2017年10月30日
株式投資の始め方
株式投資のリスクと回避方法とは?
値上がり益や配当金など、株にはたくさん魅力がある一方で、気をつけたいリスクも多いです。値下がりして損したり、見込んでいた配当金がなくなったりと、投資が失敗するリスクもあります。株のリスクをしっかり理解したうえで、投資を始めましょう。
株のリスクとは
株の売買で、発生する可能性が最も大きいリスクは、株式の価格(株価)の値下がりです。理由はさまざまですが、中には株を買った企業が倒産し、価値がゼロになるリスクもあります。取引参加者の減少によって、想定価格で売買できなくなる流動性リスクというのもあります。
株式投資3つのリスク
株の売買にともなうリスクを、具体的に順を追って確認しましょう。
リスク1:株価変動リスク(値下がりリスク)とは
最も注意すべきリスクは、株価が大きく値下がりし、元本を割れるリスクです。株はたくさんの投資家が売買に参加します。売り手が増えればその分、株価は下落します。投資元本を大きく割り込む可能性もあります。
株価が1,000円の株式(銘柄)を1,000株買うため100万円投じ、500円に値下がりしてしまった場合、売却しても手元には50万円しか戻りません。売らずに保有を続けたとしても、株価が1,000円に値上がりする保証はありません。
価格変動リスクの例
株は、値動きが大きい金融商品です。銘柄によっては、株価が1日で20〜30%変動します。1か月かけて少しずつ積み上げたもうけが、わずか1日ですべてなくなり、元本を割れる可能性もあります。
値下がりする主な理由は「業績」の悪化です。業績は売り上げや利益といった企業の経営成績を指します。「株価は業績で動く」といっても過言でなく、経営成績が悪い銘柄は、株価も大きく下がります。
たとえば、輸出企業は輸出先の景気が悪くなったり、外国為替市場で円高が進んだりすると売り上げや利益が減ります。国内景気が冷え込めば、宝飾品や家電製品など高額消費に関係する企業への逆風になります。「製品開発に失敗した」「取引先を失った」といった企業固有の要因もあります。
経営成績が悪化すれば、利益の一部を原資にした配当金がもらえないリスク(無配リスク)も高まります。配当金がなくなると株のメリットが薄れ、株価が下がります。業績不振の銘柄を買うと無配リスクばかりでなく、株価の値下がりリスクも負うことになります。
リスク2:倒産リスク(上場廃止リスク)とは
常に順風満帆の企業はありません。業績が改善せず、銀行などからの借入金が返せなくなると、企業として存続できなくなり「倒産」することがあります。倒産する企業は、利益を稼げないにもかかわらず借金が過大にふくらんでおり、企業としての価値はなく株式の価値もゼロです。
倒産が決まると、証券取引所は株を取引できなくする上場廃止の手続きをとります。上場廃止までに猶予を設け、一定期間は売買できます。ただし、価値がない株を売買するため株価は一気に値下がりし、あっという間に1円まで暴落することもあります。
件数は少ないですが、ほぼ毎年、倒産で上場廃止になる銘柄はあります。2010年には、借金がふくらみ、資金繰りに行き詰まるなどして航空会社の「日本航空(JAL)」が倒産しました。上場廃止前の株価は1円でした。バブル崩壊後の1990年代には、個人投資家の人気が高い銀行の倒産も相次ぎました。
ほかにも、自社の業績をよく見せるため決算の数字を操作する粉飾決算をしたり、企業規模が小さすぎたりしても、上場廃止になるリスクがあります。こうした銘柄に安易に投資しないよう、慎重に選ぶことが大切です。
リスク3:流動性リスクとは
株の売買に際し、「流動性(りゅうどうせい)」という言葉も覚えましょう。流動性とは、売買しやすさを指します。相手が見つからず、売ったり買ったりしにくくなることを流動性リスクといいます。
株の売買には相手が必要です。何か重大な問題が起き、すぐに株を手放したい場合でも、買う相手がいなければ売れません。極端に安い価格を提示する買い手だけならば、その価格だけでしか売れず、非常に不利になります。
流動性リスクが高い銘柄は「人気がない」「売買できる株数が少ない」などの事情を抱えています。世界的な危機が起こると株自体を買う投資家が少なくなり、株式市場全体の流動性が低くなることもあります。
証券会社などがリアルタイムで更新する「売買高」や「売買代金」をみれば、流動性の有無を判断できます。誰もが知る有名企業など売買が活発な銘柄は、流動性リスクは乏しいです。知名度が低い中堅・中小企業などは相対的に流動性リスクが高いといえます。売買高などは証券会社のホームページなどで確認できます。
売買高・出来高のイメージ
- 引用元:カブドットコム証券
リスク回避の方法とは
株にはさまざまなリスクがありますが、リスクを極力減らす方法もあります。値下がりリスクを避けるには業績アップが続いていたり、割安だったりして値下がり余地が乏しそうな銘柄を選ぶことです。そうした株を買えば、短期的な値下がりがあっても、いずれ上昇に転じる可能性は高いです。
好業績を見込んでも値上がりしない場合、売却も視野に入れましょう。「実は業績が悪くなりそう」など、知られていないマイナス要因が存在する可能性があります。一段と値下がりして損しないように、早めにほかの銘柄に資金を移すこともリスク回避につながります。
倒産リスクの回避には、企業の分析力が求められます。決算短信などに記載された「営業利益」や「純利益」の項目でマイナスが続く場合は、いずれ経営が行き詰まる可能性があります。
決算短信に、企業が継続できないリスクがあることを意味する「継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象が存在している」などの記載がある銘柄も、要注意です。
流動性リスクは、事業規模が大きい企業など、普段から売買が活発な銘柄を取引することで避けられます。証券会社が都度更新する売買高や売買代金のランキングをチェックし、売買が少ない銘柄には手を出さないようにしましょう。
決算短信とは
決算短信は企業が公表する決算書類です。遅くても決算日から45日以内に開示することが求められています。この決算短信をみれば、売り上げや利益といった企業の業績や財務状況など、その企業への投資判断に役立つ情報が得られます。
まとめ
株にはたくさんのリスクがあります。せっかく買った株が「値下がり」するリスクはもちろん、業績が悪い状況が続けば「倒産」して株の価値がなくなることもあります。銘柄によっては取引相手が少なく、想定外の価格で取引せざるを得ない「流動性リスク」も存在します。
ただし、リスクをしっかり理解できれば「業績が安定している」「倒産リスクがなさそう」など考えるチカラが養われ、株のおもしろさが増すはずです。リスクが大きい銘柄を避けて投資できれば、値上がり益や配当金収入、株主優待など、メリットもより大きなものになるでしょう。怖がらず、ぜひ株式投資に挑戦してみてください。
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