「アベノミクス」によって日本経済はふたたび上昇傾向に戻ったと言われるが、その実施から約2年が経過した今、一般生活者のボーナスはどのように変化したのだろうか。
今年の冬のボーナス予想支給額の全体平均は58.5万円となり、昨年より1.4万円(2.5%)のプラスとなった。これで、2013年冬、2014年夏、2014年冬の3期連続でのプラスとなったわけで、わずかずつではあるが、景気が上向きに動いていることが実感できる結果となった。
ただしその一方で、ボーナス支給額がプラスになっている人と、マイナスになっている人の差が、より激しくなってきているのも事実。年代別では、働き盛りの40代と20代はプラスだが、そのほかの年代ではむしろマイナスとなっており、業種別でも、医療系とサービス業ではマイナスとなっている。特に、サービス業のボーナス予想支給額の落ち込みは、前年比-10.8%という大幅な下げとなっており、業種間の格差は広まっている印象を受ける。
しかしながら、支給されるボーナスのうち、自由に使える金額は昨年よりも全体的に上がっており、昨年よりはやや豊かさを実感している人も少なくはないようだ。その増えた分のお金が消費に回れば、景気もさらに上向きそうなものだが、若干増えた分のお金は、主に株式などの金融商品として投資に回されたり、来たるべき消費税率の再アップに向けて今から住宅や自動車などの高額商品を購入しておこうという用途に回される傾向が強く、一般の消費財や家電製品などの耐久消費財にはなかなか回されないというのが現実のようだ。実際、この冬のボーナスのうち、商品やサービスの購入に回される金額は、わずか71,625円で、これは昨年の調査結果を下回っている。
ただ、これは、消費者にお金がないというわけではなく、むしろ「買いたいものがない」というマインドの現れともいえる。購入したい製品ジャンルでは、全体の10%を超えるものはほとんどなく、この冬のボーナス商戦もかなり厳しいものになることが予想される。わずかに、調理家電や4Kなどの液晶テレビ、エアコンなどが前年よりも上向きだが、昨年まで比較的好調だったタブレット端末やノートパソコンなどのパソコン関連製品は人気がかなり落ちてきており、ボーナス商戦はかなり苦戦することだろう。
アベノミクスによってボーナスの支給額自体はわずかに増えつつあるが、消費者の購買意欲を刺激するには、魅力的な商品開発が欠かせない。自動車などのジャンルでは、一部で魅力的な商品が開発されており、比較的好調に見えるが、パソコン・家電業界においては、かなり手詰まり感があり、魅力的な新商品がなかなか現れないのが現状といえる。「買えない」のではなく「欲しいものがない」というのが、今の一般消費者の偽らざる気持ちではないだろうか。
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- 調査対象:
- 価格.comID 登録ユーザー
- 調査方法:
- 価格.comサイトでのWebアンケート調査
- 回答者数:
- 3,235人
- 男女比率:
- 男92.6%:女7.4%
- 調査期間:
- 2014年11月7日〜2014年11月13日
- 調査実施機関:
- 株式会社カカクコム
