2012年は、AV家電業界にとって激変の年となった。2012年7月に予定されていた地デジへの完全移行(東北の一部地域除く)に伴い、これまで数年の間「買い替え特需」的な盛り上がりを見せていた液晶テレビの人気が、7月を境に一気に収束。年末にかけての約半年間は、それまでの勢いを完全に失ってしまった。また、本来であれば、その前の2012年3月に実施された「家電エコポイントの完全終了」というイベントに合わせて、廉価モデルを中心とした液晶テレビの駆け込み需要が訪れる見込みであったのが、3月11日に起こった東日本大震災の影響によってなくなってしまった。この影響により、春商戦を狙って大量に市場に投入された製品が売れ残ってしまい、4月以降はこれまでにないほどの安値合戦が繰り広げられたのである。
2011年7月に、テレビ地上波放送の地デジへの完全移行(一部地域除く)が完了した反動で、2012年はテレビ市場にとって非常に厳しい年となった。メーカー・販売店とも、売上げが大幅な前年割れとなるところが多く、価格.comの「液晶テレビ」カテゴリも2010年のピーク時の2〜3割程度にまでアクセスを減らしている。このように、「テレビが売れない」という状況ではあったのだが、そんな中で大健闘したといえるのが、このソニーの「BRAVIA KDL-55HX850」である。
「BRAVIA KDL-55HX850」は、ソニーの「BRAVIA」シリーズの中でも高級モデルという位置づけの製品。しかも55V型という大画面テレビである。価格のほうももちろん安くはない。そんな「BRAVIA KDL-55HX850」が、テレビ逆風と言われた2012年に、AV家電カテゴリのプロダクト大賞を受賞したのには、いくつかの理由がある。
まずあげられるのは、液晶テレビやプラズマテレビからの買い換え層をターゲットに据えた「高画質」ということがある。ソニーは、お家芸ともいえる「4倍速駆動パネル」を以前から展開しているが、高級モデルとなる本機では、この4倍速パネルに、細かなバックパネル制御を加えることで、実質的には16倍速となる「モーションフローXR960」という技術を採用している。この高速描画性能によって、一般的には残像感が残りやすいといわれる液晶テレビの欠点をほぼ払拭しているのだ。また、これまでは最上位モデルにしか搭載されていなかった高画質回路「X-Reality PRO」を搭載し、さまざまな映像ソースに合った的確な画質補正が行えるようにもなっている。映像のコントラストも非常に高く、速い動きだけでなく、暗い部分の階調表現も素晴らしい。こうした画質面でのアドバンテージを多く搭載したことが、画質にこだわる買い換えユーザーの高い評価を得たと言えるだろう。
もうひとつの理由としては、本機の戦略的な価格設定にあるだろう。2012年5月の発売直後における価格.comの最安価格では、すでに20万円を切っており、55V型という大画面テレビの最新モデルとしては異例の低価格での登場となった。しかも、画質面は、ソニーの最上位モデルに匹敵するほどの高画質。性能対比で考えた場合のコストパフォーマンスは非常によく、テレビ画面のサイズアップを考えていた買い換え層のニーズにピタリとマッチした形となった。ユーザー評価も4.79(※2013年1月28日現在)と非常に高く、2012年の年間を通じて、売れ筋ランキングのベスト3から落ちることのない安定した人気を保ち続けたのである。
注:文中のレビュー評価は、2012年1年間での評価になります。
ソニーマーケティング株式会社
ホームエンタテインメント
プロダクツマーケティング部
須藤 隆多さん
-- 今回は受賞おめでとうございます。まずは率直な感想をおうかがいできますか?
この度は「AV家電部門 大賞」という素晴らしい賞を頂き、大変光栄です。今回、テレビ番組もネット動画も大画面で美しいという〈ブラビア〉の
コンセプトが高く評価されたこと、また、多くのお客様にネットワーク
サービスや画質にご満足いただけたことを嬉しく思っております。 これからもお客様のご要望にお応えする商品づくり、「感動」して頂けるようなご提案をしていきたいと考えています。
-- 本製品を開発するにあたってこだわったポイントを教えてください。
「KDL-55HX850」は、テレビ番組からネット動画まであらゆるコンテンツを大画面で美しくご覧頂く為に、精細な質感までくっきり再現する超解像エンジン「X-Reality PRO」、動きをなめらかに描写する「4倍速駆動パネル」、そしてリアルな黒であざやかな映像表現をおこなう「オプティコントラストパネル」の高画質3大テクノロジーを搭載しました。これにより地上デジタル放送は勿論のこと、今までパソコンの小さな画面で見ていたYouTubeなどのネット動画もテレビの大画面で美しくご覧いただけます。
-- ユーザーから高く評価されたと思われるポイントはどこにあったとお考えですか?
5〜7年前に40インチ前後のテレビをご購入されたお客様のなかには、昨今、リビングでより大きなサイズのテレビを楽しみたいというご要望をお持ちの方がいらっしゃいます。当時のテレビにはなかった大画面に加え、高画質テクノロジーが搭載され、かつインターネットに繋げて楽しめる多くのサービスがあることが、お客様に高いご評価をいただけたポイントだと思っています。
-- 最後に、価格.comのユーザーへひと言コメントをお願いします。
この度は、〈ブラビア〉55HX850に対して高いご評価を頂き有難うございます。今後もお客様により満足して頂けるような商品・サービスを開発していきます。これからも〈ブラビア〉をよろしくお願いします。