老舗ブランドが使命感を持って提供する、使用度の高いアウトドアギアとは?

こうした状況下、防災グッズが注目を浴びているわけだが、1970年代からアウトドアを快適にサバイブする実用性の高いギアを開発し、追究している日本の老舗メーカー、モンベルは、これまで培ってきたノウハウを駆使し、フィールドのみならず、災害時にも活用できる商品を多数販売している。

今回商品を紹介してくれたモンベル広報部の榎本憲さんは、商品開発における会社の理念と災害時への対応について次のように話す。

「弊社の商品コンセプトは、まず“ライト&ファスト(Light&Fast)”。軽くてコンパクトになる物は、行動を早くすることができ、それは最終的には安全につながる。例えば、一昔前の登山の道具は重く行動範囲が限られていたが、現在の装備は軽いので快適に広い範囲を動くことができる」。つまり以前ならば2泊だった行程が、現在の装備ならば1泊で済むほどの差を生む。すると物理的に危険に遭う確率も低くなるのだという。

「もう一つのコンセプトは、“ファンクション・イズ・ビューティー(Function is Beauty)”。無駄な装飾や物をつけることなく、本当の意味での機能美を追求していこうということ。これらのコンセプトから生まれた商品はフィールドのみならず、災害時でも十分に活用できると考えている。昨年の震災では弊社でも仙台支店が被害を受けた。その直後から、継続的な支援活動をしている。あの惨事を目の当たりにしたことを教訓にし、厳しい状況下において本当に必要で、本当に使える物を提供することが使命と考えている」(榎本さん)。

なにも災害用を謳う必要はない。ただ、フィールドでのサバイブを実現する商品には、アウトドアライフを楽しむ上でも機能性の高い、なおかつ緊急時に役立つものがたくさんある。注目すべきアイテムを紹介していこう。

わずか168g。世界最軽量の完全防水ウェア

バーサライトジャケット

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重量はジャケット単体でわずか168g
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ジャケットは収納してしまえば、一般的な折りたたみ傘より小さいくらい
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モンベル独自の防水透湿性素材「スーパーハイドロブリーズ」2.5レイヤーと15デニールの極薄シェル素材「バリスティックエアライト」を採用。さらにジッパーやシームテープにもこだわり、ジャケット単体の重さわずか168g。通常のレインジャケットが300〜400gだということを考えれば規格外な軽さであり、世界最軽量と声高に謳うモンベル自慢の一品だ。折り畳めば手のひらに乗るコンパクトさ。カバンの中に忍ばせておいても、まったく気にならない重さと大きさで、いざという時かならず重宝するだろう。

「例えば夏に富士山に行く人は、これで十分。ほかにも普通のランナーやトレイルランをする人にも最適。スーパーハイドロブリーズは簡単に水を中に通さず、湿気だけを外に出す素材で、何時間着ていても水は染みてきません」(榎本氏)

実際着用してみると軽やかでまったく重さを感じさせず、当然可動するにも問題なし。この飽きのこないシンプルなデザインに、実用性と機能美を追求したあとが窺われる。

また、汚れた場合は洗濯機で洗えるというお手軽さ。脱水をせず、そのまま日陰干しすればOK。乾燥機の使用にも耐えられるというから驚きだ。

こういった薄手のジャケットは鋭利な物を引っかけた時、破れてしまうのではないかという懸念があるが、素材内にリップストップというものが格子状に細かく張り巡らされ、それがストッパーとなり大きく破れない仕組みになっているという。タフな状況でも心強い防水ウェアだ。カラーは4色で、5サイズ展開(男女兼用モデル)。

ジッパーやシームテープにもこだわっている
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格子状に張り巡らされたリップストップ
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