2010年の生活家電カテゴリは、さまざまな種類のカテゴリでいくつか特出した製品が出てきた。カテゴリはバラバラで、掃除機であったり、炊飯器であったり、実にさまざまな分野で「逸品」と言えるような製品が登場し、生活家電全般としてはそこそこ当たり年と言えるような年となった印象がある。そんな中で、最終的にもっとも高いスコアを獲得し、カテゴリ大賞に選出されたのは、シャープの加湿空気清浄機「KC-Z45」だった。
空気清浄機といえば、一昨年2009年から世界的流行を見せた「新型インフルエンザ」への予防措置として大きな話題を呼んだカテゴリである。前回の「価格.com プロダクトアワード 2009」でも、ダイキンの「光クリエール ACM75K」が生活家電のカテゴリ大賞に輝いたが、今年もこの流れを引き継いで空気清浄機の製品がカテゴリ大賞に輝いた。新型インフルエンザの流行によって、空気清浄機というカテゴリが一般に広く認知され、実際に購入するユーザーが増えたことの表れとも言える。
シャープの「KC-Z45」に代表される空気清浄機の特徴といえば、やはり「プラズマクラスターイオン」の存在を抜きにしては語れない。プラズマクラスターは、シャープが開発した「OHラジカル」系のイオン技術であるが、テレビCMなどの効果もあり、現在ではその名はかなり広く知られるところとなった。プラズマクラスターイオンは、空気中の微粒子、たとえばカビ菌や花粉、臭いの元、ウイルスなどの表面に付着し、表面のタンパク質を分解することでこれらの微粒子を無害化するというものだが、前述のインフルエンザウイルスに対しても一定の効果を有するということで爆発的な人気を呼んだ。特に脱臭・除菌という面での効果が大きいようで、今では、空気清浄機やエアコン以外にも、冷蔵庫や掃除機などさまざまな家電製品にこのプラズマクラスター技術が採用されている。
このようにプラズマクラスターばかりが注目されがちな本製品であるが、ユーザー評価を見ると、プラズマクラスターの効果というよりは、加湿空気清浄機としての基本的な性能による効果を実感しているユーザーが多いようだ。人によってその効果実感はさまざまだが、「喘息が止んだ」「乾燥肌が治った」「臭いが気にならなくなった」など、加湿+空気清浄による効果をしっかり実感しているユーザーが多いようだ。プラズマクラスターの効果としては、主に脱臭面で効果を実感しているユーザーが多いようで、「キッチンでの料理の臭いが消えた」「洗濯物の部屋干しでも臭いがしない」などの意見が散見される。
ここのところの空気清浄機の人気トレンドとしては、本機のような「加湿空気清浄機」が人気となっているが、本機の人気も基本的にはその線に沿ったものと考えてよいだろう。冬場の必需品である「加湿器」の機能を1台に収めることで省スペース化をもたらすほか、空気を放出するという一連のプロセスの中に加湿機能を組み込んだことで、電気代などの面でもメリットがある。しかも、シャープの加湿空気清浄機は全体的に加湿器としての使い勝手にもすぐれており、着脱しやすく給水しやすい水タンクや、カビ菌の増殖を防ぐ回転式加湿フィルターの採用など、使い勝手の面でも考慮されている。空気清浄機として重要となるファンの風量も十分で、喘息や花粉症の原因となるハウスダストや花粉などもしっかりキャッチ。しかも、メンテナンスも非常に行いやすく、デザイン的にもスッキリと洗練されている。「KC-Z45」がこれほどまでに高い評価を集めた最大の理由は、プラズマクラスターの搭載ではなく、こうした加湿空気清浄機としてのトータルバランスのよさにあると言ってよいだろう。
注:文中のレビュー評価は、2010年1年間での評価になります。
シャープ
健康・環境システム事業本部
プラズマクラスター機器事業部
商品企画部 部長
冨田昌志さん
-- 今回、「KC-Z45」が、生活家電部門でもっとも高い評価を集めた製品となったその理由としては、やはり「プラズマクラスター」という技術の認知度向上が大きかったと思いますが、いかがですか?
おっしゃられる通りで、まずは「プラズマクラスター」という入り口が大きかったと思います。シャープがプラズマクラスター技術を初めて商品に搭載したのが2000年で、すでに10年が経ちますが、本当にこの技術が爆発的に普及し始めたのは、2008年秋に「プラズマクラスターイオン発生機」を発売してからです。それまでも、空気清浄機をはじめ、エアコンや冷蔵庫などに付加機能として搭載していましたが、今ひとつその効果がわかりづらかった。そこで私たちは、プラズマクラスターイオンの濃度を約10倍にしたこの発生機を作ったのです。
その結果、これを使用したユーザーの方から、「部屋の臭いが取れた」とか、「ハウスダスト、ダニなど、敏感体質なので欠かせない」「カビが生えなくなった」など、いろいろな感想をいただきました。それがクチコミなどで広がり、このプラズマクラスターイオン発生機が売れ始めたんです。その後も、適用畳数の異なるタイプや、車載用、モバイル用など、さまざまな形のプラズマクラスター商品群を展開していったことで、「プラズマクラスター、いいよ」というようなクチコミが広がっていき、プラズマクラスターの認知度も高まっていきました。
テレビCMなどの効果もありましたが、2010年4月のブランド調査では、70%以上の方がプラズマクラスターのことを知っているという結果が出ています。その1年前は40%程度でしたから、1年間で30%ほども認知率が上がったことになります。そういったプラズマクラスターの認知度向上・理解向上が、空気清浄機の購入の際にも「どうせ買うならプラズマクラスター搭載のほうがいいよね」というような後押しをしてくれたんだと思います。
-- プラズマクラスターイオン発生機の認知向上と人気が、空気清浄機のほうにもいい循環となって戻ってきたということですね。
そうですね。空気清浄機というものは、本当に空気がキレイになっているのかどうか見えない製品です。それを私たちは「見える化」してきました。たとえば製品の前面にモニターが付いていますよね。この部分を見れば、今空気がどのような状態になっているのか、機械自体がどのような動作をしているのかが、いつでもわかるようにしています。たとえば、ハウスダストモニターでは、空気が汚れている状態では赤く光りますが、空気がキレイになると緑色になる。加湿しているかどうかについても表示でわかるようにしています。こうした「見える化」の部分も、お客様に効果を実感いただく上で工夫している部分です。
-- このあたりのデザイン性というか、ユーザーインターフェイスの洗練さは、シャープが抜きにでているような気がします。操作性も非常にシンプルで、ボタンなども最小限しかない。ある意味では割り切った設計という印象も受けます。
日常でよく使う「自動モード」を最適に使えるように設計していますので、ボタン類はあまり装備していません。“割り切った設計”ではなく、“使い易い設計”を追求した結果、デザインもシンプルになったと言えます。湿度なども室温に合わせて最適な状態に制御しています。あと、電気代を気にされて外出時に電源をオフにしてしまう方も結構いらっしゃいますが、基本的にはずっと動かし続けたほうが空気がキレイになりますので、継続して使っていただくためにも業界トップクラスの低消費電力を実現しています。
-- もちろん、プラズマクラスターの効果というか認知度の高さも「KC-Z45」の高い人気につながっていると思いますが、ユーザー評価などを見ていると、加湿空気清浄機としての基本性能とか使い勝手の面での評価も高いように思います。
実は本格的な「加湿」という機能をフルラインアップで空気清浄機に搭載したのはシャープが初めてなんです。なぜ加湿機能を搭載したかと言うと、これも先ほどの「見える化」の一環で、効果がわかりやすいからなんですね。冬の乾燥した季節に加湿すれば当然潤いを感じますから。空気清浄機というのは効果が目に見えない製品だけに、ちょっとうさんくさいイメージがあるかと思いますが、こうした「見える化」を促進してきたのは大きいのではないかと思います。
あと、使い勝手の点にも関わってきますが、シャープの空気清浄機は「背面全面吸い込み」という方式を採用しています。背面だと面積が幅広く取れるので、空気を吸い込みやすくなり、吸塵力がアップするからです。こうした基本性能アップに加えて、背面の吸気口全体がプレフィルターも兼ねているので、溜まったホコリの除去も掃除機で吸い取るだけでいいわけです。一般的な前吸い込みの空気清浄機だと、フタを開けてフィルターを取り出さないと掃除できないものもありますが、そういう日常の面倒がいらない。水タンクの形状にしても、給水時に自立するような形状にしたり、持ち運びしやすいようにハンドルをつけたりと、随分苦労して改良してきまして、ふだんのお手入れをしやすいようにしています。そうした面も、ユーザーの皆さんにご評価いただけたと感じています。
-- それと、この「KC-Z45」からは、前面からの吸気エアフローも改良されていますよね。
そうですね。空気力学を応用した設計を採用したことで、吸気の効率は非常によくなっています。ですので、「KC-Z45」は、4年前の製品と比べると、風量自体は同じでも吸塵スピードは2倍にまで高まっています。今年は花粉の飛散も多いと言われていますが、花粉なども素早く吸い取れるようになっています。
あと、もう1つプラズマクラスターのいいところとして、実は静電気防止にも効果があるんですよ。プラズマクラスターの場合、プラスとマイナスの両方のイオンを出しますから、静電気で生じるプラスとマイナス両方の電荷をうまく中和してくれるんです。静電気があると花粉も衣服などにくっついて取れにくくなりますが、プラズマクラスターで静電気を除去すると花粉が落ちやすくなり、落ちた花粉は空気清浄機能で強力に吸い込んで除去できますから、いろいろな効果があるわけなんですね。
-- なるほど。プラズマクラスターは単に脱臭や分解だけの効果ではないんですね。静電気まで除去できるというのは知りませんでした。最後に、価格.comのユーザーの皆さんにひと言メッセージをお願いします。
今回はこのような賞をいただけて本当に光栄です。空気清浄機については、私たちは健康な生活のために「あったほうがいい」製品として取り組んできていますが、まだ家庭への普及率は4割弱しかありません。本来はあったほうがいいご家庭にも、まだ認知不足で普及していないという現状があります。ですから、私たちシャープは、プラズマクラスター製品も含めた空気清浄機の普及を「使命」として考えています。もちろんビジネスという側面もありますが、こうした製品を普及させることは一種の社会貢献とも考えていますし、そのためにも、もっとわかりやすくて使いやすい製品を作っていこうと思っています。また、価格.comのユーザーの皆さんにご評価いただけるような製品を出していきたいと思いますので、よろしくお願いします。