

今年2009年の夏のボーナスは、昨年2008年の秋に起こった「リーマンショック」を発端とする全世界的な不況の波を受け、支給額もかなり厳しくなることが予想されたが、はたしてその通りの結果となった。今回の調査におけるボーナス平均支給予想額は53.6万円で、昨年の調査と比較して実に4.8万円もマイナスとなることが明らかとなった。昨年も平均支給額では若干のマイナスだったが、それでも数千円の微減であり、今回の数万円単位での減額は、一般家庭にも大きな影響を与えることだろう。特に、40代以上の高額所得者のボーナス減少率が高く、管理職などを中心に大幅なボーナスカットがされていることが浮かび上がってくる結果になっている。
支給額が減れば、消費に回す金額も当然ながら減少する。ボーナス支給額のうち、自由に使えるお金は「10万円以下」が半数以上を占め、家庭の台所事情の厳しさをうかがわせる結果となった。回答者の約9割が「自由に使えるお金が減った」と答えており、一般消費に回せる金額は全体的に減少している。なお、一般消費に回せる金額は平均すると68,814円で、支給額のゾーンでもっとも多い「30〜50万円」の人ではわずか4.5万円。「ちょっと大きな買い物でも」と思うには少ない金額であるが、実は昨年に比べてこの金額自体はそれほど大きく下がってはいない。結局必要なものは買わなくてはならず、これ以上のコストカットが難しいということなのかもしれない。なお、一般消費以上に厳しいのが、「旅行・外食」関連の予算で、こちらは平均すると4.7万円と、昨年を大幅に下回る結果となっている。
なお、ボーナスの使い道では、例年通り「貯金」が29.6%とトップを占めた。この傾向は毎年変わらないが、貯金する理由としては、「今後の生活のため」「将来が不安だから」と回答する割合が増えており、「家や車など大きなものを買うための準備金」と回答する割合が減少している。このあたりからも、昨今の不安定な世相状況がかいま見えてくる。
そんな厳しいボーナス状況であるが、ボーナスで購入したいものの首位には、意外なことに「液晶テレビ」があがった。消費に回せる金額から考えると、液晶テレビも高嶺の花と思いがちだが、これには、5月15日よりスタートした「エコポイント制度」が大きく影響しているものと思われる。実際、価格.comのアクセス状況を見ても、5月中旬以降、液晶テレビカテゴリへのアクセスは急上昇しており、少しでも安くお得に、この機会に液晶テレビを購入しようと考えている人は多いようだ。このほかのエコポイント対象製品(プラズマテレビ、エアコン、冷蔵庫)についても、昨年よりも購入を希望する割合は増えており、冷え込むボーナス商戦の中で、一定の消費刺激効果を生んでいるといえそうである。
逆に、ここ数年人気を維持してきた「デジタルカメラ」については、ある程度普及したことからブームを脱した感があり、購入希望者の割合が減少している。デジタルカメラ関連については、夏のボーナス商戦は厳しいものとなりそうだ。
支給予想金額53.6万円。前年度より4.8万円のダウン
今年2009年のボーナス支給額の予想額をおよそのレンジでうかがった。結果としては、全体平均で53.6万円という金額が浮かび上がってきた。昨年行った同様の調査では、平均支給額が58.3万円だったので、それに比べると実に4.8万円のマイナスとなる。昨年の調査でも微妙に減少はしていたが、その額はわずかに4,000円程度であり、数万円単位でのマイナスというのはかなり大きい。昨年秋以降の不景気の波が、もろに今年の夏のボーナスに影響しているということができそうだ。
年代別に見てもほぼ全般的に大きくマイナスとなっているが、特に減少率が高いのは、ボーナス支給額が高い40代、50代(60歳以上も)だ。50代、60歳以上では、支給額にして10万円以上のマイナスとなっており、管理職などを中心にかなり厳しいボーナスカットが行われている状況が浮かんでくる。
このように、景気を反映して全体的に減少しそうな今年の夏のボーナスであるが、金額レンジの割合で見ると、ボリュームゾーンである「30〜50万円」というレンジは0.5ポイント増とあまり変化がなく、その下の「10万円未満」が1.5ポイント増、「10〜30万円」が1.1ポイント増となっており、それぞれ増加している。全体として少しずつ下のレンジへと移っていった結果、中間層の割合はあまり変わらないものの、高額受給者の数が減少し、代わりに少額受給者の数が増加するという現象となっている。
【図1-1、今年の夏のボーナス 性別・年代・家族構成別推定平均支給額(税込金額)】
2009夏(万円) | 2008夏(万円) | 増減(万円) | 前年比 | ||
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全体平均 | 53.6 | 58.3 | -4.8 | -8.1% | |
性別 | 男性 | 54.7 | 60.9 | -6.1 | -10.1% |
女性 | 43.2 | 42.0 | 1.1 | 2.7% | |
年代別 | 20代 | 33.4 | 37.0 | -3.7 | -9.9% |
30代 | 45.0 | 48.2 | -3.2 | -6.6% | |
40代 | 59.4 | 66.4 | -7.0 | -10.6% | |
50代 | 66.6 | 77.5 | -11.0 | -14.1% | |
60歳以上 | 43.4 | 55.8 | -12.4 | -22.2% | |
家族構成別 | 単身 | 40.5 | 42.9 | -2.4 | -5.5% |
夫婦のみ | 51.9 | 57.6 | -5.7 | -9.9% | |
夫婦と子供 | 59.5 | 66.3 | -6.9 | -10.3% | |
3世代同居 | 55.8 | 56.1 | -0.3 | -0.6% |
【図1-2-1、2009年夏のボーナス推定支給額(全体)】
【図1-2-2、2008年夏のボーナス推定総支給額(全体)】
自由に使えるお金の額は大きく減少
ボーナス支給額のうち、ほぼ自動的に差し引かれる「税金・ローン返済・生活費の補填」といった項目を除いた、「自由に使えるお金」の金額をうかがった。
もっとも多かった回答は「5〜10万円」で24.1%。次いで「10〜20万円」が15.4%、「3〜5万円」が13.5%となっている。昨年の調査から若干質問の方法を変えているため一概に比較はできないが、昨年の同様の質問では、「20万円以上」と答えた割合が半数を上回る50.1%いたのに対し、今年はそれが41%にまで減少しており、全体的に見て、自由に使えるお金の額が大きく減少している印象だ。逆に「10万円未満」というレンジが大幅に増加しており、夏のボーナスで何か大きなものを買おうという意欲自体にも影響を与えそうな結果となっている。
【図2、税金、ローン返済・生活費の補填などを除いた、実際に自由に使える金額】
約9割の人が自由に使えるお金は「減っている」
ボーナス支給額のうち、自由に使えるお金が実感として増えているか減っているかを聞いた。
結果は見ての通り、「減っている」が半数以上の53.2%を占め、「やや減っている」の35.9%を合わせると、実に9割近い89.1%の方が、自由に使えるお金が減っていると回答する結果となった。ちなみに昨年の同様の調査では、「減っている」「やや減っている」の合計は74.1%だったので、1年で実に15ポイントも悪化したということになる。特に「減っている」の増加率が激しく、実に20ポイントもの増加となった。なお、この傾向はおよそ年齢に比例しており、年齢が高くなってボーナス支給額が上がるほど、今年の減少率が高いことを示している。
【図3-1、実感として、ボーナス支給額のうち、自由に使えるお金は昨年と比べ増えていますか?それとも減っていますか?】
【図3-2、実感として、ボーナス支給額のうち、自由に使えるお金は昨年と比べ増えていますか?それとも減っていますか?(世代別)】
自由に使えるお金の額:約8割の人が「不満」
設問3で聞いた「自由に使えるお金」に対する「満足度」をうかがった。
全体の約9割が「減っている」と答えたことから、満足度も相当悪化していると思われたが、やはり「非常に不満」が43.7%と高く、「やや不満」の36.0%と合わせて79.7%の人が、自由になるお金の額に不満であると回答した。ただ、「やや満足」と答えた人の割合も16.4%と比較的高く、昨年に比べボーナス自体の支給額や、自由に使えるお金の額が減った人の中にも、一定のまとまった額がもらえることに対する満足感や、「もらえるだけいいだろう」というような気持ちが見え隠れしているようだ。
【図4、自由に使えるお金についての満足度】
ボーナスの使い道:1位「貯金」で158,585円
一般消費に回せる金額は約5万円
支給された夏のボーナスをどのような目的に使うのかをおおまかな金額ベースでうかがった。
もっとも多かったのは「貯金」で、平均すると158,585円(29.6%)。次が「ローン返済」で128,230円(23.9%)となった。このあたりの傾向は毎年それほど変わらないが、3位の「商品を購入する」になると68,814円(12.8%)で、この金額はかなり厳しい数字といえそうだ。
ただ、この商品購入額をボーナス支給予想額のレンジ別に見ると、最大のボリュームゾーンである「30〜50万円」のレンジでは4.5万円で、次点の「50〜70万円」のレンジでは5.4万円となっている。昨年の調査とは質問の方法を変えているので一概に比較はできないが、昨年もおおむね同じような金額(4.3万円、4.7万円:ただし、自由に使えるお金からの類推値)なので、このレンジのボーナス支給者が消費に回す金額自体には大きな変化はなさそうだ。それにしても多くの家庭で一般消費に5万円前後しか使えないという状況は、引き続き厳しいと言わざるを得ない。
なお、一般消費より厳しいのが、「旅行に行く・外出する」で、国内・海外を合わせても47,784円(8.9%)しかない。昨年の同様の調査では75,207円(12.9%)だっただけに、この減少額は大きい。旅行産業、外食産業への影響も懸念される結果となっている。
【図5-1、ボーナス消費平均金額】
ボーナス消費目的 | 平均消費金額(円) |
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貯金 | 158,585 |
ローン返済 | 128,230 |
商品を購入する | 68,814 |
子供の教育費 | 57,162 |
旅行に行く・外出する(国内) | 31,955 |
金融商品(投資信託、株式等)の購入・外貨預金など | 18,303 |
旅行に行く・外出する(国外) | 15,529 |
金融商品(投資信託、株式等)の補填 | 7,264 |
その他 | 50,024 |
【図5-2、商品の購入にかける金額(ボーナス支給額別)】
【図5-3、ボーナス消費内訳】
貯金の目的:1位「今後の生活の補填のため」、2位「年金など将来が不安だから」
ボーナスの使用用途に「貯金」を挙げた方に、その目的を聞いた。
昨年の調査と同じく、トップは「今後の生活の補填のため」で62.5%(昨年は58.2%)。次いで多かったのが「年金など将来が不安だから」で29.0%(昨年は28.6%)。この2つは数ポイント増加しており、生活の厳しさや、将来への不安感は、より一層強まっているといえそうだ。
その一方で、「家や自動車など大きな買い物をするため」は25.2%で、昨年の28.9%から3.7ポイント減少した。「購入したいものや使い道がないから」も11.9%と昨年比3.3ポイント減になっており、いわゆる余裕資金的なものが減少していることをうかがわせる。
【図6、貯金をする理由をお選び下さい。(全体)(図5で貯金を選んだ方への質問)】
夏のボーナスで購入したいもの
「液晶テレビ」が前年度1位「洋服・ファッション関連」を抜きトップに
最後に、夏のボーナスを使って購入したいものを聞いた。
購入したいものの第一位は「液晶テレビ」で17.5%(昨年比4.3ポイント増)。これまでの調査では常に第一位を保ってきた「洋服・ファッション関連」を抜いて、一躍首位に躍り出た形だ。この結果には、この5月から開始された「エコポイント制度」による割安感も大きく影響しているものと思われる。実際の購入に回せる金額としては7万円弱が平均額となっているが、価格.com上での液晶テレビの平均価格は32V型で108,305円(5月29日現在)。安いものでは7万円前後からあるが、それでも少ないボーナスの中で貯金などをやりくりしなくてはなかなか買えない金額だ。しかしエコポイントが導入されたことで、この機会に、少しでもお得に液晶テレビを購入したいと考えるという人は案外多いようだ。
以下、第二位が「洋服・ファッション関連」で15.1%(昨年比0.9ポイント減)、第三位以下が「PCパーツ」(10.4%)、「ブルーレイ/DVDレコーダー・プレーヤー」(10.0%)、「ノートパソコン」(8.0%)、「スポーツ用品・アウトドア用品」(6.9%)、「家具・インテリア」(6.3%)と続く。このあたりの割合は、昨年と比べてもそれほど大きな変化はないが、注目したいのは、昨年までは比較的上位に顔を出していた「デジタルカメラ」の購入希望の割合が大きく減少していることである。「コンパクトタイプのデジタルカメラ」は5.2%で、昨年比では0.8ポイント減。さらに「デジタル一眼レフカメラ」に至っては4.9%で、昨年比で2.1ポイントもの減になっている。ここ数年で普及率が高まり最初のブームが過ぎた感のあるデジタルカメラだが、今年の夏商戦はかなり厳しい結果になりそうだ。
なお、液晶テレビ以外のエコポイント関連の商材を見てみると、「エアコン」が4.4%(昨年比1.2ポイント増)、「プラズマテレビ」が3.9%(同0.1ポイント増)、「冷蔵庫」が3.7%(同1.5ポイント増)となっており、全体的に割合を伸ばしている。エコポイントが一定の消費刺激に効果を示している一例といえるだろう。
【図7-1、今夏のボーナスで購入する商品(ボーナス支給者全体)】
【図7-2、夏のボーナスで購入する商品(ボーナス支給者、性別)】
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【図8、購入したいと思う製品名をお答えください(複数回答可)】
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- 調査エリア:
- 全国
- 調査対象:
- 価格.comID 登録ユーザー
- 調査方法:
- 価格.comサイトでのWebアンケート調査
- 回答者数:
- 7,179人
- 男女比率:
- 男88.6%:女11.4%
- 雇用形態:
- 正社員:67.3%、契約社員:2.9%、派遣社員:1.6%、パート・アルバイト:4.1%、自営業・個人事業主など:11.0%、学生:1.3%、主婦:3.9%、その他:7.9%
- 調査期間:
- 2009年5月14日〜2009年5月21日
- 調査実施機関:
- 株式会社カカクコム
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No.024 冬のボーナス2008-使う?貯める?-
(2008年11月掲載)No.018 夏のボーナス2008 -何にどのくらい使う?-
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