引き続き業界ナンバーワン
では、エネルギー残存率を高めるために、三洋電機ではエネループにどんな改良を加えたのだろうか。
最大の進化は、負極に使用する水素吸蔵合金を改良したことだ。充電により水素吸蔵合金に 蓄えられた水素を安定化させることで、自然放電が抑制できるという仕組みだ。
「結晶格子サイズを適正にすることで、水素が安定して存在することが可能になる。材料を見直し、自然放電を抑制できる最適な材料バランスを導き出すことによって実現した」とする。
さらに、正極に使用する水酸化ニッケルや、充電池の内部部品のひとつであるセパレータなどに改良を加えたことも、エネルギー残存率を高めることにつながっている。
一方、エネルギー残存率を高めながら、充電を繰り返し使用できる回数を増やすという両立にも力を注いだ。
長年培ってきた長寿命化技術と電池材料構成の見直しにより、電池容量をそのままに、1800回の繰り返し利用を可能にした。この回数は引き続き業界ナンバーワンを維持することを意味する。
これにより、1回あたりの充電コストは従来の2.5円から2.2円へと削減され、環境性、経済性も高めることになる。