投資信託にはコストがかかることを押さえよう

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これから始める方に、投資信託入門ガイド

投資信託には費用がかかることを押さえよう

更新日 : 2017年2月22日

資産運用のツールとして手軽に活用できる投資信託ですが、購入や保有には費用がかかります。運用成績がマイナスになった場合でも費用負担は発生しますので、何に対してコストがかかっているのかを理解することが、非常に重要です。銘柄選びを始める前に、まずは投資信託で負担するさまざまな費用について、理解を深めましょう。

投資信託にかかる費用は購入時手数料と信託報酬

投資信託にかかる費用は大きくわけると以下の2つがあります。

  • 購入時に支払う「購入時手数料(販売手数料)」
  • 保有期間に応じて負担する「信託報酬(運用管理費用)」
ポイント1購入時手数料(販売手数料)の注意点

投資信託を購入したときは、商品の説明や事務手続きの対価として、証券会社や銀行などの販売会社に購入時手数料を支払います。販売手数料ともいいます。手数料はそれぞれのファンドで上限が決まっており、その範囲内で販売会社が決めます。おおむね購入金額の1〜3%とするケースが多いようです。

同じ投資信託でも、投資した金額や販売会社によって購入時手数料が違うことがあります。店舗の窓口などで担当者がしっかりと説明する対面販売と比べて、手続きがすべてネット上で完結するインターネット取引などでは、購入時手数料が安くなるケースも増えてきています。

最近ではネットで取引するケースを中心に、購入時手数料が無料の「ノーロードファンド」という商品も増えています。
自分で商品選択できる場合は、購入時手数料を支払わない分、投資に回せる金額が増えるノーロードファンドを中心に選ぶことも可能です。

ノーロードファンドの一例(価格.com調べ)

資産クラス ファンド名
国内株式
先進国株式
国内債券
先進国債券

購入時手数料は、一般的に購入時に一度だけかかる費用で、保有期間が長くなれば影響も小さくなります。最近では仕組みが難しいファンドも増えているので、何を買ったらよいか悩んでしまう場合は、対面型の販売会社でアドバイスを受けつつ購入を決めるのも1つの手段です。
商品説明などのサービスの必要性と手数料に基づく支払金額をしっかり考えて、自分に合った販売会社や取引手段を選んで投資することが重要です。

ポイント2信託報酬の注意点

「信託報酬」は運用管理費用ともいい、運用会社と販売会社に加えて資産を管理する信託銀行にそれぞれ支払います。年率で表示しますが、実際は運用資産から毎日差し引かれ、保有している間は負担し続けることになります。

信託報酬は運用資産に対して年0.2〜2%程度と、ファンドによってさまざまです。指数への連動を目指す「パッシブ運用(インデックス運用)」の信託報酬は総じて低い傾向があり、ファンドマネージャーが銘柄選びに時間をかける「アクティブ運用」では高くなるケースが多いといえるでしょう。

保有期間が長くなるほど、運用成果に対する信託報酬の影響は大きくなっていきます。20〜30代の若い世代が老後の備えとして資産形成する場合などは、運用コストへのこだわりがより重要になります。
また、同じ指数に連動するインデックスファンドを比較する場合など、商品性が似たもの同士では、費用の安いファンドを選ぶのが一般的です。

ポイント3手数料で決める際は投資期間も踏まえよう

中には、信託報酬が相対的に高くてもノーロードだったり、信託報酬が低水準でも購入時手数料が高かったりといったケースもあります。どれが一番自分に適した投資信託なのかは、投資する期間も踏まえて選びましょう。

たとえば、6か月以内の見通しに基づいて投資する場合など、比較的短期の投資を考えている場合は、購入時手数料の安さが重要なポイントになるでしょう。一方で、定年退職後を見据えた資産形成など、運用が長期間にわたる場合は、購入時手数料よりも信託報酬の差を重視するといった選択基準が必要になります。

コラム投資信託を売却するときにかかる「信託財産留保額」とは?

「信託財産留保額」は、原則として投資信託を売却(解約)したときにかかる費用です。
何かのサービスの対価ではないため、運用会社や販売会社、信託銀行に支払われるものではありません。
投資信託が投資家から売却(解約)の申し込みを受け付けたときには、返還するお金を捻出するため、投資している株や債券などを換金しなければならないことがあります。
換金にかかる売買手数料などが残された投資家の負担にならないよう、売却(解約)した投資家に一定のお金を置いていってもらうというものです。

全体の6割程度のファンドは、信託財産留保額がかかりません。
かかる投資信託では、信託財産留保額は0.3〜0.5%程度が一般的で、投資対象や商品性によって1%くらいまでのものもあります。

気を付けたいのは、信託財産留保額は「必ずしもゼロが好ましいわけでない」ということです。
長期の保有を考えるときには、短期的な利益を狙った投資資金が出たり入ったりするよりも、信託財産留保額があったほうがファンドの資産は安定し、運用成績にプラスになるという側面もあります。

コラム初心者なら知っておくべき!投資信託の税金

銀行預金の利息などと同じように、投資信託で得た収益に対しても税金がかかります。
売却したときに得た売買益や分配金額に、20.315%(2016年12月時点)をかけた金額が課税されることになります。

証券投資で得た所得は確定申告する必要がありますが、年度末のあわただしい時期だけに、「面倒だな」と感じる投資初心者も多いでしょう。

忙しい合間を縫って確定申告に出向かなくても、証券会社など投資信託を販売する金融機関には、譲渡所得や配当所得から税金分を引き、代わりに納税してくれる「特定口座(源泉徴収あり)」があります。
これから口座を開く予定であれば、ぜひ活用してください。

口座を開設したときに特定口座(源泉徴収あり)を選んでいれば、原則、確定申告は必要ありません。
確定申告が必要な「特定口座(源泉徴収なし)」や「一般口座」で運用する投資家もいますが、確定申告の手間を省くため特定口座(源泉徴収なし)を選ぶ投資家が多いようです。

まとめ
  • 投資信託の費用は大きく分けて「購入時手数料」「信託報酬」の2種類
  • 費用は、「パッシブ運用」のほうが「アクティブ運用」より低い傾向がある
  • 老後の備えなど長期運用であれば信託報酬にこだわってファンドを選ぼう

[監修] ドイチェ・アセット・マネジメント 資産運用研究所ドイチェ・アセット・マネジメント株式会社が創立30周年の節目の年を迎えたことを機に、2015年10月1日に社内シンクタンクとして設置。「貯蓄から資産形成へ」の流れが本格化する中、投資家や販売会社(銀行や証券会社)に向けた公正かつ中立的な情報発信によって、資産運用市場の発展に資することをめざす活動に従事している。
編著 「外資系運用会社が明かす投資信託の舞台裏」(ダイヤモンド社)
資産運用の重要性や投資信託の仕組みなどを解説し、「工場見学」のスタイルで運用会社の仕事をくわしく紹介

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