

今年2010年は、「3D元年」と呼ばれている。年明けから、3D映画「アバター」が大きな話題をさらい、今やテレビ市場も、主要メーカーのほとんどが、3D対応のテレビ製品をラインアップにそろえ、主導権争いに必死な状況となっている。他社に先駆けて、4月に第一号の3D対応プラズマテレビを発売したパナソニックをはじめとして、6月にはソニーが自慢の4倍速技術を使った3D対応の液晶テレビを発売。7月以降も、シャープや東芝が相次いで3D対応テレビを発売する予定となっており、この夏には、国内の主要メーカーの3D対応テレビが勢揃いする形となる。
このように、テレビを製造するメーカーにとって、「3D」にかける期待は非常に大きい。しかし、一般消費者の3Dに対する興味・関心の度合いを見ると、メーカー側の意気込みとはかなり乖離があるような状況だ。この調査を行った段階では、国内で市販されている3D対応テレビは、ほぼパナソニック1社のみという状況であったため、3Dテレビ自体を所有している人の割合は当然ながら低かったが、「今後3D対応テレビを購入する予定があるかどうか?」という問いに対しても、7割近くの人が「購入の意向はない」と回答しており、3D対応テレビが、それほど消費者の購入意欲を高めているとは考えにくい状況だ。
その大きな理由として挙げられているのは、「メガネの装着がわずらわしいこと」、「一般のテレビとの価格差がありすぎること」、そして最後に「3Dコンテンツそのものに興味がわかないこと」の3点にほぼ絞られる。この3点を理由として、多くの人が3D対応テレビを購入しない、と回答しているのだ。このうち、「メガネの装着がわずらわしいこと」については、方式上致し方ない部分もあるが、それ以外の2つについては、主にコンテンツ面の整備が間に合っていないことが大きな原因だろう。
実は、「3D」という技術自体はそれほど新しいものではなく、現在主流のアクティブシャッター方式の3D映像も、現在のテレビの性能を考えた場合には、比較的簡単に実現できたという背景がある。しかし、ハードウェアはできても、肝心のコンテンツ側の準備が整っていないというのが、今の3D市場を取り巻く現状だ。3D対応のブルーレイコンテンツも、本格的に発売されるのは今年の年末と見られており、3D対応のテレビ放送自体も現状ではほとんどない。そうした状況において、先行投資的に3D対応テレビを購入する人が少ないというのは致し方ないことだ。もし仮に、3D対応のコンテンツが充実し、消費者の3Dに対する興味がもっと喚起されれば、3D対応テレビに対する購入意欲も上がってくるだろうが、現状で8万円ほどの価格差がある3D機能に対しては、消費者は「割高」と感じている。消費者の、3D対応に対する妥当な価格は「5万円以下」であり、コンテンツ面の整備とともに、ハードウェア側の価格低下も大きな課題となってきそうだ。
このように、ハードウェア、ソフトウェアの両面で、まだまだ課題の多い3D対応テレビだが、これらの問題が解決されてくれば、この年末以降、徐々に浸透していくことも考えられる。映画コンテンツやスポーツコンテンツを中心に3Dに対する要望は強く、3D対応ブルーレイレコーダーをテレビと合わせて購入するという人も多い。また、アナログ地上波放送が終了となるあと1年のうちに、テレビを新たに購入する予定のある人も半数以上いることから、消費者の消費マインドは決して低くはない。この年末で終了するエコポイント制度に間に合う形でコンテンツ面が整備されてくれば、ある程度の価格差があっても、3D対応テレビをチョイスするという人も増えてくることが予想される。すべては「コンテンツ待ち」という状況だ。
- 調査対象:
- 価格.comID 登録ユーザー
- 調査方法:
- 価格.comサイトでのWebアンケート調査
- 回答者数:
- 8,957人
- 男女比率:
- 男87.0%:女13.0%
- 調査期間:
- 2010年6月10日〜2010年6月16日
- 調査実施機関:
- 株式会社カカクコム