2017年2月14日掲載
株の買い方・売り方
株の気配値(板情報)の見方の基本

株式投資でもうけるには、投資家の動きを読み、自分が不利にならないように注文しなければいけません。そのためには、投資家の注文状況がリアルタイムで一覧できる「板」に表示される売買状況(気配値)をみることに慣れる必要があります。
ここでは、板の仕組みや見方(読み方)などを、初心者にもわかるように具体例を交えて紹介します。
板(気配値)とは
株を売買するときには「価格はいくらでもよい」という成行注文(なりゆきちゅうもん)と、「この価格で売買したい」という指値注文(さしねちゅうもん)があります。
板とは、こうした注文を表示する画面のことで、板をみると、注文株数と価格(気配値)が確認できます。証券口座を開いていれば、板(気配値)は無料で確認できます。
取引が始まる前と後では表示内容が違います。売買スタート前は成行と指値の注文株数、気配値がチェックできます。成行注文はすぐに売買が成立するため、取引開始後に確認できるのは指値注文分だけです。
板の仕組み
板は個別銘柄ごとに確認できます。具体的には、以下のように表示されます。
A企業の板情報
−− | 成り行き | −− |
---|---|---|
売 | 気配値 | 買 |
5000 | OVER | |
3000 | 2000 | |
100 | 1900 | |
500 | 1800 | |
2000 | 1700 | |
1000 | 1600 | |
1500 | 400 | |
1400 | 200 | |
1300 | 3000 | |
1200 | 8000 | |
1100 | 400 | |
1000 | 2000 | |
UNDER | 10000 |
板の左側には「売(売り)」と書かれています。右側には「買い」の注文が載っており、それぞれ売りたい(買いたい)株数が並んでいます。中央の気配値は株価のことで、これをみると「1,700円に2,000株の売り注文がある」「1,300円に3,000株の買い注文がある」などとわかります。
板の上部に「OVER」、下部に「UNDER」とあります。これは、それぞれ「2,000円よりも高い値段で売りたい投資家の合計注文量」「1,000円未満で買いたい投資家の合計注文量」を表します。
取引スタート前に成行注文を出せば、最上部の「成り行き」部分に、注文数量が表示されます。この板が取引開始後だった場合、たとえば成行で1,000株の買い注文を出すと、1,600円で1,000株購入できます。400株の成行売り注文を出した場合、1,500円で400株売れます。(成行の売り注文は画面左下に表示される場合もあります)
「急がないのでもう少し安くなったタイミングで買おう」と、1,100円で1,000株買う指値注文を出した場合、気配値が1,100円の部分に1,000株が追加されます。その結果、いまの同じ気配値にある400株の買い注文が、1、400株に増えます。
このように板をチェックすることで、自分がいま注文した場合、いくらぐらいで買えそう(売れそう)というのが判断でき、注文する際の参考になります。
初心者でもわかる!板の見方(読み方)
平日の9:00に証券取引所での取引がスタートします。売買開始時に、株価はどのように決まるのでしょうか。その日の最初の株価が決まることを「寄り付く」といいます。寄り付いた時点の株価は「始値(はじめね)」といいます。
始値が決まる仕組みは、やや複雑です。まず、事前に受け付けた売買注文のうち、成行注文の「売り」と「買い」の数量を差し引きします。売り注文が多かったら、より高い価格を提示している買い注文と付け合わせていきます。差し引きして買い注文が多く残ったら、より安い価格を提示している売り注文と付け合わせていきます。
成行注文の処理が終わったら、今度は指値注文で高い価格の買い注文と安い価格の売り注文を付け合わせていきます。こうした作業を繰り返し、売りと買いのバランスがとれた水準が始値になります。これを「板寄せ方式」といいます。
具体的にみていきましょう。いま、成行注文で「売り」に300株、「買い」に500株あり、板情報が以下のとおりだったとします。
まず、成行注文の「売」と「買」を差し引きします。その結果、成行の買い注文が200株残ります。買い注文が多く残ったので、売り注文のうち最も安い798円にある400株のうち、200株と付け合わせます。
その結果、798円の売り注文に200株が残りました。今度はこの200株を799円にある300株の買い注文のうち200株と付け合わせます。買い注文が100株残った799円には600株の売り注文があり、799円で売買が成立します。
この799円が、寄り付きの株価となります。成行注文はすべて799円で取引され、798円で売り注文を出した投資家も、799円で売れることになります。
A社の板(気配値)情報の画面
300 | 成り行き | 500 |
---|---|---|
売 | 気配値 | 買 |
700 | 800 | |
600 | 799 | 300 |
400 | 798 | 500 |
797 | 700 |
- 作業1: 成り行きの買いと売りを差し引く→200株の買い注文が残る
- 作業2: 200株の買い注文を798円の売り注文と付け合わせる→798円の売り注文が200株になる
- 作業3: 798円の売り注文200株と799円の買い注文300株と付け合わせる→799円の買い注文100株が残る
- 作業4: 799円で100株の売買が成立する→始値が799円に決まる
板はリアルタイムで変化し、目で追うのは大変な作業です。しかし、板をみればその銘柄の売買が活発かどうかわかります。注文株数が多いほど売買が活発となり、注目されやすくなります。何か大きなニュースがあった場合には、取引する投資家が増え、売買が活発化することもあります。こうした注文数量が多い状況を「板が厚い」と呼びます。
逆に注文が少なく、売買しにくい状況を「板が薄い」といいます。このほか、買い注文がたくさんある一方、売り注文が極端に少なく、売買が成立しない状況もあります。これを「買い気配」といいます。売り注文が極端に多い場合は「売り気配」です。
こうした状況では、板を確認せずに売買注文を出すと、まったく売買できなかったり、想定外の価格で売買したりといった事態になります。板をしっかり把握し売買することがポイントといえます。
まとめ
板とは、投資家が発注した価格(気配値)と株数を一覧できる画面です。すべての銘柄にあり、リアルタイムで更新されています。取引開始前は成行注文の株数と指値注文の株数・気配値がわかり、取引開始後は指値注文の株数・気配値が表示されています。
板は取引が活発な銘柄ほど、秒単位で目まぐるしく動きます。見方に慣れるのに時間がかかりますが、慣れれば自分が希望する価格で売買できる可能性が高まるため、理解しておくと大変便利なツールです。
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