スマートフォン部門

スマートフォン市場では常にトップを走ってきたアップルの「iPhone」シリーズ。しかし、そんな定番の人気シリーズだからこそ、ユーザーの製品を見る目は年々厳しくなっている。2020年秋に発売された「iPhone 12」も、発売当初はサプライズ性の少ない製品という評価が多かった。画面サイズやデュアルカメラなど、一見すると、前モデルの「iPhone 11」と比べてそれほど大きな違いはないように思える。しかし、細部を見れば、ボディデザインは、それまでの全体に丸みを帯びたデザインから、ややエッジの効いたデザインへと変更され、ディスプレイも画面サイズこそ6.1型のままだが、液晶から有機ELへ変わったことで、映像の深みが一気に増した。カメラは一見変化がないようで、ナイトモードが超広角でも使えるようになるなど着実に進化。通信性能は5Gに初対応し、さらに新規機能「MagSafe」にも対応。ワイヤレス充電も可能となった。処理性能も十分高速で、普段使いには何ら問題ない。もちろん使い慣れたiOSならではの安心感もある。値段も安くはないが、ベーシックモデルなら10万円は超えない絶妙な設定。惜しむらくは、コロナ禍で需要が増してしまった指紋認証機能がないことだが、それを除けば、特に不満は見当たらない。「iPhone 12」は、そんな「普通だけども、変わらずに安心して使える。それがいい」。そんなスマートフォンとして、多くの普通のユーザーに高く支持されたのだと思う。