

今回の夏のボーナスに対する調査結果から感じたのは、「消費者は意外とお金を使わない」ということである。もっとも購買力の強い30〜40代の購買意欲があまり高くないというのが印象的で、ボーナスの使い道でも「ローン・貯金」といった貯蓄系が大半を占めている(全体の約半数)。特に、40代の購買意欲の低さ(12.2%)は顕著で、夏のボーナスではあまりお金を使わない傾向が現れた結果となっている。
昨年2006年の夏は、サッカーのワールドカップ効果などもあり、大型テレビやDVDレコーダーなどの家電製品が好調だったが、今年は消費を押し上げるそうした世界的なイベントもないこともあって、テレビなど大型デジタル家電の消費は伸び悩むのではないかと予想される。また、パソコン関連では、今年1月に発売された新OS「Windows Vista」による市場の盛り上がりも一段落しており、このシーズンはあまり目新しい製品がラインアップされていないこともあって、パソコン関連も今ひとつ市場の盛り上がりがないままに、ボーナス商戦を迎えている。
また、今回の調査結果によれば、夏のボーナスで「商品を購入する」と答えた割合は全体の18.4%に過ぎず、商品購入にかけるおおよその予算も「10万円未満」が大半であることを考えると、大型の家電製品やパソコンなどの高額商品に関しては、苦戦を強いられそうだ。
逆に、10万円未満の比較的安めの商品についてはそこそこ購買意欲も高く、洋服やファッション関連、PCパーツ、ゲームソフトなどの単価の安いものが、購入希望製品のランキング上位を占めたのが印象的だ。家電・パソコン関連では、「コンパクトタイプのデジタルカメラ」「携帯電話」といった3万前後の製品と、7万〜8万円程度の「DVDレコーダー」、さらに、昨年あたりから一気に価格が下がってきた32インチクラスの液晶テレビも10万円台前半で購入可能ということもあって、家電全体の不振のなかでは、比較的堅調な売れ行きを見せるのではないかと予想される。
価格.comユーザーの夏のボーナス推定支給額平均は58.7万円! (ボーナス支給者)
価格.comユーザーの中では「30〜50万円」という割合がもっとも多く、ほとんど同率で「50〜70万円」「10〜30万円」というレンジが続き、この3つのレンジを合算した「10〜70万円」が約半数を占めた。ボーナス支給者を平均すると58.7万円ということになる。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングが、2007年3月30日に発表した「2007年夏のボーナス見通し」によれば、「民間企業(パートタイムを含む)の一人当たり平均支給額は423,000円(前年比+1.7%)」となっており、価格.comユーザーはこの水準を大きく上回っている。
年代別の調査結果を見てみると、おおよそきれいな年功序列の形になっているが、働き盛りの40代では、50万円以上のボーナスがもらえそうという割合が53.9%と高い数値になっているのに対して、同じく働き盛りの30代では、50万円以上もらえると回答した人は38.4%とそれほど高くない。逆に30代では50万円未満の割合が43.9%と高く、このあたりで若干世代間のギャップを感じなくもない。
参考:三菱UFJリサーチ&コンサルティング「2007年夏のボーナス見通し」
【図1-1.今年の夏のボーナス 推定平均支給額】
(万円) |
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【図1-2.ボーナス推定支給額(全体)】
【図1-3.ボーナス推定支給額(性別)】
【図1-4.ボーナス推定支給額(年代別)】
【図1-5.ボーナス推定支給額(結婚状況別)】
ボーナスの使い道
「貯金」「ローン返済」で約50%、商品購入にかけられるお金は10万円未満が大半
ボーナスの使い道を大まかに聞いてみた。ボーナスの支給額の多少を問わず、一番多かった回答は「貯金」、次いで「ローン返済」となっており、これだけでほぼ半数を占めている。なお、「商品を購入する」と答えた割合は全体の18.4%とそれほど高い数値でないのはやや意外だった。
「商品を購入する」と答えた割合がもっとも多かった年代は、ボーナス支給額が少ない20代(23.0%)だが、これはまだローン返済などの責務がほぼ発生していないためだと考えられる。ボーナス支給額がもっとも多いと思われる40代に関しては、「ローン返済」が23.4%と多く、逆に「商品を購入する」は12.2%と、全年代中でもっとも低い割合となっている。購買力のある年代があまり消費行動に走らないというのは、ボーナス商戦の動向にも影響を与えそうだ。
なお、商品購入にかけられる予算としては、大半の場合で10万円未満となっており、パソコンや大型テレビなどの購入予算としては、少し足らない様子が見て取れる。
【図2-1.ボーナス消費金額内訳(全体)】
【図2-2.ボーナス消費金額内訳(ボーナス支給額別)】
【図2-3.ボーナス消費金額内訳(性別)】
【図2-4.ボーナス消費金額内訳(年代別)】
【図2-5.商品の購入にかける金額(ボーナス支給額別)】
夏のボーナスで購入するモノ 「洋服・ファッション関連」、「液晶テレビ」、「PCパーツ」、「コンパクトタイプのデジタルカメラ」など 10万円未満で購入できる製品が中心
Q2で「商品を購入する」と答えた回答者に対し、どんなものを購入する予定かを聞いた。Q2の回答で、商品購入にかけられるおおよその予算として10万円未満と答えた人が多かったこともあり、夏のボーナスでそれほど大きな買い物をする予定はないということが、ここでも明らかになっている。
まずもっと多かった回答は「洋服・ファッション関連」で、次いで「液晶テレビ」「PCパーツ」「コンパクトタイプのデジタルカメラ」などとなっている。液晶テレビに関しては、ここのところ低価格化がかなり進んできており、売れ筋と言われる32インチクラスでは10万円台前半で購入できる。このほかのものに関しても、単価の安いものが多く、10万円未満で購入できるものがほぼ上位を占めた結果だ。
逆に、単価が比較的高い「ノートパソコン」(6.5%)、「デジタル一眼レフカメラ」(5.1%)、「デスクトップパソコン」(4.4%)、「自動車」(3.3%)、「洗濯機」(2.9%)、「プラズマテレビ」(2.9%)などは、ほとんどがベスト10以下のランキングになっており、やはり今年の夏のボーナスでは、あまり高額な商品を買う予定はないという傾向が明らかになっている。
【図3-1.夏のボーナスで購入する商品(ボーナス支給者全体)】
【図3-2.夏のボーナスで購入する商品(ボーナス支給者、性別)】
次に、購入したい製品の具体的名称を回答していただいた。
カテゴリ別にその傾向などを見ていくことにする。
DVDレコーダー・DVDプレーヤー
ブランド的には、パナソニックの「DIGA」が圧倒的な支持を得ており、次いで東芝の「VARDIA」、ソニーの「スゴ録」が同率で続く。また、今話題の次世代メディア対応「Blu-ray Discレコーダー」と回答した方も散見された。単価的にはハイビジョン対応の標準モデルで7〜8万円台のものが主流となっており、夏のボーナスの使い道としては、比較的妥当な製品といえそうだ。
DVDレコーダー・DVDプレーヤー(回答数 66人)
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ゲーム機本体
こちらは任天堂勢が強く、独自のリモコン操作が人気の「Wii」が33%でトップ、品薄が続いている携帯ゲーム機「Nintendo DS Lite」が29%と続いている。一方のソニーは、市場と同様苦戦を強いられており、高性能グラフィックが特徴の「PS3」が25%、携帯ゲーム機の「PSP」にいたっては7%という低い値となっている。
ゲーム機本体(回答数 68人)
プラズマテレビ
液晶テレビに比べて押され気味のプラズマテレビだが、実質はパナソニックの「VIERA」が一人勝ちという状態で、実に半数以上の人が「VIERA」を指名している。健闘しているのは、日立の「Wooo」シリーズ(27%)。本体のみで録画できるというHDD内蔵型に注目が集まっており、価格的にも比較的安価に買えることもあって、最近人気が上がってきている。
プラズマテレビ(回答数 58人)
液晶テレビ
知名度では、シャープの「AQUOS」がダントツの人気を誇っていた(37%)液晶テレビ市場だが、二番手、三番手の追い上げが激しい。二番人気は、価格.com上では人気の高い東芝の「REGZA」シリーズ(21%)。高品質の映像エンジンと、HDDなどを直接接続できる拡張性の高さが高く評価されている。三番手はソニーの「BRAVIA」シリーズ(16%)で、画質の美しさと、比較的安価に購入できる点で人気を上げてきている。価格.com上では、32インチで15万円前後、その上の37インチクラスでも21万円前後の平均価格で推移しており、夏のボーナスでもちょっと奮発すれば購入できることから、今回の調査では、唯一10万円オーバーの製品として、購入希望の上位に食い込んできた形となっている。
液晶テレビ(回答数 153人)
MP3プレーヤー
アップル「iPod」の人気は揺るぎないものとして定着しており、55%が「iPod」あるいは「iPod nano」を購入希望製品として挙げている。対抗馬として唯一の存在と言えるのが、ソニーの「ウォークマン」シリーズで、26%と1/4程度の人が購入希望と回答している。価格的には2〜3万円台が中心で、手軽に買いやすい製品のNo.1といえるだろう。
MP3プレイヤー(回答数 49人)
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デジタル一眼レフカメラ
回答順では、キヤノンの「EOS」シリーズが46%とトップで、次いでニコンの「D40」、「D80」シリーズが40%と、この2社で9割近い割合を占める。ペンタックスの「K10D」、「K100D」も、合計では22%近い購入希望があり健闘している。価格的には、レンズ込みでも10万円前後で収まるエントリーモデルが増えてきており、夏のボーナスの使い道としてはちょうどいい予算感といえる。
デジタル一眼レフカメラ(回答数 49人)
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コンパクトデジタルカメラ
回答としては、パナソニックの「LUMIX」シリーズが22%でトップ、次いでキヤノンの「IXY DIGITAL」シリーズが19%と追い上げている形だ。キヤノンは「Powershot」などのブランドを含めると、32%でダントツのトップとなる。もう1社、価格.comのランキングでも人気の富士写真フイルム「FinePix」シリーズが8%程度と、あまりふるわなかったのが印象的である。価格的には3万円台くらいのものが売れ筋だ。
コンパクトタイプのデジタルカメラ(回答数 81人)
携帯電話
注目は、最近モデルチェンジを行ったばかりの、NTTドコモ「904」シリーズで、ほぼ1/3のシェアとなっている。以前のMNP(番号ポータビリティ)のリサーチでも、一人負けの観を呈していたドコモだが、この夏のボーナスで巻き返しを図れるかどうかが見物だ。また、機能的な面では「ワンセグ付き」と答えていた人も散見され、「SoftBank」と回答した人の数を上回っていた。
携帯電話(回答数 52人)
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ノートパソコン/デスクトップパソコン
今年1月に発売された新OS「Windows Vista」がらみの盛り上がりもすっかり落ち着いた今夏のパソコン市場は、かなり停滞感が漂っている。ほとんどが、1月のVista搭載モデルのマイナーバージョンアップにとどまった夏モデルのラインアップはあまり話題になっておらず、ユーザーの関心もそれほど高くない。
そんな中、ノートPCの購入希望として名前がもっとも多く挙がっていたのが、ソニーの「VAIO」シリーズ(26%)だった。VAIOシリーズは、ここのところ、意欲的なAVノートや、カジュアルなデザインを生かしたモバイルノートを多く展開しており、やや停滞感のあるノートPC市場では、かなり目立った存在になってきている。このことが好感を呼んでいるようだ。
一方のデスクトップPC市場は、ソニー「VAIO」 (18%)がトップだが、2位以下との差はあまりなく、どのメーカーも今ひとつ決め手に欠けている感じを如実に物語っている。
ノートパソコン/デスクトップパソコン
- ◎アンケート期間:
- 2007年5月21日〜2007年6月3日
- ◎回答者数:
- 1,702人
- ◎男女比率:
- 男86.8%:女13.2%