視差調整はオートのほかマニュアル調整も可能

ビクターらしく、ムービーのサウンドにも凝っている。録音は5.1chではなく、Dolby Degital 2ch(AVCHD)あるいはAAC 2ch(MVC)だが、85mmというマイクの距離でセパレーションの良いステレオ録音が可能だ。ズームマイク機能はないが、同社独自の「バイフォニック3Dサウンド」処理(※)で、一般の2スピーカー再生でも立体感と定位感のある「3Dサウンド」を実現している。

※バイフォニック3Dサウンド……バイノーラルマイクで記録した音声を、独自の音場再現技術によって信号処理し、2本のスピーカーで撮影時の“音の臨場感”を再現するというもの。

「今回は2ch録音と2ch再生で立体感を追求しました。リニアPCM録音に使われる高性能マイクを左右に85mm離してレイアウトしています。バイフォニック処理に加え、風切り音低減に最適なマイク構造を採用しました。この構造によって約6db以上のS/N向上を実現しました。今までバイフォニックというとヘッドホンなどの再生機器向けでしたが、今回はカムコーダー記録なので、それに特化したバイノーラルマイク的なパラメーターを採用しています。これらによって、クロストーク(左右の信号が混ざり合うこと)が少なくセパレーションの良いサウンドを実現しました」

総じて見ると、3Dでありながらビクターのノウハウが込められた“普通に使える”ムービーに仕上がっている。同社はビデオカメラのパラダイムが変わるたびに、新フォーマットの可能性を追求した初号機をリリースするメーカーである。本機も初号機にして高い完成度を実現していると思う。

「今後もさらにフレンドリーに進化させて、お母様にも持っていただけるようなデザインとサイズ、使いやすい2眼3Dムービーを実現したいと考えています」(担当者)とのことだ。

(文・撮影/増田 和夫)