ランナー必読の書として米国ではロングセラーとなっている『BORN TO RUN』。「人類にとっての走ることの意味」などをテーマとした内容は日本でも人気を博しており、ランナー以外の人々にも話題となっている。

そして同書の中にあるひとつの考え方が、世界中のランナーの間に波紋を呼んでいる。「クッション性やサポート性に優れたシューズがランナーにとっては過保護になり、ケガの原因となっているのでは?」というものだ。ランナーが着地する際には体重の3倍ほどの衝撃がかかることから、これまではクッション性に優れたシューズがケガを防止すると考えられていた。また、着地時に足が内側に過剰に倒れこむ「オーバープロネーション」の改善にはミッドソール内側の硬度を上げたミディアルポストが効果的とされていただけに、この考え方はランナーたちにとって衝撃的だった。

同書では「ベアフットランニング」として裸足で行うランニングを紹介。さらに、メキシコに古来から伝わるサンダルで走るタラウマラ族、スポーツサンダルで走るランナーに加え、“裸足感覚”を特徴とするビブラムファイブフィンガーズ社の5本指シューズで走るランナーが登場する。この5本指シューズは同書の人気に比例して良好な売れ行きを記録し、一時はマーケットから在庫がほとんどなくなったほどだ。

最近筆者が訪れたハワイ・オアフ島では気候の関係もあり、実際に裸足で走るランナーをチラホラ見かけた(彼らが足の保護性の高いシューズに対する不信感から裸足で走っているかどうかは確認できなかったが)。さらにワイキキ周辺では、ポピュラーなランニングロケーションとして知られるカピオラニ公園、アラモアナビーチパーク、フォートデルッシー公園、アラワイ運河沿いのジョギングコースで5本指シューズを履いて走っている人を何人も見かけ、「『BORN TO RUN』がきっかけ?」と聞くと、ほとんどが「Yes!」という返事だった。

現在ではほかのブランドからも“裸足感覚シューズ”が続々と発表されており、裸足に近い感覚をキープすることで人間が持つ本来の足の力を引き出すことをうたっている。そこで、ここ数シーズンで急速に注目されることとなった各社の裸足感覚シューズの現状と可能性を検証する。