描写性能を追求した設計のレンズは、質感にもこだわっている

PENTAX Qはボディー単体モデルが存在しない。単焦点のパンケーキレンズ「PENTAX-01 STANDARD PRIME」が付属するレンズキットか、標準ズームレンズ「PENTAX-02 STANDARD ZOOM」も合わせた2本が付属するダブルレンズキットが用意される。これらの2本は「高性能レンズシリーズ」と呼ばれ、画質を重視したレンズ設計とレンズ自体の質感の高さを特徴としている。特に、ズームレンズはズームリングを回した際の動きに重厚感があり、付属レンズにありがちな安っぽさはまったく感じられない。レンズ外装も金属製で、質感も満足だ。

3倍のズーム比を持つ標準ズームレンズ「PENTAX-02 STANDARD ZOOM」を装着したところ。35mm判換算の焦点距離は27.5〜83mmで、開放F値はF2.8-4.5、最短撮影距離は約24cmとスペック面で不満はない。レンズ設計にもこだわっており、画質面も満足できるという(画像クリックで拡大)

楽しい描写を特徴とするユニークレンズシリーズの1つ「PENTAX-03 FISH EYE」を装着したところ。160度の画角を持つフィッシュアイレンズで、35mm判換算の焦点距離は約17.5mm相当。絞りはF5.6固定で、フォーカスはマニュアルフォーカスのみとなる。レンズ内シャッターは省略されており、電子シャッターで撮影する仕組みだ(画像クリックで拡大)

かたや、レンズ交換の楽しさを手軽に楽しむという趣旨の「ユニークレンズシリーズ」を3本ラインアップする。魚眼レンズの描写が楽しめる「PENTAX-03 FISH EYE」、周辺光量が大きく落ち込んだ「PENTAX-04 TOY LENS WIDE」、望遠撮影が可能な「PENTAX-05 TOY LENS TELE PHOTO」の3本だ。

いずれもオートフォーカスは搭載しておらず、マニュアルフォーカスに限られる。前述の高性能レンズシリーズはレンズ内にシャッターを内蔵する機構なのに対し、ユニークレンズシリーズはシャッターを内蔵していない点も注意が必要だ。被写体が素早く動いている場合、不自然にゆがんだ描写になる可能性もある。プラスチックパーツを多用しており、レンズが驚くほど軽い。

ユニークレンズシリーズはこのような制約があるものの、「TOY LENS」の名称からも分かる通り、画質を重視するのではなく、味のある独特の描写を楽しむコンセプトだ。価格は未定だが、1本あたり数千円〜1万円で購入できる手ごろな価格帯を想定しているという。

PENTAX Qは、コンパクトデジカメと同じサイズの撮像素子や小さなボディーサイズから、機能や画質はそれなり…と考えている人も多いだろう。だが、実際にボディーを手にしてみると、メーカーの本気度がひしひしと伝わってくるのだ。

今回借用したのは開発中のベータ機だったため、注目の画質は評価できなかった。その部分を含めて評価したレビュー記事は、追って掲載する予定だ。

(文/磯 修=日経トレンディネット)