筆者がスポーツシューズメーカーに勤務していた90年代のこと。フットウエアブランドのプロダクト担当者や小売関係者にとって「翌年の夏のフットウエアの流行」は最大の関心事だった。なぜなら当時の夏のフットウエア市場はキャンバスシューズ、スポーツサンダル、ウォーターシューズといったアイテムがあるなかで、人気がひとつのジャンルに集中。「去年はウォーターシューズだったが、今年はスポーツサンダルが大ヒット」というように、それぞれのジャンルがバランスよく共存するということはなかったのだ。

あれから10年以上が経過し、日本のフットウエア市場も多様化。店頭にはさまざまなタイプのフットウエアが並び、消費者の好みも分散していることから、あるブランドの特定の商品が大ブレークするということは以前よりも少なくなった。老舗ブランドから新興ブランドまでさまざまなプロダクトがリリースされ、パイの争奪戦を繰り広げているのだ。

そんな日本の夏のフットウエア市場において、今シーズン特に注目を集めるモデルをロングセラー(伝統)とニューコンセプトモデル(革新)の2つに分けて紹介したい。

【伝統】根強い人気! 老舗ブランドのロングセラーモデル

まず、デビュー以来大きなスペック変更のないロングセラーを紹介。いずれも完成度が高いからこそ時代の変化にも負けず、良好なセールスを記録し続けているモデルだ。

ブラジルのビーチサンダルの代名詞「ハワイアナス」

鼻緒の付いたサンダルは英語で「Thong(ソング)」と呼ばれ、最もポピュラーなサンダルデザイン。レザーで造られたものも存在するが、原材料にゴムや合成樹脂を使用したビーチサンダルのシェアが圧倒的だ。

そんなビーチサンダルのカテゴリーにおいて、確固たるポジションを築くことに成功しているのが、ブラジル・アルパルガタス社の「Havaianas(ハワイアナス)」。1962年に登場以来、ブラジルでは誰もが知っているビーチサンダルの代名詞となっていたが、世界中でその名を知られることになったのは21世紀に入ってから。

2003年よりアカデミー賞のノミネート者にスペシャルなハワイアナス(オスカーモデル)がプレゼントされ、これをきっかけに米国市場でも注目を集めた。現在ではリンジー・ローハン、ニコール・リッチー、キャメロン・ディアスなど多くのセレブに支持されるブランドとして知られている。

100円ショップでも買えるビーチサンダルに「2000円近いお金を出す必要があるの?」と思っている人こそ、ハワイアナスを一度履くべき。原材料にゴムを使用していることから合成樹脂をベースにしているビーチサンダルよりも弾性があり、心地よいクッション性を感じられる。さらに同社が使用しているラバースポンジは耐摩耗性にも優れていることから、他社のビーチサンダルと比較すると明らかに長持ちする。

また豊富なカラーバリエーションが揃っていることから、コーディネイトに合わせてバリエーションを揃えるのも楽しみのひとつ。「TOP」と呼ばれるベーシックモデルがセールスの大半を占めているが、最近ではストラップやソールが細身の「SLIM」、ヒールストラップが取り付けられた「FIT」、ヒールの付いた「HIGH LIGHT」といったモデルもリリースされるなど、女性からのフィードバックを的確に商品化し、さらなるシェアの拡大に成功している。

ベーシックモデルの「TOP」(1785円)(画像クリックで拡大)

ストラップやソールが細身の「SLIM」(2520円)(画像クリックで拡大)

かかとまでカバーするストラップが付いた「FIT」(3360円)(画像クリックで拡大)

ヒールのある「HIGH LIGHT」(4725円)(画像クリックで拡大)