用しています。1色のインクが切れた際に、その色だけを交換すればよいため、ランニングコストを節約できます。大容量インクタンク搭載モデルであれば、インク交換の手間が少なくて済み、印刷コストも低減できます。
すべての色がひとつのカートリッジに収納されているため、非常にコンパクトです。しかし、1色が切れるとプリントができないのが欠点。各色に入っているインクの量も少ないため、1枚あたりの印刷コストは高くなります。
レーザープリンタ・LEDプリンタで採用されているタイプです。トナーの単価は安くはありませんが、一度の交換で2000〜3000枚程度の用紙をプリントできます。
プリンタメーカーではない、他企業から発売されたインクです。
カートリッジで販売されているタイプと、インクだけを詰め替えるタイプがあります。価格は安いのですが、プリンタメーカーの純正品ではないため、故障の可能性が高まったり、以後のサポートを受けられなかったりするリスクがあることを理解しておきましょう。
家庭用プリンタの多くは、対応可能な用紙サイズが最大でA4までとなっています。A2やA3サイズなど、A4よりも大きい用紙への印刷を必要とする場合は、購入前に希望の用紙サイズに対応しているモデルかどうかを確認しましょう。
最大用紙サイズで選ぶ
用紙をセットする方法は、前面にセットする前面給紙と背面にセットする背面給紙に分けられます。使い勝手がよいのは、前面給紙と背面給紙の両方に対応する2WAYタイプ。製品選定時は、それぞれの給紙枚数(トレイにどれくらいの枚数を収納できるかを示すスペック)をチェックしておきましょう。より多くの用紙をセットして使いたい人は、大容量の前面給紙トレイを搭載するモデルを選ぶとよいでしょう。
印刷速度は、ISO(国際標準化機構)が定めた測定方式に基づき、1分間に何枚の文書(A4用紙)を印刷できるかを示しています。価格.comでは、「カラー印刷速度/分」と「モノクロ印刷速度/分」に分けて検索できます。特に印刷速度を重視する人や大量の文書を印刷する人は、この数値を参考に選んでもよいでしょう。
カラー印刷速度/分で選ぶ
モノクロ印刷速度/分で選ぶ
ウォームアップタイム、ファーストコピータイムも確認しておこう
ウォームアップタイム
プリンタの電源を入れてから印刷が可能になるまでの時間のこと。通常、プリンタの電源はオフになっていることが多いため、ウォームアップタイムが短いほうが、よりスムーズに印刷を開始できます。
ファーストコピータイム
プリントを実行してから最初の用紙が排出されるまでの時間のこと。1枚1枚を印刷することが多いのなら、この時間が短いほうが使っていてストレスを感じにくいです。
印刷用紙を自動で裏返して、表裏両面に印刷できる機能です。A4やB5サイズだけでなく、ハガキサイズで利用できるものもあります。
セットした原稿を自動で読み込む機能です。複数枚をスキャンする場合に、その都度、原稿を変える手間が省けます。
無線LANを搭載するプリンタなら、同じネットワーク上にある端末(パソコンやスマートフォン、タブレットなど)からワイヤレスで印刷できます。
最新のプリンタは、専用のアプリを使ってスマホやタブレットから手軽にプリントできるものが多く用意されています。年賀状印刷など多彩なプリント機能を持つアプリもあります。
キヤノンは家庭用からビジネス向けまでプリンタ製品を幅広く展開しています。家庭用の「PIXUS(ピクサス)シリーズ」は、文書も写真もバランスよく印刷できる、顔料インク/染料インク搭載のハイブリッドモデルが多く用意されているのが特徴。多彩な機能を搭載したハイスペックな複合機から低価格な単機能プリンタまで幅広いラインアップが揃っています。さらに、大容量インク「ギガタンク」を搭載するプリンタを選べるのも魅力です。
家庭用とビジネス向けの両方で多彩な製品をラインアップするエプソン。家庭用の「Colorio(カラリオ)シリーズ」は、写真印刷が得意な染料インクを採用するモデルを多く展開しているのが特徴。複合機から単機能プリンタ、ハガキプリンターまで幅広く製品を揃えています。最新モデルではユニークな新色「ピスタチオグリーン」をボディカラーに採用するモデルも。さらに、大容量インク「エコタンク」搭載モデルも用意しています。
ブラザーのプリンタで最も注目したいのは機能性です。自動両面印刷や自動原稿送り装置(ADF)、FAX機能などを搭載するモデルのほかに、A4用紙を半分にカットするユニークな機能を持つモデルも用意しています。さらに、給紙、排紙、インクやトナーカートリッジの交換などを本体前面で完結するフロントオペレーションを採用し、メンテナンスがしやすいのも特徴です。
日本国内のシェアでは、キヤノン、エプソン、ブラザーに次ぐメーカーですが、世界シェアはNO.1。他メーカーに比べ、価格が安いのが特徴です。写真印刷はあまりせず、文書などのモノクロ印刷がメイン用途の人に適した機種が揃っています。
リコーは事務機器、光学機器、カメラなどを手掛けるメーカーで、古くからオフィスユースのコピー機や複合機に力を入れています。ハイエンド複合機になると1分間に80枚のフルカラー・モノクロ印刷に対応する機種もあり、高速印刷が可能です。
液晶モニタを搭載していれば、モニタの表示を見ながら機能を選択したり、プリントしたい写真を選んだりできます。パソコンを使わずに写真をトリミングできるものもあります。
液晶モニタを搭載し、かつタッチパネルにも対応していると、スマートフォンと同じようにタッチ操作で直感的に操作できます。家庭用プリンタではハイエンドモデルやスタンダードモデルで採用されています。
写真などを印刷する際に、余白ができないように用紙いっぱいに印刷する機能です。
CDやDVD、ブルーレイディスクの表面に、タイトルや写真を印刷してレーベルを作成する機能です。
無線LANや有線LANを利用して印刷する機能です。複数のパソコンやスマートフォンでプリンタを簡単に共有できます。
メモリーカードやUSBメモリー、デジタルカメラなどから直接印刷する機能です。パソコンを接続する必要がないため、手軽にプリントできます。
「自動電源オン」は、パソコンやスマートフォンから印刷を開始すると自動的に電源がオンになる機能。「自動電源オフ」は、あらかじめ設定した時間を経過すると電源がオフになる機能です。
FAX通信で書類などを送信できます。なかには、パソコンからFAX通信を行うPC FAXに対応するものや、受信したFAXデータを画面で確認し、必要なものだけプリントする機能などもあります。
Wi-Fi機器同士を直接接続できる規格。無線LANルーターがない環境でもプリンタとWi-Fi対応機器でワイヤレス通信が行えます。ただし、一度に接続できるのは1台までで、複数の機器と同時使用はできません。
ソフトやドライバーのインストールが不要で、アップルの「iPhone」「iPad」などの端末から写真やメール、WebページなどをWi-Fi経由でプリントできる機能です。
スマートスピーカーに向かって「〇〇をプリントして」と音声で伝えるだけで、いろいろなコンテンツのプリントが可能です。プリンタの電源オン/オフなどの操作やプリンタの状態を確認できる機種もあります