スペシャリストこそ正義IRIS OHYAMA IC-SLDC7
掃除機の種類は、キャニスター型からスティックタイプ、ロボット掃除機と多岐にわたる。製品を絞り込むにはさまざまな考え方があるけれど、「使う場所で選択するのがベストかもしれない」、今回はそんな視点でアイリスオーヤマの「IC-SLDC7」を試してみたら、今の時代らしい自由な使い方が見えてきた。
用途に合わせた掃除機を使う時代に
トレードオフという言葉がありますが、何かの目的を達成するときは、何かを犠牲にしなくてはならないことが多々あります。対戦格闘ゲームのキャラクターであれば、攻撃力が強ければ防御力が弱くなったり、防御力を上げれば移動速度が落ちたりします。すべての項目で高い水準を得るのは難しいものです。
スティック掃除機もそういったトレードオフにより現在の形になってきています。とりわけ軽量をうたうモデルは、その軽さを維持するために、パワー(吸引力)や駆動時間、ゴミの収容量などを犠牲にしているところがあります。その代わり、片手でも軽々操作できる軽量化とコードレスによる取り回しの良さを得ているわけです。
そういう意味でスティック掃除機は、家全体を掃除する汎用性は求められていない存在であり、その利点を生かした場所を掃除するためのスペシャリストである、といえるでしょう。
ひと昔前は、掃除機といえばワイアードのキャニスター型が主流でした。パワーもあり、有線なので稼働時間も気になりません。本体はキャスターで移動させるので、思ったよりも重さを感じさせないわけです。しかし、キャニスター型には弱点もあり、それはコードの範囲内しか移動できないことや小回りの利かない点、ちょっとした掃除に使うには手軽さが足りない点などが挙げられます。一方、ロボット掃除機が登場したことで、ちょっとした掃除ができればよいシーンが増えており、スティックタイプの手軽さが便利なわけです。
つまり、掃除機界としてはすべてがまかせられるジェネラリストよりも、都度都度用途に合わせて使えるスペシャリストが求められているわけです。
で、スティック掃除機は何のスペシャリストであるかというと、その軽さを生かした高所の掃除や食べこぼしなど都度で掃除するときです。今回はアイリスオーヤマの極細軽量スティッククリーナーIC-SLDC7で、そのスペシャリスト具合をチェックしていきます。
複数台持ちで各部屋配置という新発想
軽量スティック掃除機の用途で最もオススメしたいのは階段です。これは2階建て以上の一軒家やメゾネット式マンションで階段がある家を対象とする話になるのですが、階段は埃がかなりたまる場所です。特に折り返している階段は埃がたまりやすいです。たまるのは埃ゴミなので大層な吸引力がなくても掃除できる一方で、重い掃除機を使って掃除するのはひと苦労な場所です。
IC-SLDC7であれば、重さが約1.2kgと持ち上げても、持ち運んでも苦になりませんし、いろいろな角度から掃除をすることができます。頻繁に掃除できるなら一度の掃除はさっとなぞる感じだけでも十分なので、弱点である駆動時間も気になりません。
パワーがないといっても車載用の掃除機のような弱々な吸引力をイメージしているのであれば、それは違います。キャニスター型のハイパワーまでは期待できませんが、IC-SLDC7はストレスがたまるような弱い吸引力ではありません。
駆動時間が半分になってしまいますがターボモードを使えば、高い吸引力を維持できますし、埃を感知し、埃があるときだけパワーを発揮する自動モードであれば、駆動時間を下げずにハイパワーを堪能することもできてしまいます。
それだけのパワーがあるので、部屋の掃除にももちろん使えます。ただ、廊下や複数の部屋を掃除しきるほどの駆動時間は残念ながらありません。そこで提案したいのが、スティック掃除機の複数台持ちです。価格.comの最安値で9,700円(2020年3月上旬時点)というIC-SLDC7の価格であれば、複数台買ってもそれほどの負担ではありません。
先ほど用途に合わせてロボット掃除機を使ったり、キャニスター型を使ったりすることを提案しましたが、こと軽量スティック掃除機に関しては、各部屋や廊下、リビングなど、何台も置いておくのがよいのではないでしょうか。さすがに1部屋分であれば短い駆動時間でも大丈夫です。
普段掃除しない場所もラクラク届く
軽量スティック掃除機の用途としては、高いところを掃除できるというものもあります。天井や壁に埃が付着していることもありますし、照明の傘やレンジフード・冷蔵庫・エアコンの天面などもそうです。風呂場やトイレの換気扇も埃が吸着している場所ですね。
これらはいずれも普通の掃除機では掃除がしにくい場所ですが、IC-SLDC7であれば、ハンディモップのごとく持ち上げて使うことができます。使いようによっては本棚や天袋の掃除もできてしまうわけです。パワーのあるキャニスター型や大型スティック掃除機が1台あれば掃除は十分と思っている人も、さすがにこのあたりの掃除はしにくいことは言わずもがなって感じですよね。
あとは、ワンルームマンションなどのそれほど広くない住まいの掃除も軽量スティック掃除機で十分といえます。駆動時間は短くても大丈夫ですし、そもそも大型のキャニスター型掃除機を置けるスペースすらないわけですから。
IC-SLDC7ならワンルームのあまり広くないクローゼットでも省スペースに収まりますし、付属の壁掛けパーツを使えば、ちょっとした壁の隙間に収納でき、マグネットでの装着なので、出し入れも簡単です。学生や新社会人として実家を巣立っていく子どもに親が持たせてあげる1台としてもいいかもしれませんね。
いろいろな観点から考えてみましたが、今や軽量スティック掃除機こそマストアイテムであり、それ以外の用途や足りない部分を違うタイプの掃除機で補填するっていう使い方が最適解なんだと思います。
文:岡安 学 写真:福田 諭(fort)










