乗るなら楽しい自転車にブリヂストン TB1e TB7B42
通勤や通学を楽にする電動アシスト自転車。でもママチャリタイプはイヤだけど、あまり本格的なeバイクもちょっと……。なんて思う人も中にはいるはず。そんな人にチェックしてほしいのがこのブリヂストン「TB1e TB7B42 + 専用充電器」です。
前輪をモーター駆動する方式を採用
まずはモデルの概要についてざっと説明します。
ブリヂストン「TB1e TB7B42 + 専用充電器(以下TB1e)」は通勤・通学といった日常的なシーンを想定したクロスバイクタイプの電動アシスト自転車です。近年話題になることが多いスポーツタイプのeバイクは、車体に加えてドライブユニットまでスポーツ走行を想定したものを搭載しますが、TB1eのドライブユニットは一般的な電動アシスト自転車(シティサイクルや子乗せ自転車タイプのもの)に搭載されるものと基本的に共通です。
また、ブリヂストンの電動アシスト自転車全般に共通する特徴でもあるのですが、TB1eは前輪にモーターを内蔵する両輪駆動「DUAL DRIVE」方式を採用しています。両輪駆動、つまり後輪は人力、前輪はモーターで駆動するということです。
これにより走り出しからすぐれた安定感を発揮することに加え、回復充電機能が搭載されている点も大きなトピックです。 回復充電とは、走行中にペダルを止めたときや、左ブレーキレバーを握ったときに、前輪のモーターユニットが発電機となって運動エネルギーを電気エネルギーに変換 → バッテリーに回収する、というもの。
回復充電機能の作動は既定されたアルゴリズムに沿って自動で行われますが、あらかじめ使用シチュエーションに合った回生ブレーキの利きを3段階から選ぶこともできます。
圧倒的にロングな航続距離
こうした機能のおかげでTB1eはアシスト力が最も強いパワーモードで約62km。最も弱いエコモードで約200kmという同クラスの他社製品と比べても圧倒的に長いアシスト走行距離を実現しています。
これは一度の充電で長距離を連続走行できるだけではなく、充電作業の手間(回数)を減らせることになり、生活自転車には大きなメリットです。バッテリーは充電を行うほど劣化が進むので、充電回数を減らせば結果的に寿命を延ばすことにもつながるからです。
次はパーツ構成について。
軽量なアルミフレームに外装7段変速を組み合わせる点はスポーツサイクル的ですが、タイヤは一般的なクロスバイクで用いられる700Cサイズではなく、シティサイクルと同じ27インチの実用タイヤが採用されています。リアブレーキも絶対的な制動力よりメンテナンスフリーなローラーブレーキとなっています。
泥よけやサイドスタンド、バッテリー給電タイプのLEDライト、チェーンケース、サークル錠といった実用標準も充実しており、オプションの前カゴを加えれば日常の足としてまったく不満なく使えるでしょう。
ナチュラルな走行フィーリング
ここからは試乗した印象についてです。
TB1eはクロスバイクタイプの電動アシスト自転車なので、主に走行性能やフィーリングがどの程度スポーティー(ファン=楽しい)かについてチェックしました。
走り出してまずとても印象的だったのは、アシストの効きかたが全体的にマイルドかつナチュラルなこと。これは前輪をモーターで駆動するDUAL DRIVEの特性でもあると思いますが、パワーモードでも背中を押されるような唐突なアシスト感はまったくなく、スルスルとスピードがのっていく感じです。電動アシスト自転車は時速10kmを超えるとアシスト力が少しずつ減少していき、時速24kmで完全にゼロとなりますが、そのフェードアウト感もきわめてナチュラルです。
スポーツタイプの電動アシスト自転車は、アシストがあまり効かない&カットされる速度域でどこまで走れるかで評価が分かれると思います。つまりは電動アシスト要素を抜きにした、自転車としての基本性能ですね。
アシストがカットされても、そのまま速度を維持して巡航できるようならストレスなくスポーツライドを楽しめますし、逆に速度を維持できず再びアシストが十分に効く領域までスピードダウンを余儀なくされるバイクだとストレスがたまります。
その点、TB1eは合格です。もちろん脚力にもよるでしょうが、平地であれば時速20km以上でも何とか巡航できる実力があります。7段変速のギア比も高速走行に対応できるものなので、週末のエクササイズ用バイクとして使っても応えてくれるでしょう。
また、回復充電機能ですが、作動条件や回生ブレーキの制御がよく練られており、まったく普通の自転車のように乗れます。こういう機能は無意識に使えてこそ真価が発揮されると思うので、すばらしい完成度といえるのではないでしょうか。
速度域を問わずコントローラブル
フレーム&フロントフォークの剛性がしっかりしていて、ライダーの操作に対して車体がリニアに反応する点もグッドです。個人的にシティサイクルとスポーツサイクルを隔てる最大の違いは「反応のよさ」だと思っていますが、そういう観点ではTB1eは紛れもなく後者の仲間といえます。さらに見た目の話ですが、フレームの溶接や塗装クオリティが高いことにも感心しました。
重いモーターを前輪に搭載するという構造上、ハンドリングはどうかと思いましたが、これは無用の心配でしたね。直進安定性を重視した設計なので軽快とまではいえませんが、一般的なシチュエーションを走行する限りではライダーの意思どおりに向きが変わります。低速走行時に不自然にふらつくようなこともなく、どの速度域でもコントローラブルです。
また、意外な美点としては、降車状態で車体の向き変えがしやすい点があげられます。狭い駐輪場などでは、前輪を接地させたままお尻を持ち上げて向きを変えて出庫することってよくあると思います。後輪や車体中心にモーターをレイアウトした電動アシスト自転車はリアが重く、これが非常にやりにくいんですね。
その一方で、歩道を乗り上げるときなどにはDUAL DRIVEのネガがもろに出てしまいます。モーターの分だけ前輪が重く、普通の自転車なら何でもない段差の乗り上げでもかなりの衝撃です。リム打ちパンクを防ぐためにも、なるべく段差は避けるように走ったほうがいいでしょう。
ハイコストパフォーマンスで魅力倍増
「使って便利で、走って楽しい」。TB1eは「電動アシスト自転車以上、スポーツeバイク未満」という中間的な特性のモデルです。それなのに、価格は一般的な電動アシスト自転車とそう変わりません。 この圧倒的なコストパフォーマンスによってその魅力は倍増していると思います。
どうせ乗るなら楽しい自転車がいいに決まってますから。
文:佐藤旅宇 写真:高柳 健
編集:宮崎正行 モデル:KOTA











