2021年11月18日
基礎知識
2021年最新版!年末調整で住宅ローン控除が受けられる! 必要書類や注意点は?
住宅ローンを組んでいる人たちが気になることの1つに住宅ローン控除があります。住宅ローン控除とは、住宅を取得した場合に受けられる控除のことです。条件を満たせば年末時点の住宅ローン残高の1%が10年間控除できるという制度ですが、そのためには確定申告や年末調整が必要です。
住宅ローン控除を受けるために必要な確定申告・年末調整の方法、そして準備する書類や手続き方法、また、還付金の受け取り時期について確認しておきましょう。
住宅ローン控除とは? 受けられる条件について
住宅ローン控除は所得税(引ききれない分は住民税より控除されます)から行われます。控除された金額は還付金として受け取ることが可能です。還付金は、1年目の確定申告の場合は手続き後約1カ月半後に指定口座へ振り込まれます。
しかし、全ての住宅取得で受けられるわけではありません。以下の条件を満たした場合のみです。
- 自分が居住する住宅である
- 住宅ローン控除を受ける年の年収が3,000万円以下
- 住宅ローン借入期間10年以上
- 床面積50平方メートル以上
受けられる控除額は、住宅ローンの年末残高の1%相当分です。例えば、年末時点の残高が1,000万円だった場合、控除される金額は10万円になります。
※2019年10月〜2021年12月31日に入居の場合は、控除の年数が13年間に延長されています。11年目〜13年目の控除額は住宅ローン残高の1%、建物の取得価格(上限4,000万円)の2%÷3のいずれか少ない方です。
控除対象の住宅ローン残高又は住宅の取得対価は上限4,000万円となっています。
また、中古住宅も住宅ローン控除の対象となります。増築や一定規模以上の修繕・省エネ・バリアフリー改修なども100万円以上の工事費であれば、住宅ローン減税の対象となります。
住宅ローン控除手続きは1年目のみ確定申告、2年目以降は年末調整で可能

住宅ローン控除は条件に合致した住宅を取得しただけでは適用されません。控除のためには住宅ローン開始の1年目は確定申告、2年目以降は年末調整が必要になります。
確定申告といえば、「勤め先で年末調整があるから、サラリーマンは必要ないのでは?」と思うでしょう。ただ、確定申告はその年の収入を報告する場であると同時に、還付金の申請をすることができる場でもあるのです。
勤め先で行われる年末調整では、還付金は申請できません。住宅ローン控除で還付金を受け取りたいのならば、医療費控除のように確定申告が必要になります。
なお、住宅ローン控除は2年目以降、勤め先の年末調整のみで手続きすることができます。
住宅ローン控除 1年目および2年目以降の手続きの流れ
住宅ローン控除を受けるためには、取得1年目に確定申告、2年目以降は年末控除が必要です。どのようにして手続きを行うのでしょうか。
住宅ローン控除1年目の確定申告
まずは確定申告の時期ですが例年、2月中旬から3月中旬となっています。万が一、確定申告を忘れた場合ですが、住宅取得の年を含めて5年間ならば申告が可能です。気付いた時点で急いで行いましょう。
なお、還付金の受け取りですが、申告から1カ月半ほどで指定の口座に振り込まれます。
手続きは税務署で行いますが、方法は主に以下の通りです。
- 確定申告書を税務署もしくは国税庁サイトから入手し、記入後に税務署へ持参もしくは郵送
- 国税庁サイトの確定申告書に入力後、インターネット上(e-tax)で申請
- 税務署の確定申告書作成コーナーで必要事項を入力後、インターネット上(e-tax)で申請
確定申告書を入手したら必要事項を記入(入力)しないといけません。手元に、勤め先から交付される「給与所得の源泉徴収票」を準備してから記入を始めてください。
確定申告のための必要書類の集め方
住宅ローン控除のための確定申告にはいくつか準備しないといけない書類があります。リストで確認しておきましょう。
| 1 | 確定申告書 | 会社員は「確定申告書A」を使います。税務署から入手します。 (国税庁のサイトからダウンロードも可) |
|---|---|---|
| 2 | (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書 | 税務署から入手します。 (国税庁のサイトからダウンロードも可) |
| 3 | 建物・土地の登記事項証明書 | 法務局から入手します。 インターネットでのオンライン交付請求も可能です。 手数料は窓口交付請求が600円、オンライン請求は500円となっています。窓口交付請求の場合はその場で、オンライン請求の場合は翌日〜翌々日には自宅・勤務先に郵送で到着します。オンライン請求で法務局受け取りを希望する場合は請求から3〜4時間後に受け取ることができます。 |
| 4 | 建物・土地の不動産売買契約書写し | 不動産会社・ハウスメーカーと契約した時にかわす書類です。住宅取得契約時に手元に渡されています。 |
| 5 | 源泉徴収票 | 勤め先から交付されます。 |
| 6 | 住宅ローンの残高証明書 | 住宅ローンを契約している金融機関から送られてきます。送付時期は金融機関によって違いますが、ローン契約年は8月頃までの契約の場合だと10月頃、それ以降(〜12月)の契約の場合は1月頃に送られてくることが多いようです。2年目以降は毎年10月頃に送られてきます。詳しくはローン契約をした金融機関で確認しましょう。 |
| 7 | 本人確認書類 | 運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなどです。 |
どれも住宅ローン控除手続きのためには大切な書類です。もし不明な点があれば、早めにローン契約の金融機関、税務署、不動産会社・ハウスメーカーに確認しておきましょう。
住宅ローン控除 2年目以降の手続き
2年目以降は、確定申告は必要ありませんが、勤め先の年末調整時に「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」(金融機関によって名称が違う場合があります)と「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」を提出します。
ちなみに「住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書」は住宅ローン開始年には送られてきません。2年目以降、勤め先の年末調整に間に合うよう毎年10月に金融機関から送付されてきます。
また、「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」は確定申告した年の10月頃(2020年2月〜3月に確定申告の場合、2020年10月)に税務署から送付されます。1年ごとに送られてくるのではなく、対象年数の分がまとめて送られてきますので、紛失しないようにしてください。
紛失の場合は、国税庁サイトより、「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除関係書類の交付申請書」をダウンロードし、記入したものをもよりの税務署へ持参、もしくは郵送にて再交付手続きを行いましょう。
年末調整のタイミングが各企業で違うため、還付金の受け取り時期も違います。おおよそ12月中旬〜1月下旬と考えておきましょう。還付金は手渡し、もしくは給与口座への振り込みになりますが、こちらも企業によって対応が違います。還付金額は明細でもらえますので、確認しておきましょう。
確定申告書の書き方
住宅ローン控除1年目に必要な確定申告で提出する確定申告書・(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書の書き方を見ていきます。
確定申告書A(第一表)

出典:国税庁
- 1.「収入金額等」の「給与」部分に源泉徴収票の「支払金額」
- 2.「所得金額」の「給与部分」に源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」
- 2.「所得金額」の「合計欄」に「所得金額控除後の金額」(あれば、一時所得・雑所得・配当も合算して記入)
- 3.「所得から差し引かれる金額」の「EからNまでの計」「合計」欄に源泉徴収票の「所得控除の額の合計額」
- 4.「税金の計算」の「源泉徴収税額」欄に源泉徴収票の「源泉徴収税額」
- 4.「税金の計算」の「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除」欄に算出された住宅ローン控除額(前年12月31日現在の借入金残高×1%)
- 5.確定申告書A(第一表)の右下に還付金の振込先も忘れずに記入してください。
確定申告書A(第二表)

出典:国税庁
- 6.「所得の内訳」欄の「所得の種類」は給与と記入
- 6.給与などの支払者の氏名・名称は源泉徴収票通りに記入
- 6.「所得の内訳」欄の「収入金額」は源泉徴収票の「支払金額」
- 6.「所得の内訳」欄の「源泉徴収税額」は源泉徴収票の「源泉徴収票額」
(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書

出典:国税庁
- 「居住開始年月日」欄に入居日
- 「新築又は購入した家屋等に係る事項」
- 1.家屋に関する事項
-
- 「補助金等控除前の取得対価の額」欄(ロ)に取得した建物の価格
※補助金等がない場合は(ニ)欄にも同じ額を記入 - 「床面積」欄(ホ)、うち居住用部分の床面積(ヘ)に建物の面積
- 「補助金等控除前の取得対価の額」欄(ロ)に取得した建物の価格
- 2.土地等に関する事項
-
- 「補助金等控除前の取得対価の額」欄(ト)に取得した土地の価格
※補助金等がない場合は(リ)欄にも同じ額を記入 - 「床面積」欄(ヌ)、うち居住用部分の床面積(ル)に土地の面積
- 「補助金等控除前の取得対価の額」欄(ト)に取得した土地の価格
- 3.「家屋や土地等の取得対価の額」
-
A 家屋
A部分に建物の取得価格B 土地等
A部分に土地の取得価格C 合計
A部分に土地・建物の取得価格 - 4.「居住用部分の家屋又は土地に係る住宅借入金等の年末残高」
G 住宅及び土地等
D部分に前年12月31日現在の借入金残高- 5.「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額」
-
- 番号は「1」と記入
- S部分に住宅ローン控除額(前年12月31日現在の借入金残高×1%)
消費税増税に伴う特例で住宅ローン控除期間が延長された
ご存じの通り、2019年10月より消費税率が10%に引き上げられました。それに伴い、住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)についても変更された部分があります。
消費税率10%で住宅を所得した人で、2019年10月1日〜2021年12月31日までの間に入居した場合は、控除期間が13年となります。控除率ですが、1年目〜10年目までは今までと同様です。
11年目〜13年目の控除額は、住宅ローン残高の1%、もしくは建物の取得価格(上限4,000万円)の2%÷3 のうちのいずれか少ない方となります。
11年目〜13年目に控除される額は、金融機関から送られてくる残高証明書を年末調整時に勤務先へ提出した後に判明します。自分で計算をして控除額を割り出す作業は必要ありません。また、手続き方法は2年目〜10年目までと変わりはありません。
まとめ
マイホームを取得するほとんどの人が住宅ローンを組み、長い期間をかけて返済していくことになります。
負担を少しでも軽減するために存在するのが「住宅ローン控除」です。しっかりと控除を受けるためにも「完済までに10年以上のローンであること」など複数の条件を把握しておきましょう。
また、各所から取り寄せないといけない書類がいくつもあります。不明点があれば、確定申告や年末調整の時期に慌てることがないように早めに確認してください。
- 田尻宏子
- 2級ファイナンシャル・プランニング技能士。証券外務員第一種資格保有。
証券会社営業、生命保険会社営業サポート、銀行コールセンター等複数の金融機関へ勤務後、
2016年末からライターとして活動開始。保険・不動産・ローン・投資など金融関連記事を中心に多数執筆。
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