パソコン本体以外の周辺機器とPCパーツ、ソフトなどからなる「パソコン関連カテゴリ」の大賞に輝いたのは、台湾メーカー「BenQ」のフルHD液晶ディスプレイ「E2200HD」。登録製品数が非常に多いパソコン関連カテゴリの中で、この「E2200HD」が高い評価を得た理由としては、3万円以下で買えるという低価格設定ももちろん大きいが、それ以外にも使いやすさや機能面でのきちんとした裏付けがあった。
まず、21.5型ワイドというサイズでありながら、フルHD(1920×1080)の解像度を実現した点。これまでに発売されていたフルHD対応の液晶ディスプレイは、その多くが24型程度の大きさであり、21.5型という比較的コンパクトなサイズでフルHDを実現したE2200HDは、省スペース性を求めるユーザーの関心を集めた。また、映像と音声をケーブル1本でデジタル伝送できるHDMI端子を備えていたこともあり、パソコン用のディスプレイとしてだけでなく、「PS3」などの高解像度ゲーム機用のモニターとして、またフルHD対応のビデオカメラやデジタルTVチューナーを搭載したAV機器用のモニターとしても活用された。特にゲーム用モニターとしての活用例は、価格.comのクチコミ掲示板やユーザーレビューでも多く報告されており、コンパクトなボディサイズが取り回しやすいと高い評価を受けている。
また、液晶ディスプレイとしての画質面も評価されている。視野角の面で若干マイナスの評価も見られたが、解像度、発色、応答速度ともに評価グラフはほぼ満点。決して「安かろう、悪かろう」の製品ではないことを印象づけた。奥行き18.68cmで重量わずか4.8kgというコンパクト設計も「デスクの上が広く使える」と評価が高い。24型程度のサイズでは机の上に置いたときに目をあちこちに動かさなくてはならないため疲れやすいが、21.5型というサイズはちょうど視界に画面が収まるため、目があまり疲れないという評価もされている。パネルに非光沢のノングレア処理を施しているのも、長時間ディスプレイを見続けるユーザーには好印象だ。
昨今急激に普及してきたフルHD表示に対するニーズを、3万円を下回る低価格で実現した、圧倒的なコストパフォーマンスの高さが、本機の最大の価値であることは間違いないが、購入したユーザーがここまで高く本機を評価するに至ったのには、上記のようなきちんとした設計思想があったことを忘れてはならない。
注:文中のレビュー評価は、2008年1年間での評価になります。
ベンキュージャパン
代表執行役社長
マーティン・モーレさん
--さまざまな製品カテゴリーが存在する「パソコン関連」部門で、フルHD対応の液晶ディスプレイ「E2200HD」が見事大賞を受賞しました。まずは今の率直なご感想をお聞かせください。価格.comは私たちも毎日チェックしていますし、実際に製品を使ったユーザーの皆さんにこうしてご評価いただけたことは率直にうれしいです。
今回受賞した「E2200HD」は、21.5型ワイドのPCディスプレイとしては世界初となる16:9の比率を持ったフルハイビジョン対応の製品になります。グループ会社の「AUオプトロニクス」という会社が、PCディスプレイ用として世界で初となる21.5型ワイドのフルHDパネルを開発することに成功したことで、このパネルを採用した液晶ディスプレイをBenQが他社に先駆けて発売することができました。英語では「Time To Market」と言いますが、他社よりも早く市場にこの製品を投入できたことが、結果としてこの製品の人気につながったと思います。
-- 確かに、16:9のフルHD液晶ディスプレイとしては、市場に投入するタイミングが早かったですよね。2008年9月に発売された当初は、多くの店で品切れになったと聞いていますが。そうですね。私たちも、毎月の売り上げ見込みを立てて、製品を調達していますが、発売してからすぐに予想以上のヒットになり、しばらく品切れの状態になってしまいました。非常にありがたいことなんですが、お待ちいただいたユーザーの皆さんにはご迷惑をおかけすることとなってしまい、その点は残念です。
実をいうと、BenQが手がけるワールドワイドの市場の中で、日本市場は今回の製品の投入がもっとも遅れてしまったんです。と言うのも、日本市場はほかの国と違って、地デジが採用する「1080i」のハイビジョン放送が普及しています。しかし、最初に上がってきた製品サンプルはこれに対応していなかったため、日本市場ではこれでは発売できないということで、製品を一度直させているんです。その分、日本での市場投入が遅れてしまったということなんですが、それだけ日本市場が求める技術レベルは高いということなんです。
-- 今回多くのユーザーの方に高い評価をいただいたポイントはいくつかあると思いますが、なんと言っても、フルハイビジョンが映せる21.5型ワイドのディスプレイでありながら、2万円台で買えるという「価格の安さ」が決め手だったと思いますが。たくさんのエンドユーザーにフルHDを楽しんでもらいたいということで、価格設定に関してもかなり頑張りました。ただ、最初の市場価格予想はもっと高めだったんですが、こんなに早く値段が下がるとは思いませんでした。世界中で経済状況が激変し、円がこれだけ高くなるとは思っていませんでしたから。正直いえば、これだけの性能を持った製品ですから、もっと高い値段で売りたいところではありますが(笑)。もっともエンドユーザーにとっては、安く買えるということで、いい状況じゃないかと思いますけどね。
それと、日本市場について言えば、PS3や地デジなど、ハイビジョン映像に対するニーズが、ほかのどの国よりも高かったことがあります。16:10のサイズでは、ハイビジョン映像を見る際に上下に黒い帯が出てしまいますし、24型のディスプレイをデスクの上に置いてPS3などのゲームをプレイした場合には結構圧迫感を感じます。こうしたユーザーの意見に応えられた点が、「E2200HD」を市場に投入したタイミングがよかったこともあり、エンドユーザーのスイートスポットに当たったんじゃないでしょうか。
-- 価格の安さはもちろんありますが、その価格以上のスペック・性能であるという点は、ユーザーの皆さんの一致した意見です。また、デザインについても評価が高いですね。BenQの製品作りのスローガンに「Enjoyment Matters」(楽しさを重んじる)というのがあります。ハイスペックで複雑な製品であっても、誰もが簡単に使え、その価値をすぐに感じ取ってもらえるような配慮をデザイン面でもしているのです。実は、液晶ディスプレイにいち早くHDMI端子を搭載し、PS3やブルーレイなどの機器をつなげるようにしたのもBenQが最初ですし、今回の製品のように、21.5型ワイドのコンパクトなボディで、16:9のフル画面によるフルハイビジョン映像を楽しめるようにしたのもBenQが最初です。このように、ユーザーが必要と思うスペックをいち早く導入し、それをわかりやすい形で提供するように心がけているのです。
-- 一点だけ、搭載されるスピーカーの音質についてはやや厳しい意見が目立ちました。そうですね。「E2200HD」に搭載されるスピーカーは、確かに音質はあまりよくないかもしれません。「E2200HD」のようにさまざまなAV機器をつなげるマルチファンクションな製品で、せっかくここまで高いスペックといいデザインで作っているのに、スピーカーだけどうして・・・、という気持ちは個人的にも理解できます。ですので、次世代のモデルではもっといいスピーカーが搭載されるように、私たちも本社に意見をフィードバックしています。こういうユーザーの意見がダイレクトに伝わってくるのも、価格.comのクチコミ掲示板のおかげです。非常に勉強になりました。
カカクコム執行役員・鎌田より、ベンキュージャパン 代表執行役社長 マーティン・モーレさんに、アワード大賞受賞記念の楯を進呈させていただきました
-- 最後に今後の展開と、ユーザーの皆さんへのメッセージをお願いします。まず「Eシリーズ」と「Mシリーズ」に関しては、まず第一にスピーカーをなんとかしたいと思います(笑)。それと入力端子も、現状ではHDMI端子が1つだけですが、これを増やすかどうか検討しています。ほかにも、WebカメラやUSBハブ、DisplayPortへの対応など、さまざまな機能の搭載を検討しています。省電力設計や梱包材の問題など、環境性能も重要になってくるでしょう。いずれにしても重要なのは、なるべくコストを高くしないで、いかにエンドユーザーのニーズに応えていくかということだと思います。そういう意味でも、価格.comのクチコミ掲示板やユーザーレビューへの書き込みは、貴重なご意見としてありがたく読んでいます。さらにいい製品を作るべく、皆さんのフィードバックになるべく応えていきますので、今後もBenQの製品をよろしくお願いします。