【極東産機】畳製造機器メーカーのノウハウが凝縮
避難所生活を快適にする災害備蓄用畳「そくさい」・間仕切り
日頃、畳に親しんでいなくても、畳があるとなぜか気持ちが落ち着くことがあるが、非常事態において、避難所では少しでも日常に近いように、快適になるようにと、畳が敷かれることが多い。
畳製造機器メーカーの兵庫県の極東産機は、長年、公共施設やホテルなどの畳を手がけてきた会社。ある時、自治体から備蓄用として畳を配備しておきたいとの依頼を受けた。その後、阪神淡路大震災の時には、避難所に畳を寄付するなどの活動も展開した。そんな活動の中で、必要性を感じて開発を始めたのが、災害備蓄用の畳だ。
長期間保存、軽量、衛生的。いくつものキーワードをクリアした畳
通常、公共施設やホテルなどに使用される畳は、大きく、重く、とても気軽に持ち運べるものではない。しかも、イグサを使用している畳は、湿度の高くなる夏に倉庫などで保存しておくと、カビやダニで使用できなくなってしまうことも多々ある。いざという時の備えとして、倉庫などに保管するには、まずそれらのデメリット部分をなくすことが必要だ。
「災害はいつ起きるかわからない。さらに、備蓄用の倉庫を確保するのも、そこから運び出して体育館などに敷くのも大変なこと。そこで、考えたのが、カビやダニが発生しにくい素材を使うことと、持ち運びしやすく、コンパクトにすることだった」と、極東産機の村上充義さんは話す。
カビやダニ対策として、イグサからポリプロピレン素材に変えて、水洗いも可能に。さらに、一般的な畳は、畳表、クッション材、芯となる木材やインシュレーションボード、クッション材を重ねてできているが、「そくさい」は、ポリプロピレンと、芯材として、空気を含んだ独立気泡で断熱性があり、適度なクッション性、防音性も兼ね備えた不織布を加えることで、1枚2.5kgと、片手で持てるほど軽量化を実現した。また、ポリプロピレンは毛羽立ちにくく、耐磨耗性にも優れている。焼却してもダイオキシンを発生しない環境にやさしい素材であることも特徴だ。
専用の間仕切りでプライバシーもしっかり確保
避難所で、数日から数カ月を過ごすことを考えると、プライバシーも大切になってくる。そこで「そくさい」と同様に、備蓄用として間仕切りも開発した(災害備蓄用ウォッシャブル畳「そくさい」間仕切り10枚組で1万2600円)。素材はダンボール。ガムテープなどを一切使わず、折り曲げたり、差し込むだけで簡単に組み立てられ、間仕切り同士の連結も差し込むだけで完成するもの。これなら、いろいろな道具がなくてもすぐに囲みができ、プライバシーが保たれる。しかも折り畳みが簡単なので、保管や片付けもスムーズだ。
「さらにコンパクトに」という要望に応えるために、1枚約1.6kgの「そくさいLight」を開発。続いて、ロール状に巻いて保存できる「畳ロール」を手がけた。この2つは、水洗いはできないが、水拭きができるため、衛生面は保たれる。実際に今、問い合わせも多いという。
「そくさい」は2009年の発表以来、多くの自治体から受注があり、2009年度の「グッドデザインひょうご」では、兵庫工業会・会長賞を受賞。昨年の東日本大震災では、岩手県の釜石市の避難所にも導入された。また、大震災以後は、帰宅困難者の受け入れ側となる企業からの受注も増加するなど、快適な畳が見直されるきっかけにもなった。
極東産機が開発した「そくさい」の反響は上々。今後は、畳のように避難所を落ち着ける空間に変えていくアイテムがさまざまな企業から次々と登場するかもしれない。
(文/広瀬敬代)