「NISA (ニーサ)」少額投資非課税制度が今年の1月に開始された直後に行われた今回の調査であったが、昨年1月29日の閣議決定、4月30日の名称決定からの周知期間が必ずしも十分だったとはいえない割には、言葉としての「NISA(ニーサ)」は意外なほど一般に浸透しているといえる。
「NISA(ニーサ)」の現在の商品設計が1人1社にしか口座を開設できず、しかも4年間は口座を移動することができないという特殊な条件となっていることもあって、昨年後半の短期間に各金融機関が広告などを集中展開して口座の獲得競争を繰り広げたことが、結果として「NISA(ニーサ)」という名称の予想外の浸透につながった面は否定できないだろう。
一方で、アンケート結果からは、「NISA(ニーサ)」口座の活用の中心は現時点ではこれまでも投資を行ってきた層の従来の投資の延長線上での利用であることが読み取れる。
「NISA(ニーサ)」が昨年末で廃止された「証券優遇税制」の代替案の一側面を持つことを考えればこれは十分うなづける結果であり、今まで積極的に株式などの運用を行ってきた既存の投資家層が、優遇税制廃止で「やむなく」株式の取引の一部を「NISA(ニーサ)」口座での取引にシフトしたというのが実態であろう。
これは、「すでにNISA(ニーサ)口座を開設した」回答者からの要望の最大のものが、「投資限度額の引き上げ」であることからも裏付けられる。従来投資金額無制限の「証券優遇税制」を享受してきた投資家にとって見れば、年間100万円5年間までの「NISA(ニーサ)」制度は「スズメの涙」であり「あまりにも魅力がなく」「すぐに埋まってしまう」(いずれもNISA口座開設済回答者からの自由意見より)と捉えられている。それでも、投資経験の豊富な回答者は、制度のメリット・デメリットを理解したうえで、「少額でも使わないよりはまし」と判断し、制度開始早々の口座開設に踏み切ったものと考えられる。
しかしながら、「NISA(ニーサ)」の本来の目的が、普通預金口座などに眠る個人の資金を積極的に株式、資本市場などのリスクマネー市場に投入し、日本の産業の復興と経済の活性化を図ること、すなわち「貯蓄から投資へ」の流れを作り、加速させることにあるとすれば、現時点ではその目的が十分達成されているとは言えない状況にある。
アンケートで「投資経験がない」と回答した人の「NISA(ニーサ)」口座の開設率はわずか4%にとどまっている。本来はこのカテゴリーの人たちの積極的投資を促すことこそが制度の目的であり、金融機関にとってもこの新規層をどれだけ取り込めるかが今後のビジネス拡大の種となるはずだ。しかし、このカテゴリーの人たちが、今のところ、制度の複雑さやリスクの把握の難しさから、「NISA(ニーサ)」の使用に踏み切ることを躊躇している様子がわかる。「NISA (ニーサ)」の名称は認知されているものの、自由意見には「なんだかよくわからない」「うさんくさい」「わかりやすい説明がほしい」などの記載が多く、「NISA (ニーサ)」の中身についての理解はこのカテゴリーの回答者には進んでいない。
ただし、「投資経験がない」と回答した人の中で、「興味はあるがまだ開設していない」または「開設する予定がある」と答えた人が3割(全回答者中では約14%)いることは、今後徐々にこれらの「新規投資家」が「NISA (ニーサ)」口座を開設し、リスク市場に参入してくる可能性があるという点で重要であり、希望の持てる部分である。
これらの層を確実に取り込み、さらに「NISA(ニーサ)」口座開設に「興味はなく、今のところ開設する気はない」と回答した残りの6割強の非投資家を「新規投資家」に変えるためには、「制度の期間延長や恒久化」により、時間をかけてていねいに制度の浸透を図ることや、現在の複雑な「NISA(ニーサ)」の仕組みそのものを簡素化して、よりわかりやすく、使い勝手のよいものに改善していくことが求められているのではないだろうか。
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- 調査対象:
- 価格.comID 登録ユーザー
- 調査方法:
- 価格.comサイトでのWebアンケート調査
- 回答者数:
- 4,023人
- 男女比率:
- 男91.6%:女8.4%
- 調査期間:
- 2014年1月16日〜2014年1月22日
- 調査実施機関:
- 株式会社カカクコム
- NISA(ニーサ)…価格.com NISA(ニーサ)の解説と口座比較のページ
