ソニー Eマウント用 50mm単焦点レンズ
定番製品 比較テスト
〜性能徹底比較&作例ダウンロード〜
画面の中央付近に直接太陽が見えるようにして木々を撮影した。このシーンにおいてはどのレンズも開放から極端にコントラストが落ちることはなく、今回テストした5本のレンズで特に逆光が弱いと感じられるものはなかったと記しておきたい。また、光源付近に見られるゴーストの出方にはそれぞれのクセが見られ、ゴーストの発生が少なかったのはFE 50mm F1.8とSonnar T* FE 55mm F1.8の2本だった。
セッティング:絞り優先オート F1.8 1/5000秒 露出補正なし ISO100
セッティング:絞り優先オート F1.4 1/8000秒 露出補正なし ISO100
セッティング:絞り優先オート F1.8 1/6400秒 露出補正なし ISO100
セッティング:絞り優先オート F2 1/5000秒 露出補正なし ISO100
セッティング:絞り優先オート F2 1/5000秒 露出補正なし ISO100
SONY
FE 50mm F1.8
SEL50F18F
SONY
Planar T* FE 50mm F1.4
ZA SEL50F14Z
SONY
Sonnar T* FE 55mm F1.8
ZA SEL55F18Z
コシナ
フォクトレンダー
APO-LANTHAR 50mm
F2 Aspherical
カールツァイス
Batis 2/40 CF
SONY FE 50mm F1.8 SEL50F18F
全体的に見ればコントラストは高く、解像力にも不満はない。ただし、やや広い範囲で紫色の色づきが見られる。
SONY Planar T* FE 50mm F1.4 ZA SEL50F14Z
開放のF1.4から非常にコントラストは高く、画面全体に締まりがある。光源付近のゴーストの出方もおとなしく、開放から逆光で使うことをためらう必要はない。だが、パープルフリンジの発生は顕著。
SONY Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA SEL55F18Z
開放F1.8からコントラストに不満はないが、エッジ部に紫色の色づきが目立つ。光源の周囲は少しハレーションっぽい甘さも見られるので、逆光時にしっかり撮りたいなら絞るといいだろう。
コシナ フォクトレンダー APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical
開放のF2.0からまったく破綻のない逆光描写は見事というしかない。コントラストも高く、しかも階調再現も美しい。太陽が直接映り込んでいるシーンとは思えないほど均整の取れた仕上がりとなっている。
カールツァイス Batis 2/40 CF
全体的にはコントラストは柔らかめで階調重視の設計だと感じる。開放では周辺減光も目立つ。解像力よりも滑らかさを求めるにはいいレンズだ。
セッティング:絞り優先オート F1.8 1/5000秒 露出補正なし ISO100
セッティング:絞り優先オート F1.4 1/8000秒 露出補正なし ISO100
セッティング:絞り優先オート F1.8 1/6400秒 露出補正なし ISO100
セッティング:絞り優先オート F2 1/5000秒 露出補正なし ISO100
セッティング:絞り優先オート F2 1/5000秒 露出補正なし ISO100
SONY
FE 50mm F1.8
SEL50F18F
SONY
Planar T* FE 50mm F1.4
ZA SEL50F14Z
SONY
Sonnar T* FE 55mm F1.8
ZA SEL55F18Z
コシナ
フォクトレンダー
APO-LANTHAR 50mm
F2 Aspherical
カールツァイス
Batis 2/40 CF
SONY FE 50mm F1.8 SEL50F18F
光源の木漏れ日に紫の色づきが多く見られるのが気になるところ。開放絞りでは少し解像力も低めのように感じる。逆にほかのレンズでは目立つ粒状のゴーストはほとんど見られない。
SONY Planar T* FE 50mm F1.4 ZA SEL50F14Z
光源の周りにわずかに粒状のゴーストが見られるが、ほかのレンズと比較してもその出方はおとなしく、逆光性能は優秀と感じる。多くのレンズに紫の縁取りが見られる中、このレンズでは開放F1.4からほとんど発生していないのは見事だ。
SONY Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA SEL55F18Z
光源付近に出る粒状のゴーストは比較的少なめ。F1.8の開放ではわずかにハレーションっぽくコントラストが落ちる部分も見られる。だが、コントラストが極端に落ちるわけではない。
コシナ フォクトレンダー APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical
逆光の強い光を見事に押さえ込んで、点光源として写し出してくれている。ごくわずかに粒状のゴーストは見られるが、そのサイズはほかのレンズと比較しても最小限となっている。逆光を前提に設計されたレンズなのでは?と思うほどの実力だ。
カールツァイス Batis 2/40 CF
太陽の木漏れ日がうまく処理されており、美しい逆光再現性といえる。
タイルの壁に正対する形にカメラを備え、一律F5.6で撮影している。レンズ本来の実力を見るため、あえてカメラの収差補正をオフにして撮影した。結果としてはコシナとカールツァイスが優れていたが、どのレンズもわい曲収差はゼロといえるレベルか、あってもごくわずかという感じで、わい曲を気にする必要はないという結果となった。
セッティング:絞り優先オート F5.6 1/60秒 露出補正なし ISO100
セッティング:絞り優先オート F5.6 1/50秒 露出補正なし ISO100
セッティング:絞り優先オート F5.6 1/80秒 露出補正なし ISO100
セッティング:絞り優先オート F5.6 1/80秒 露出補正なし ISO100
セッティング:絞り優先オート F5.6 1/60秒 露出補正なし ISO100
SONY
FE 50mm F1.8
SEL50F18F
SONY
Planar T* FE 50mm F1.4
ZA SEL50F14Z
SONY
Sonnar T* FE 55mm F1.8
ZA SEL55F18Z
コシナ
フォクトレンダー
APO-LANTHAR 50mm
F2 Aspherical
カールツァイス
Batis 2/40 CF
SONY FE 50mm F1.8 SEL50F18F
わずかに上下が膨らむたる型のわい曲収差が見られる。といっても建築物などを厳密に撮った場合にのみ感じるレベルでほとんど気にならないだろう。
SONY Planar T* FE 50mm F1.4 ZA SEL50F14Z
厳密にはごくわずかながらたる型の収差が見られるが、ほぼなしというレベル。一般的な撮影においてはまったく気にする必要はないだろう。
SONY Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA SEL55F18Z
少し上下方向のたる型わい曲収差が見られる。ほかの純正レンズに比べると少し目立つが、これも一般的な撮影において気になるレベルではないといって差し支えないはずだ。
コシナ フォクトレンダー APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical
わい曲収差はゼロといっていいほど周辺部の線も真っすぐに再現されている。ほかのレンズと見比べるとむしろ糸巻き型のわい曲にも感じてしまうが、実際はきわめて真っすぐな線で構成されている。
カールツァイス Batis 2/40 CF
40mmの焦点距離のためほかのレンズに比べると少したる型のわい曲が目立つようにも見える。だが、実際にスケールでチェックしてみるとほぼ真っすぐで、ごくごくわずかな収差だ。
周辺減光の補正はオフにして各レンズの開放からF5.6までを撮影した。各レンズとも開放絞りでは大きく周辺部分が暗くなる周辺減光が見られるが、開放から1段絞ると一気に光量落ちが少なくなる傾向にある。その点でいえば、開放F値の明るいPlanar T* FE 50mm F1.4は1絞り絞ってもF2.0となり、ほかのレンズのF2.0よりも光量落ちの軽減にはプラスに働いていると感じた。また、Batis2/40 CFも周辺減光に関しては優秀な結果となった。
セッティング:絞り優先オート F1.8 1/800秒 露出補正なし ISO100
セッティング:絞り優先オート F1.4 1/1250秒 露出補正なし ISO100
セッティング:絞り優先オート F1.8 1/1000秒 露出補正なし ISO100
セッティング:絞り優先オート F2 1/640秒 露出補正なし ISO100
セッティング:絞り優先オート F2 1/800秒 露出補正なし ISO100
SONY
FE 50mm F1.8
SEL50F18F
SONY
Planar T* FE 50mm F1.4
ZA SEL50F14Z
SONY
Sonnar T* FE 55mm F1.8
ZA SEL55F18Z
コシナ
フォクトレンダー
APO-LANTHAR 50mm
F2 Aspherical
カールツァイス
Batis 2/40 CF
SONY FE 50mm F1.8 SEL50F18F
絞り開放となるF1.8は周辺減光は大きめ。軽量コンパクトなレンズだけに、周辺減光に関しては少々妥協した設計なのかもしれない。
SONY Planar T* FE 50mm F1.4 ZA SEL50F14Z
開放のF1.4ではさすがに周辺減光は大きめ。絞ると少しずつ周辺減光は少なくなる。とはいえ、ほかのレンズと比較してみればF2あたりの周辺減光は少なめ。
SONY Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA SEL55F18Z
開放F1.8での周辺減光は大きい。しかし絞るとF2.8で一気に周辺減光が気にならなくなるという感じ。ポートレート撮影などでは周辺減光がプラスに働くこともあるので、状況に応じて絞りでコントロールするのがいいだろう。
コシナ フォクトレンダー APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical
開放F値はF2だが、やはり開放絞りでは周辺光量落ちは目立つ。周辺光量落ちが気になるシーンでは絞って使うのがいいだろう。
カールツァイス Batis 2/40 CF
開放のF2.0での周辺光量落ちは目立つ。だがほかのレンズのF2と比べると実はそれほど落ち込みは大きくないともいえる。そういう意味では開放から使いやすいレンズといってもいいだろう。
スタジオの定常光環境でぬいぐるみの鼻にピントが合うように撮影している。APO-LANTHAR 50mmに関してはマニュアルフォーカスレンズのため、フォーカスピーキング機能を併用してピント合わせを行った。結果、優れていたのはPlanar T* FE 50mm F1.4とAPO-LANTHAR 50mm F2の2本。ただし、Planar T* FE 50mm F1.4はピント面から少し外れた部分のボケがうるさい印象。
セッティング:絞り優先オート F1.8 1/160秒 露出補正なし ISO100
セッティング:絞り優先オート F1.4 1/250秒 露出補正なし ISO100
セッティング:絞り優先オート F1.4 1/200秒 露出補正なし ISO100
セッティング:絞り優先オート F2 1/125秒 露出補正なし ISO100
セッティング:絞り優先オート F2 1/125秒 露出補正なし ISO100
SONY
FE 50mm F1.8
SEL50F18F
SONY
Planar T* FE 50mm F1.4
ZA SEL50F14Z
SONY
Sonnar T* FE 55mm F1.8
ZA SEL55F18Z
コシナ
フォクトレンダー
APO-LANTHAR 50mm
F2 Aspherical
カールツァイス
Batis 2/40 CF
SONY FE 50mm F1.8 SEL50F18F
開放F1.8での解像力はそれほど高くない。絞りを絞っていってもその傾向は変わらず、ほどほどの解像力といった印象となった。ピント面からわずかにずれた位置のボケは美しいとまではいかないが、比較的に滑らかといえるだろう。
SONY Planar T* FE 50mm F1.4 ZA SEL50F14Z
開放F1.4から非常に高い解像力を持つレンズ。ただし、ピント面から少し外れたところのボケはややガチャガチャした印象となっており、ボケ味は独特といっていいだろう。
SONY Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA SEL55F18Z
開放F1.8から十分な解像力を発揮してくれる。ピント面から少しだけ外れた位置のボケ感も悪くない。解像力とボケ感のバランスがいいレンズだと感じた。
コシナ フォクトレンダー APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical
開放のF2.0から驚くほどシャープで高い解像力。と50mmの単焦点レンズとしては明るさは抑えめだが、その分、理想的な設計が施されているのだろうと感じる。ピント面から少し外れた部分の微細なボケもとても美しい。
カールツァイス Batis 2/40 CF
F2.0の開放絞りではほどほどの解像力。どちらかといえば柔らかな描写という印象だが、その分、ピント面から少し外れた部分のボケはとても滑らかで美しい。このため、全体の印象としてはとても落ち着いた仕上がりになっている印象だ。
セッティング:絞り優先オート F1.8 1/160秒 露出補正なし ISO100
セッティング:絞り優先オート F1.4 1/250秒 露出補正なし ISO100
セッティング:絞り優先オート F1.4 1/200秒 露出補正なし ISO100
セッティング:絞り優先オート F2 1/125秒 露出補正なし ISO100
セッティング:絞り優先オート F2 1/125秒 露出補正なし ISO100
SONY
FE 50mm F1.8
SEL50F18F
SONY
Planar T* FE 50mm F1.4
ZA SEL50F14Z
SONY
Sonnar T* FE 55mm F1.8
ZA SEL55F18Z
コシナ
フォクトレンダー
APO-LANTHAR 50mm
F2 Aspherical
カールツァイス
Batis 2/40 CF
SONY FE 50mm F1.8 SEL50F18F
絞り開放となるF1.8での解像力はほどほど。十分な解像力とも見えるがほかのレンズと比べるとそれほど解像力は高くないといっていいだろう。ただし、あくまで比較した場合の話だ。
SONY Planar T* FE 50mm F1.4 ZA SEL50F14Z
テストした5本のレンズで最も開放絞りがシャープなのがこのレンズ。開放F1.4と被写界深度が浅いにもかかわらず、これだけの解像力を見せてくれたことに驚かされた。純正レンズの最高峰標準単焦点としての面目躍如というところだろうか。
SONY Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA SEL55F18Z
純正レンズ3本の中では真ん中の解像力というところ。Planar T* FE 50mm F1.4ほどの解像力はないが、FE50mm F1.8よりは開放絞りでの解像力は高い。このテストでは標準的なレベルの解像力を持つレンズという結果といえるだろう。
コシナ フォクトレンダー APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical
開放絞りのF2.0からきわめてシャープ。ほかのレンズのF2.0と比べるとこのレンズが最も解像感が高い。ソニーのα7R IIIで使用する分にはピントもつかみやすく、MFレンズでも高い解像力の恩恵を十二分に受けられた。
カールツァイス Batis 2/40 CF
開放のF2.0ではピント面のシャープさはほどほどという感じ。ピントは合っているのだが、その部分がわずかに滲(にじ)んだようにも見える描写が特徴的だ。解像力よりも描写の質感を重視した設計なのかもしれない。
撮影データを元データで確認したい場合はこちらから。「F値:F1.8」などのボタンをクリック/タップすると元画像が別タブで開く。また、画像サイズが大きいためスマートフォンなどで開く場合には、パケット使用量などに注意してほしい。
撮影機材紹介
SONY
α7R III ILCE-7RM3 ボディ
最安価格円
最新から1世代前となるα7R IIIを使用。4,240万画素という高解像度のデータはレンズの性能を余すところなく写し出してくれる。APO-LANTHAR 50mmのようなマニュアルフォーカスレンズでも、ビューファインダーをのぞきながらフォーカスピーキング機能を使えば確実なピント合わせが可能となる。
α7R III ILCE-7RM3検証・監修
塙真一 Shinichi Hanawa
東京都出身。
人物をメインの被写体とするフリーランスのフォトグラファー。
カメラ誌に写真や記事を寄稿するほか、役者、タレント、政治家などの撮影も行う。
また、海外での肖像写真撮影、街風景のスナップ、夜の街を撮る「夜スナ!」をライフワークとする。
写真展の開催も多数。