直感・効率そして安全プロのフォトグラファーが選ぶカメラ+撮影・編集機材

Pro's Choice 2020/11/16
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直感・効率そして安全 プロのフォトグラファーが選ぶカメラ+撮影・編集機材

上田晃司(フォトグラファー)

雑誌、広告を中心に、ライフワークとして世界中の街や風景を撮影。目指せ、月イチトラベラーを目標に旅を継続。ドローンを使った撮影も行う。また、近年では講演や執筆活動など幅広く活動。

道具選びのこだわりをプロに聞く「Pro’s Choice」。今回フォトグラファーの上田晃司氏が製品選びにあげたポイントは3つ。「直感的に操作できる」「時間を節約できる」「安全性が確保できる」だ。具体的な機材を例にそれらを解説する。

時短にもつながる直感的操作

職業柄あらゆるカメラに触れるという上田氏の選ぶカメラは、ニコン製フルサイズミラーレス一眼「Zシリーズ」のオールラウンドモデル「Z6」だ。性能面でもいろいろ理由を聞いたが最もわかりやすいのは「手になじむこと」。合う合わないは個人によるとしながらも「どんないいカメラでも握ってダメだったらもうダメで、格好良い靴だけど履いたら合わないのと一緒」だという。確かに道具である以上、まず快適か否かは非常に重要。快適であれば操作も容易だろうし、膨大な枚数を撮影するフォトグラファーであれば、そこにこだわるのは当然といえる。なお、Z6に合わせるレンズには「NIKKOR Z 50mm f/1.8 S」が使われている。上田氏は街の一瞬の風景などを切り取ったスナップを多く撮影するが、肉眼に近い画角で使い勝手がいいという。写真に写る範囲と視野が近ければ、これと思った瞬間をそのまま撮影できる。これはまさに感性に直結する操作性の典型のようで納得できる。

静止画・動画の撮影用にはDJIのドローン「Mavic 2 Pro」を使用する。従来ヘリ空撮などでしか撮れなかったような写真・動画が撮影できるドローンだが、上田氏は、離れた地点、あるいはちょっとした山のうえなど、写真を撮るのによさそうなロケーションを見つけた際、まずドローンを飛ばして、どのような写真が撮れそうかチェックするという。単に撮るだけでなく時短にもつながるユニークな使い方をしているのだ。

ところでなぜこの機種か、という質問に対する回答こそが今回最も印象的で「ドローンが落ちない確証なんてどこにもない。だから小さいことが重要」というもの。Mavic 2 Proの離陸重量は907g。本格的な機種では4kg超のものがあるドローンの中では確かに軽量だ。それでいて、SONYの人気ハイエンドコンデジ「RX100」シリーズなどと同じサイズとなる1型センサーを搭載し、写りも良好。画質についても考慮しつつも、安全への配慮も欠かさない、プロのもの選びとはこういうものだろう。

1作業1秒の削減を突き詰める

さて、ここからは作業環境を見ていこう。まずシステムのコアとなっているのが、タブレットとしても使えるマイクロソフトの「Surface Book 3」だ。

上田氏は動画撮影も積極的に行っており、そちらの編集には「MacBook Pro」を使っている。あえて静止画の編集にSurface Book 3を使うのは、MacBook Proよりも直感的な操作が可能だからとのこと。たとえば作業中、「ココが気になる」という部分を詳しく見たい場合、Surface Book 3で画面をタッチしピンチアウトすることで、該当箇所を直接拡大できる。カーソルを動かして拡大する場合と比べて速く、かつ直感的だ。

そんなSurface Book 3だが、折りたたむとキーボードが隠れてしまう。そこで上田氏はLOUPEDECKの「LOUPEDECK+」というコントローラーを使っている。

なにやらスイッチとダイヤルが多い製品だが、明るさや色あいなど画像編集ソフトの各設定がデフォルトでダイヤルに振り分けられている。画面上のスライダーをマウスカーソルで動かしたりする代わりにダイヤルを回すことで直接調節ができてしまう。「一見、使いづらそうだが、実は使いやすい。マウスなしで操作できるから編集に集中できるし、仮に1回あたり1秒や2秒の差でも、ずっとやっていると10分とかを無駄にしているかもしれない。」という。これはボタンが多くて操作性のいい一眼カメラと、ボタンが少なく操作性はそこそこのエントリー機の違いにも通じる話で、納得させられる。

データ保存上の安全性と、時間の節約という点で選んでいるのがSynologyのNAS「DiskStation DS220j/JP」だ。NASとはネットワークに接続して使うハードディスクのこと。ネットワーク経由のアクセスが可能なため、出張で海外にいる際でも、データがNASに収納さえしてあれば作業ができ、またクライアントへの急な納品にも対応可能となる。

安全性でもNASは優れている。NAS Synologyは2つのHDDを内蔵でき、設定次第でパソコンから送ったデータを同時に両方に書き込める。つまり自動でバックアップが作成できるのだ。単にHDDに保存することとの安全性の違いはいうまでもない。

快適な操作の追求により作業効率を上げながら、安全性には最大限の配慮をする。そのコンセプトから生まれた作業環境は、さすがプロというにふさわしい印象的なものだった。

※上田晃司氏 撮影作品

Pro's Choice Item

  • デジタル一眼ニコン:Z6 ボディ

    POINT

    • 握った感じが自分の手に合う
    • 上質なEVFなどスペック表に見えないこだわり

    手になじむ点をあげたが、それを生むのは考え抜かれたグリップ形状やスイッチの配置。バッテリーもメーカー公表の撮影可能枚数以上に撮れたり、EVFも約369万ドットという数値以上にクリアに見えたりすることなど、スペック表記以上のものを体感させる作りのよさ。

    タイプ : ミラーレス 画素数:2528万画素(総画素)/2450万画素(有効画素) 撮像素子:フルサイズ/35.9mm×23.9mm/CMOS 重量:585g

    ニコン:Z6 ボディの詳細を見る

  • 交換レンズニコン:NIKKOR Z 50mm f/1.8 S

    POINT

    • 今見ている視野に近い範囲を写せる画角
    • 他社50万円クラスのレンズに迫る写りのよさ
    • 軽量なためスナップ用途などに便利

    従来の50mm単焦点レンズのイメージを覆す描写のよさ。「某社の50万円超のレンズに迫る写り(上田氏談)」。人の視野に近い画角で、さらに本体が軽く小さく、またシンプルなデザインで携帯性もいいので、これと思った瞬間をぱっと撮れる使い勝手だ。

    レンズタイプ:単焦点 焦点距離:50mm 最大径x長さ:76x86.5mm 重量:415g 対応マウント:ニコンZマウント系

    ニコン:NIKKOR Z 50mm f/1.8 Sの詳細を見る

  • ドローンDJI:Mavic 2 Pro

    POINT

    • サイズを含めた使い勝手と価格とのバランスがいい
    • 落下リスクを軽減する重さ

    専用ケースに入れればすべての機材を入れて持ち運べる。本体も手のひらサイズで、機動力抜群。それでいてハイエンドコンデジと同じサイズとなる1インチセンサーを搭載するので、画質も良好。また、落下した場合のリスクを軽減する本体の軽さもポイントだ。

    カメラ搭載有無:標準 FPV:○ 動画解像度:3840x2160 飛行時間:31分 重量:907g

    DJI:Mavic 2 Proの詳細を見る

  • パソコンマイクロソフト:Surface Book 3 15インチ

    POINT

    • タブレットとしてもノートパソコンとしても使える
    • 15インチの大画面+タッチ操作が便利
    • 外部インターフェイスが多い

    まずタッチパネルが便利。折りたためば省スペースでもレタッチができる。また、ディスプレイが15インチと大型なので、大画面を使って編集できる。外部インターフェイスもひと通り搭載しているので、出先でも「つながらない」ということが少ない。

    画面サイズ:13.5インチ 画面解像度:3000x2000 詳細OS種類:Windows 10 Home ネットワーク接続タイプ:Wi-Fiモデル ストレージ容量:256GB メモリ:16GB CPU:Core i7 1065G7/1.3GHz

    マイクロソフト:Surface Book 3 15インチの詳細を見る

  • コントローラーLOUPEDECK:LOUPEDECK+

    POINT

    • ダイヤルの多さによる操作性のよさ
    • 主要なソフトは初めからダイヤルに機能が設定済み
    • 今まで見えなかった世界が見えることも

    画面上の各パラメーターをマウスで操作するのと比べ、ダイヤルをひねって調整できるので圧倒的に速い。試行錯誤が楽なので、ちょっと試してみた結果、思わぬ正解にたどり着くこともある。さらにダイヤルには初めから各操作が設定済みなので導入も簡単。

    タイプ:写真・映像編集コンソール 幅x高さx奥行き:396x35x155mm 重量:702g

    LOUPEDECK:LOUPEDECK+の詳細を見る

  • NASSynology:DiskStation DS220j/JP

    POINT

    • 外出先からでもアクセス可能
    • 多重バックアップが簡単
    • 従来自分でやっていた作業も自動でできる

    海外出張などもあるため、持ち運ぶことなくどこからでも自分のデータにアクセスできることは大きなメリット。内蔵した複数のHDDにバックアップできるほか、契約さえしておけば、バックアップデータをさらにクラウドサービスにアップするなどの作業も自動化できる。

    ドライブベイ数:HDDx2 DLNA:○

    Synology:DiskStation DS220j/JPの詳細を見る

文:ゴン川野 写真:上田 晃司

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