最高のサブマシンLenovo IdeaPad Duet Chromebook
今までパソコン購入指南を頼まれたときは、「Windows」や「macOS」搭載機を勧めてきた。だがこれからは「Chrome OS」搭載機も用途によって積極的に勧めていきたい。というのも、「Lenovo IdeaPad Duet Chromebook ZA6F0038JP」の使いやすさに感心したからだ。
Googleが作ったOSを搭載
Lenovo IdeaPad Duet Chromebook ZA6F0038JP(以下IdeaPad Duet)の搭載するChrome OSとはGoogleが提供しているOSで、同じくGoogleが提供しているブラウザー「Chrome」との相性を第一として開発された。WindowsやmacOSほどの拡張性はないが、かえってシンプルで、安価な端末で「Google検索」「Gmail」「Googleマップ」「Googleカレンダー」などのWEBアプリをスピーディーに扱うためのOSといっていい。それを搭載するのがいわゆる「Chromebook」なのだ。
IdeaPad Duetは、Chromebookであると同時に脱着式のキーボードを備える2in1タブレットでもある。このタイプのタブレットPCはこれまでもいくつも発売され、自分で使ってもきたが、いまいちピンとくるモデルは少なかった。操作性や処理面で不満があったからだ。
ところがIdeaPad Duetは、普段使い慣れているいわゆる「パソコン」のように動かせた。軽量OSであるChrome OSとの相性がきわめていいうえに、マルチウインドウも扱いやすく、生産性も高いタブレットPCに仕上がっていたためだ。
そして、試すにつれて強く感じたことがある。それは「サブマシンとして最高なのでは」ということだ。
キーボードの質が高くコスパもいい
ここでいったんIdeaPad Duetのハードウェアとしての特徴を見ていこう。細かいデータをチェック、あるいはエンタメコンテンツの視聴にも適した10.1インチディスプレイ部に、2.0GHzのMediaTek Helio P60Tプロセッサー、4GBのメモリー、128GBのストレージが組み込まれている。カメラは前面にも背面にも備わり、スタンダードなタブレットPCの構成といえる。
モバイルデバイスとして重要な重さは、タブレット部で約450g。キーボードカバーを装着しても約920g。1kgを切っている。それなのに、価格は4万円前後(※)と値段も手頃だ。
狭いスペースでも自立させることができる本体内蔵スタンドは助かる存在。新幹線や特急の机の上でも置きやすい。これはエコノミークラスの飛行機席の机でも自然なポジションに置けることを意味している。※2020年11月時点
そんなボディに組み合わせるキーボードカバーのキーストロークはサイズにしては深く、「英数」「かな」キーも備わっている。キー配列に余裕があるから、このサイズと重量にしては、悪くない使い心地だ。もちろんソフトウェアキーボードとは比較にならないほど入力しやすい。指の疲れ方も全然違う。
僕自身はライターという職業柄、質量とキーボードを重視して選ぶほうだが、その点、IdeaPad Duetはきわめてハイレベルだと感じた。普通のパソコンのように使えると感じたのはこのあたりの質の高さによるところも大きい。
モバイル用アプリだからスピーディー
IdeaPad Duetは使いやすい。それはひとえに、Chrome OSがライトウェイトなOSであるからだ。
それに加えて増えつつあるChrome OS専用アプリや、インストール可能な一部のAndroid用アプリも、機能を絞り込み、低スペック環境でも快適に動くモバイルマシン用として作られている。
その代表例といえるのが、モバイル版「Microsoft Office」だ。「Word」「Excel」「PowerPoint」の機能をひとつのアプリにまとめたもので、データの閲覧やちょっとしたデータの修正・編集であればスピーディーに作業できる。オフライン環境で使えるというのも頼もしい。
通信環境を用意できるなら、フルスペックなクラウド版Officeスイート「Microsoft 365」(Office 365の改訂版)を使うのもいい。 ただし複数の書類を同時に扱ったり、巨大なデータで作業したりすると、レスポンスの低下が気になることがあった。このあたりはモバイル版Microsoft OfficeやGoogleの「Google Workspace」などと、使い分けたい。
また、「Zoom」などを使ったテレミーティングをしながらのデータ修正も厳しかった。そんなときはスマートフォンでミーティングを行い、IdeaPad DuetでデータをチェックすればOK。2つのデバイスを同時に活用することで、非力さをカバーできる。このあたりはIdeaPad Duetの使いこなしのポイントだろう。
ほかに、「Googleマップ」のように、大画面&タッチパネルならではの快適な操作体験ができるサービス・アプリもある。スマホで見るには画面サイズが小さいし、パソコンだとマウス・タッチパッド操作が主体でやや使いづらい印象があるGoogleマップ。だが、タッチ操作可能なIdeaPad Duetなら地図上での検索も簡単。タブレットPCゆえの強みといえる。
高い連携性能を生かすのがカギ
デバイスの垣根を超えてくれる快適さは、今までAppleが実現してきた。しかしIdeaPad Duetは、Chromeブラウザーを使うことでAndroidだけではなく、iPhoneや、Windowsパソコン、Macとも各種の情報を共有してくれる。
たとえばWEBニュースのチェックだ。スマホのChromeブラウザーで、気になった記事をブックマークしたり、タブを開いたりしておくと、あとからIdeaPad Duetを開いたとき、すぐにそれらの情報にアクセスできる。Chromeブラウザーを用いたアカウント同期機能が充実しているから、こういった使い方が可能になる。
いうまでもないがGoogleのストレージサービス「Googleドライブ」との親和性も高く、これ経由すれば作業用のデータの共有も簡単。IdeaPad Duetで作成・編集したデータを、スマホで素早くチェックできる。
正直、IdeaPad Duetの性能はそれほど高くない。そのため、単体ですべての作業をするならこれである必要はない。
あるときはスマホにコミュニケーションをまかせて、アシストをするためのデータ確認に使う。あるときは移動中にスマホで見た動画を続きから視聴。またあるときはスマホでチェックしておいた行き先を大きな地図で確認する。といったように連係性能を生かし、スマホやパソコンではちょっとストレスを感じる部分を補助するサブマシンとして割り切った使い方をすること。
そうすることでIdeaPad Duetの魅力は最高に発揮されるだろう。
文:武者良太 写真:文田信基(fort)










