更新日:2020年12月22日
オイルヒーターの電気代を安くするには?ほかの暖房器具と徹底比較

体に優しくて静かな暖房 オイルヒーター
寒い冬を快適に過ごすために欠かせない暖房器具。古くは火鉢や暖炉といった暖房器具も一般家庭で使われていましたが、今ではエアコンや電気・ガス・灯油などのヒーターが中心となっています。
そんな中、最近人気が高まっているのがオイルヒーター。オイルヒーター自体は、古くからある暖房器具ですが「オイルヒーター本体に加えて電気代も高い」という評判もあってあまり普及していませんでした。
しかし、近年は本体価格が低下したことや、住居の気密性や断熱性が高まっていること、さらにオイルヒーターならではのメリットもあり、利用が広がってきています。
では、オイルヒーターの特徴をチェックしておきましょう。
オイルヒーターは放熱板(フィン)がついた密閉容器内に難燃性のオイルが入っています。電気の力でオイルを加熱、放熱板を通じて室内の空気を暖めます。ファンヒーターやエアコンのように暖かい空気を室内に放出するタイプの暖房器具ではなく、暖房器具と室内の空気の温度差によって生じる空気の自然な対流によって部屋を暖めるタイプの暖房器具です。
そのため、部屋全体が暖まるまでは時間がかかりますが、無風で優しい感じのする柔らかな暖かさが得られるのが特徴です。無風なので、温風が直接身体に当たったり、ほこりやハウスダストなどをまきあげたりすることがない、とても静かな暖房器具です。
空気の乾燥による、のどの痛みや肌のかさつきが気になる方、小さなお子さんがいらっしゃるご家庭に人気があります。
オイルヒーターのメリット・デメリット
オイルヒーターのメリット | オイルヒーターのデメリット | 近年の傾向 |
---|---|---|
動作音が静か 無風で柔らかな暖かさ |
電気代がかかる 本体価格が高い |
本体価格が低下してきている 住居の気密性や断熱性の向上で 暖房効率があがっている |
デロンギ社製オイルヒーターの1時間あたりの電気代
それでは日本国内でもよく知られているデロンギ社の電気代をチェックしてみましょう。
ここでは、6畳の寝室(1200W機器を使用)、8畳の勉強部屋(1200W機器を使用)、10畳のリビング(1500W機器を使用)の3パターンで電気代を試算しました。
試算の前提
- 建物の構造・断熱性:RC集合住宅・新省エネ基準(W地域)に適合
- 運転時間:8時間(寝室:22時〜翌6時、勉強部屋:15時〜23時、リビング:15時〜23時)
- 外気温:拡張アメダス気象データに基づいた東京の1月上旬の気温/照明や人体の発生熱などを考慮
- 1kWhの電気代:27円で計算
8時間使用した場合の1時間あたりの平均電気代は寝室が約9円、勉強部屋が約13円、リビングが約18円。エコ運転搭載モデルでは、寝室が約8円、勉強部屋では約10円、リビングでは約14円となり、約20%の節電になることが分かります。
2020年時点のオイルヒーター1時間あたりの電気代
6畳の寝室 (1200W機器を使用) | 8畳の勉強部屋 (1200W機器を使用) | 10畳のリビング (1500W機器を使用) | |
---|---|---|---|
通常モデル | 約9円/時 | 約13円/時 | 約18円/時 |
エコ運転搭載モデル | 約8円/時 | 約10円/時 | 約14円/時 |
オイルヒーターの電気代を安くするには?
オイルヒーターの電気代を安くする方法は2つあります。1つは、最新の機種にすること。上で記載した1時間あたりの電気代は2020年12月の内容ですが、2015年の1時間あたりの電気代は下記です。3円から6円ほど最新の機種は電気代が安くなっているのが分かります。もし、古い機種であるならば買い替えを検討してみてもいいかもしれません。
2015年時点のオイルヒーター1時間あたりの電気代
6畳の寝室 (1200W機器を使用) | 8畳の勉強部屋 (1200W機器を使用) | 10畳のリビング (1500W機器を使用) | |
---|---|---|---|
通常モデル | 約12円/時 | 約17円/時 | 約24円/時 |
エコ運転搭載モデル | 約11円/時 | 約15円/時 | 約19円/時 |
オイルヒーターの電気代を安くする方法の2つ目は電気料金のプランを見直すことです。機器を買い替えなくても、従量料金が安いプランに変更することで、電気代が安くなる場合もあります。2015年の機種で東京電力から他の新電力に切り替えた場合を見てましょう。
試算の前提
- 東京電力は従量電灯Bで120kWhをこえ300kWhまでの従量料金、新電力各社も同様の段階性の料金プランで120kWhをこえ300kWhまでの従量料金
- 1日の使用時間:8時間
- 1か月の日数:31日
- 10畳のリビングで1500W機器を通常モードで使用
- 燃料費調整単価、再生エネルギー賦課金は計算に含まず
電力会社を見直した場合の電気代
1時間当たりの電気代 | 1か月の電気代 | |
---|---|---|
東京電力 | 約24.0円/時 | 約5,952円 |
新電力A社 | 約20.5円/時 | 約5,077円 |
新電力B社 | 約21.8円/時 | 約5,410円 |
新電力会社の電気料金プランは地域電力よりも従量料金が安いプランがあります。その場合、同じ機器をご利用されても1kWhあたりの電気代が安くなるため、電気代は安くなります。もちろん、オイルヒーターだけではなく、ご自宅で利用されている電気機器すべてに適用されます。新電力会社のプランは様々あり、電気の使用量でも金額が異なってきますので、基本料金や従量料金などをシミュレーションでご確認ください。
オイルヒーターとその他の暖房器具の電気代を比較
オイルヒーターの電気代がわかったところで、知りたくなるのが他の暖房器具との比較。オイルヒーターの電気代は本当に高いのか、それとも言われるほど高くないのか、主な暖房器具と比較しておきましょう。
エアコンの電気代はオイルヒーターより安い
7〜10畳の部屋に適する冷房能力が2.5kWのスペックのエアコンの冬季暖房時の消費電力量は596kWh。このデータを基に、1時間当たりの消費電力量と電気代を比較してみましょう。
※消費電力量は資源エネルギー庁の「省エネ性能カタログ2019年冬版」を参照
試算の前提
- エアコンの設定温度:20度
- 1日の使用時間:18時間(6:00〜24:00)
- 1か月の日数:31日
- 5.5か月(10月28日〜4月14日)
- 1kWhあたりの電気代は27円(以下の電気代の計算も同様)
以上の条件で暖房を使用した場合、
1時間あたりの消費電力量は 596kWh÷5.5か月÷31日÷18時間=0.194kWh
1時間あたりにかかる電気代は 0.194kWh×27円=約5.2円となります。
エコ運転搭載モデルのオイルヒーターを利用した8畳の勉強部屋の1時間あたりの電気代が約15円と比べても、電気代はエアコンの方がお得ということになります。
こたつの電気代はオイルヒーターより安い
こたつは一定の温度に達するとヒーターが切れますし、最近は「人感センター」を採用し人の動きを感知しないと自動的にヒーターを切る機能など、進化を続けています。しかし4人以上で使える大型こたつの場合、消費電力はカタログ値で500〜600W。
暖め始めを除けば、実際の消費電力は100〜200W程度となり、1時間あたりの電気代は5.2円。電気代をオイルヒーターと比べるとこたつに軍配があがりますが、こたつは部屋全体を暖める暖房器具ではありません。他の暖房器具とあわせて使う冬の定番暖房器具としての利用がいいのかもしれません。
電気ストーブの電気代はオイルヒーターより高い
電気ストーブには、セラミックファンヒーターのようにヒーターで暖めた空気をファンで送るタイプのものと、カーボンヒーターやハロゲンヒーターに電気を通して加熱し遠赤外線で暖まるといったものがあります。消費電力はセラミックファンヒーターが600W(弱)〜1200W(強)、カーボンヒーターやハロゲンヒーターが500W(弱)〜1000W(強)程度です。
それぞれの1時間あたりの電気代はセラミックファンヒーターが16.2円〜32.4円、カーボンヒーターやハロゲンヒーターが13.5円〜27円となります。
電気ストーブを長時間利用するならば、エコモードがあるオイルヒーターで室内をじっくりと暖めるほうが電気代は安くなりそうです。
石油ファンヒーターの電気代はオイルヒーターより安い ※ただし灯油代を除く
灯油を燃焼して温風を作り出しファンで送風するのが石油ファンヒーター。室内の空気を強力にかくはんするため、すばやく部屋を暖めることができます。
消費電力はメーカーや機種によって異なりますが、点火時は300W程度、燃焼時は10〜30Wです。消費電力量を0.02kWhとすると、1時間あたりの電気代は0.54円と1円未満で暖房能力のある器具としては最安。
ただしポイントは灯油代。トヨトミの「スマートファンヒーター」シリーズの木造10畳・コンクリート13畳タイプ(LC-SL36E)を参考に試算したところ、最大時の燃料消費量は1時間あたり0.35リットルで、最小時は0.099リットルとなっています。
灯油18リットルの価格を1,200円とした場合、最大に燃焼すると1時間あたりの灯油代は23.3円、最小燃焼時では6.6円。
電気代と灯油代を合わせると、1時間あたり7.14〜23.84円となりますので、電気代の節約代だけでなく給油の手間と灯油代も考慮に入れる必要がありそうです。
暖房機器別の1時間あたりの電気代
暖房機器 | 8畳の勉強部屋を暖める場合の電気代 |
---|---|
オイルヒーター エコ運転搭載モデル 1200W | 約10円/時 |
エアコン | 約5.3円/時 |
こたつ | 約5.4円/時 |
石油ファンヒーター | 約7.14〜23.84円/時 ※灯油代を含む |
カーボンヒーター 500W〜1000W |
約13.5円〜27円/時 |
ハロゲンヒーター 500W〜1000W |
約13.5円〜27円/時 |
セラミックファンヒーター | 約16.2円〜32.4円/時 |
もっと電気代を節約したい!電気料金プラン比較
電気代を節約する方法はたくさんあります。その中でもお試し頂きたいのが電気料金のプランを切り替えて電気代を節約すること。現在使っている機器を買い替える必要がなく、今までの通りのご利用方法でも電気代が安くなります。また、実は電気料金プランの切り替えは非常に簡単です。切り替えのお申し込みを行った後は、切り替え完了を待つだけです。切り替え工事や解約手続きは切り替え先である電力会社が行うため、お手続きも簡単です。価格.com経由で申し込みをした人だけが受けられる特典も!高くなりがちな冬の電気代をかしこく節約しましょう。