参入から3年、「洗う」をアンチエイジングの入り口に
ウル・オス(大塚薬品)

大塚製薬は2008年9月に、男性用アンチエイジングスキンケア「UL・OS(ウル・オス)」を発売した。「男性用スキンケア製品のほとんどは、ニキビ対策など若年層がターゲット。細胞レベルでアンチエイジングにアプローチした製品は未開拓の分野だったため、自社独自の技術を使って新市場を作ることが可能ではないかと考えた」(大塚製薬 ニュートラシューティカルズ事業部の松尾哲也氏)。

苦心したのは、ほとんどがスキンケア習慣のない男性層に「使ってもらえる」化粧品にすること。洗顔料やリップクリーム、アフターシェーブローションを除き、純粋な保湿ケアをしている男性の割合は全体の10%以下といわれる。面倒を嫌う男性には女性のように何品も使うスキンケアは無理と考え、1本ですべて完了するオールインワンタイプにし、かつ顔と体両方に使えるものにした。その1品も、使い心地にあわせて「ローション」「ミルク」「クリーム」の3タイプで展開。男性はベタつきを嫌う傾向が強いため、自分に合ったつけ心地で選んでもらうための工夫だ。

商品を買ってもらうには、“認知→理解→体感→購買”という流れがあるといわれるが、大塚製薬がもっとも力を入れているのが「体感」の部分。「ミドル層の男性にいきなり保湿ケアが必要といっても、やる人は少ない。しかし男性は使ってみて違いを感じられれば、長く使い続ける」(大塚製薬 松尾氏)。そこで、「使ってわかってもらう」ということに重点を置いているという。

2010年春から洗顔料「UL・OS(ウル・オス)薬用スキンウォッシュ」を発売したのも、使用者数の多い洗顔料でまず商品のよさを体感してもらう作戦のひとつだ。「『洗う』という行為をアンチエイジングスキンケアの入り口にしてほしい」(同)。同じ狙いで、汗をかく夏場に手軽に使えるシートタイプの「リフレッシュシート」も発売。駅売店でも好調だという。

体感してもらうために発売以来、地道に続けている販促活動が「タッチアップ」。ドラッグストアや量販店で対象年齢の男性にサンプルを渡し、その場で使ってもらうという方法だ。本来は女性用化粧品カウンターの販促テクニックだという。追跡調査をしてみると、たとえその日は購入しなくてもその後に売り上げが伸びている店舗がほとんど。ホームセンターなど、男性客が多い場所は特に伸び率が高い。また発売3年目にして売上パターンに変化が起きている。

これまでは、夏場はどうしても保湿剤は売り上げが落ちる傾向があったが、2010年から前年を上回るようになった。また購入する際、ドラッグストアなどの定番棚で買っている人が多い。これは価格訴求、モチベーション訴求の広告効果で購入している客ではなく、保湿ケアが習慣化したリピーターが増えている証拠だと同社では見ている。

ウル・オス」のラインアップ。(上段左から)スキンローション(200ml・1890円、60ml・840円)、スキンミルク(200ml・1890円、60ml・840円)、)薬用スキンウォッシュ(300ml・840円、420ml・893円、500ml・1155円)、(下段左から)「スキンクリーム(80g・1260円)、日やけ止め(50ml・1575円)、薬用リフレッシュシート(14枚・315円、36枚・630円)(画像クリックで拡大)