銀行カードローンの過剰融資が問題になっていると聞きました。
銀行カードローンの利用者が多く、多重債務者が増えることが懸念されています。
短期でお金を借りようとする場合、これまでは貸金業者である消費者金融やクレジットカード会社のキャッシングなどが一般的でした。しかし、2010年、年収の3分の1を超える貸付を法律で禁止する「総量規制」が導入されたことで、貸金業者は大きな金額を融資しにくくなりました。
変わって台頭してきたのが、銀行です。
銀行は、日本銀行の金融政策による金利低下や企業の資金需要減などによって、本業である貸し出しが伸び悩み、収益環境は年々厳しくなっています。そこで、年10%前後という、住宅ローンや企業向け融資よりも高い金利で貸し出せるカードローンを成長分野に据えて、積極的に取り組むようになりました。
貸金業者でないため「総量規制」の対象とならない銀行は、貸金業者よりも低い金利と借りられる利用限度額の大きさをアピールすることで消費者を集め、融資を膨らませてきました。
5年前は貸金業者の半分ほどの融資残高でしたが、いまや逆転しています。
こうして、銀行カードローンで借りる消費者がどんどん増えた結果、返済できないほど借金が増えてしまう多重債務者の問題が起きました。金融庁が実態調査に乗り出したり、国会で話題に取り上げられたりするようになると一気に関心が集まりました。
銀行はこの問題に、どう対応するのでしょうか?
過剰な借り入れを防止するため、審査態勢を整備するなどに動いています。
監督官庁である金融庁が過剰融資に懸念を示したことで、全国の銀行の業界団体である全国銀行協会は加盟行に対して、消費者保護などの観点から申し合わせをしました。17年3月に公表された内容を簡単にまとめると、以下のとおりです。
・配慮に欠けた広告・宣伝を抑える
年収の3分の1を超える借り入れができない「総量規制」の対象外であることをうたったり、高額の借り入れでも収入証明書がいらいないことを強調したりするなど、簡単にたくさんのお金が借りられるようなイメージを与える、配慮に欠けた表示などをやめ、多重債務者が増えないよう努める。
・消費者が過剰に借り入れないよう、審査態勢を整備する
消費者の収入状況や返済能力をより正確に把握し、貸付実施後も定期的に信用状況の変動を把握するよう努めるほか、貸付審査では信用情報機関の情報などを活用して他行カードローン、貸金業者の貸付状況なども踏まえたうえで、返済能力を確認する。
※参照:平成29年3月16日 「銀行による消費者向け貸付けに係る申し合わせ」一般社団法人全国銀行協会
銀行カードローンの借り入れは難しくなるのでしょうか?
自分の返済能力を超える無理な使い方をしなければ、気にする必要はありません。
業界団体の申し合わせであるため、法的な拘束力などはありません。
しかし、申し合わせを受けて、各銀行が審査態勢などを見直す可能性は大いにあります。たとえば、より厳しく審査することで審査結果の回答まで時間がかかったり、総量規制の対象外であっても年収の3分の1を超える借り入れができなくなったりすることは、十分考えられます。
国会で取り上げられるほどなので、貸金業法などが改正されることもありえます。
とはいえ、自分の返済能力を超える無理な使い方をしなければ、気にする必要はありません。賢く使えば便利な商品ですので、計画的に借り入れ、返済するようにしましょう。
