健康に気を使うなら取り入れたい自然素材。珪藻土やちょっとした羽目板なら意外とお安く取り入れることができます。
無垢材や珪藻土、天然繊維の内装など、自然素材を生かしたリフォーム事例を掲載。
自然素材 リフォームのポイント

リフォームでは、住居の間取りや設計だけでなく、素材選びも重要です。なかでも、床材や壁材は、インテリアデザインの決め手になるだけでなく、毎日のように目や身体に触れるものなので、住み心地にも関わってきます。最近は、健康志向やエコ志向の高まりもあり、無垢材のフローリングや珪藻土の壁など、独特の温かみとやさしさがある「自然素材」を使った事例が増えています。
今回は、自然素材を使ったリフォームのポイントや、主な自然素材をご紹介しますので、ぜひお役立てください。
自然素材のメリット・デメリット
自然素材には様々な特長があります。メリット・デメリットを明確にしておきましょう。
自然素材のメリット
LOHASな空間の実現
LOHAS(ロハス)とは、「Lifestyle Of Health And Sustainability」の略で、健康や環境への意識が高いライフスタイルのことを言います。自然素材を使うことで、地球や人にやさしいライフスタイルを実現できます。
エイジングリフォームの楽しみ
自然素材以外の新素材と言われるものは、できあがった時が最高の状態で、時間の経過とともに劣化していきますが、生きている自然素材は呼吸をしながら、熱や湿気など季節の変化に対応していきます。そのため、きちんとメンテナンスすれば味わいも出て使い込んでいくほど深い味わいに変わっていきます。自然素材をたっぷり使った住居を育てていく楽しみ、と考えればわかりやすいかもしれません。
自然素材ならではの、やさしさと温かみ
自然素材には、独特の表情と風合いがあります。自然素材を使った部屋では、においも、肌触りも、光の反射も穏やかで、温かみのあるやさしさを感じることができます。
自然素材のデメリット
素材の変化
生きているからこそ起きる、素材の変化です。メリットであると同時にデメリットになる場合もあります。時には、そり・ひび割れ・縮みなどが発生することがあります。
汚れやすく掃除や手入れが大変
表面が加工されたフローリングなら掃除も楽ですが、無垢の自然素材になると、汚れや傷が付きやすいということもあります。また、珪藻土などの土壁は、水分を吸収しやすいため、汚れが付くとなかなか落ちません。
施工費用が高い
長期間使えるので、長い目でみれば費用対効果は悪くないのですが、素材自体が高価であること、施工に時間がかかることなどもあって、リフォーム費用は高くなります。

自然素材の床材
床は、部屋の中でも広い面積を占めるので、部屋の印象を大きく左右します。また、座ったり、歩いたりと直接身体に触れるものでもあります。住み心地にも影響するので、部屋の用途やインテリアなどに応じて選ぶようにしましょう。
無垢フローリング
床材として人気の高いフローリングには、天然木をそのまま使用した無垢フローリングと、合板に天然木の表面材を貼り付けた複合フローリングがあります。化学物質を含まず質感が高く、風合いがよいのは無垢フローリングです。吸放湿性にも優れているので、湿度を一定に保つ効果があり、快適な室内空間作りに貢献してくれます。素材としては、パイン(松)・杉・竹・チーク・オーク(なら)・ウォルナット・サイプレスなどがあります。
畳
「1部屋は、畳を敷いた和室が欲しい」というリフォームを希望される方はたくさんいらっしゃいます。独特の香り・弾力性・触り心地は、畳ならではの特長です。吸湿性・断熱性・防音性にすぐれ、高温多湿な日本の風土に適した床材です。なお、一般的に半畳サイズで縁なしの畳のことを「琉球畳」と呼んでいますが、正しくはシチトウを畳表に使ったものだけを「琉球畳」と呼びます(一般的な畳はイグサを使います)。
天然石

天然石の魅力は、硬質感とつややかな光沢が生み出す、エレガントな華やかさや重厚な高級感です。床暖房もあわせて設置すれば、冬でも足元が寒くならず快適に過ごすことができます。素材としては、大理石・石灰岩・御影石(花崗岩)・安山岩などがあります。
そのほかの床材
そのほかの天然素材としては、コルク・籐・ココヤシなどがあります。コルクは肌触りのよさ、適度なクッション性、冬でも床が冷たくならない保温性もあって人気が高まっています。籐・ココヤシは、水はけがよく衛生面で使いやすいこともあって洗面所でよく使われていましたが、裸足での肌触りのよさからリビングでも導入事例が増えています。
自然素材の壁材
壁の仕上げには、壁紙や羽目板を貼り付ける方法と、漆喰や珪藻土などを塗る方法があります。リフォームでは施工に時間がかからずきれいに仕上がる壁紙が一般的でしたが、最近は、自然素材を使った塗り壁が見直されています。
珪藻土

珪藻土とは、海藻の一種である植物性プランクトン(珪藻類)が海や湖に堆積した土層から採取したもので、人にやさしい素材として話題です。小さな無数の穴を持っているため、その穴が空気層となり、吸放湿性・耐熱性・保温性などが優れています。ダニやカビの発生をおさえ、いやな臭いを吸着して分解する性質もあります。コテやクシを使って表面を仕上げるので、様々な表情が描き出されます。
漆喰
漆喰は、日本の伝統的な壁材で、消石灰に糊や植物の繊維くずなどを混ぜて使います。仕上がり面は非常になめらかで、緻密で固くて強いため、お城・寺院・蔵などの外壁としても使われてきました。耐久性はもちろん、断熱性・防火性も優れています。顔料を入れた色漆喰も発売されています。
羽目板
床材と同様に天然木を使った壁材も人気があります。羽目板は、壁面に連続して貼り付ける板のことで、1枚ごとに変わる木目と無垢の天然木の味わいが、落ち着いた空間を作り出します。素材としては、ヒノキ・杉・パイン(松)・桐・ナラ・ヒバなどがあります。
そのほかの壁材
茶室などで見られる色土を混ぜた土壁や、きめの細かい砂状に仕上げた砂壁などがあります。
そのほかの自然素材
床や壁に自然素材を使うなら、塗料やワックスなどもできる限り自然素材で揃えたいものです。例えば、天然塗料・天然接着剤・天然ワックス・天然断熱材などがあります。塗料には、亜麻仁油やひまわり油などの植物成分由来のもの、接着剤には膠(にかわ)やでんぷん系のもの、ワックスには動物系の蜜蝋・鯨蝋と植物系のカルバナ蝋・ハゼ蝋などがあります。断熱材には羊毛や木質繊維からできたセルロースファイバーがあります。

また、石や粘土などを高温で焼き上げたタイルや、日本瓦なども自然素材に含めることができます。タイルには、デザインや柄など豊富な種類があり、ナチュラルな風合いながらしっかりとした存在感と個性を打ち出せます。床材としても壁材としても使えます。日本瓦は、耐水性・耐熱性・耐寒性の高さが特長で、古くから使われてきた屋根材です。瓦と下地の間に空気層ができるため、断熱性や通気性にも優れ、高温多湿な日本に適しています。
DIYでできること

DIYで床材の交換は難しいですが、壁の塗り替えなら手がけてみてはいかがでしょうか。リビングルームなどの壁面積が広い場所は手間かかるので、まずはトイレや洗面所など塗りやすい場所で練習して、他の場所に挑戦するのがよいと思います。
自然素材 リフォームの費用・相場
自然素材を使ったリフォームは、壁材交換としてシンプルに考えると一部屋あたり10万円程度の出費となります。自然素材にこだわる家では「瓦屋根」も検討されるようですが、丸ごとふき替えだと200万円前後になる場合もあります。
自然素材 リフォームの事例
- 150万円
- 一戸建て
- 4週間
以前、リビング・ダイニング・キッチンであったスペースを、リビング・ダイニングに変更しました。天井・壁を珪藻土塗り、床はナラ無垢フローリングで仕上げました。間取り変更で、広さと、使い勝手が格段に上がり、仕上げ材により、冷暖房効率も良くなりました。 リビングから続いたワークスペースには、窓側からキッチン側壁面まで、L字に本棚も造作しました。お持ちのL型デスクがぴったりと納まるサイズでの設計です。 左から、リビング入口、納戸扉、お子様部屋扉
- 450万円
- 一戸建て
- 4週間
別荘のリフォームです。もともと4人家族で生活するような部屋数を多くしている設計でした。お客様はほとんどご夫婦2人での使用されることもあり、構造柱は残しバランスを見ながら間仕切りを全面的に撤去。大空間のLDKとし、無垢カリン材によって高級感を演出しました。
- 600万円
- 一戸建て
- 4週間
もともとすこし薄暗く冷たい印象の物件でした。赤ちゃんのいるご家庭ということもあり、「暖かみのある安心して暮らせる家」をコンセプトに御提案。素焼きのテラコッタタイルやナチュラルパターンの珪藻土で暖かみを演出し、床は100%ウールの自然素材で安心です。
- 200万円
- 一戸建て
- 4週間
音楽関係の仕事で超多忙な毎日を送っているご夫婦。そんな生活だからこそ、家では自然に囲まれた人間的な生活を味わいたいという気持ちを強くお持ちのようでした。洗面台は、リビングで使用した材と同材のパイン材で造作。床はコルクと暖かみのある洗面室となりました。
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