ごろ寝視聴に適した「JBL ON AIR WIRELESS」

見た目に奇抜なアーチ状のデザインは、何となく無駄に空間を使っているようで、日本人的感性からはモッタイナイ感じがしないでもない。だが、アンプ・スピーカー一体型の製品は、設置が簡単でAirPlayの利便性も実感しやすい。

AirPlayに対応した、同じiPodドック付きのアンプ内蔵スピーカーでは、Bowers&Wilkins (B&W)の「Zeppelin Air」(実勢価格6万9800円)が先行して販売されており、音質的な評価も高い。だが、やはり気軽に買うには、ちょっと高い。JBL ON AIR WIRELESSはそれより3万円安いのだ。

しかし安いからと言って、そこはさすがにJBLブランド。音質的にも手抜きはない。メーンのスピーカーは、アーチ状グリルの左右に45mmフルレンジ、アーチの頂上にツイーター1基という構成。45mmユニットはネオジウムマグネットにアルミコーンというJBLお得意のユニットで、アンプ出力は総合で13W(6.5W×2ch)と、プライベートな空間で使うには十分なパワーだ。

ただし、各ユニットのレイアウトから分かるように、いわゆるステレオ定位のピントが得られる場所はどこにもない。その代わり室内での音場演出には利のある構成で、どこで聴いても帯域に偏りの少ない、レンジの広い音が楽しめる。見た目からは意外なことに、低域が豊富なことも特筆すべき点だろう。

結果的に、大きなスピーカーを正面の軸から離れた位置で聴いているような、まるで映画館で聴く音楽のような雰囲気があって、なかなか楽しい。特に、iPadの画面を見ながら部屋でゴロゴロ、という私のAirPlayの利用法にはバッチリすぎるほどハマっている。

音量もiOS機器側で調整できるし、操作に対するレスポンスに若干のラグはあるものの、決してストレスを感じるほどではない。厳密に測ったわけではないが、再生ボタンを押して音が出るまでに2秒前後、音量操作の応答や音楽の停止に1秒弱、というところだろうか。

普段、iPadでYouTubeを見ていて驚くのは、手元の映像とAirPlayの音にズレが感じられないことだ。映像を手元のiPadのスクリーンで、音だけをWi-Fi経由で再生しているのだから、多少の音に遅延はあっていいはずだが、そこはほとんど気にならない。