キャッシングとは、一般的にはクレジットカードを使って現金を借りられるサービスを指します。クレジットカードに付帯する少額融資サービスで、クレジットカードをお持ちの方であれば、誰でも利用することが可能です。
同じようなサービスとして「カードローン」もありますが、両者のサービス内容や仕組みには違いもあります。ここでは、クレジットカードのキャッシングの仕組みや利用方法などの基本に加え、「カードローン」との違い、そしてどちらがお得なのかを詳しく解説していきます。
どちらも同じ「お金を借りる」というサービスのため、カードローンとクレジットカードのキャッシングを混同してしまう方も多いかも知れませんが、両者の違いはどこにあるのでしょうか。
どちらも「金融機関からお金を借りるサービス」という大前提は一緒です。また、ATM等から現金を引き出せることや、借りたお金には利子が発生するため返済時には借りたお金と利子分の合算金額を支払う必要があることなど、基本的なサービスは共通しています。
このようにサービスや利便性については共通していますが、4つの特徴的な違いがありますので順番にご紹介します。
まず1つ目の大きな違いは、返済方法です。
キャッシングは、クレジットカード利用者が使うことのできる少額融資サービスであり、キャッシングで借り入れたお金は、毎月のショッピング用で利用したお金の支払いと同じタイミングで引き落とされます。この場合、翌月に一括返済をするか、通称「リボ払い」と言われる、元利定額リボルビング払いや残高スライドリボルビング払いなどの形式で返済を行います。
一方、カードローンは、銀行や消費者金融などから受ける融資になり、「借入れ」に特化したサービスです。返済方法は、10回、30回、50回など、回数を自分で選べる毎月の分割支払いが主流です。自分の収入や返済能力に応じて、支払期間や支払回数を調整することができます。
2つ目の大きな違いは、金利です。
クレジットカードによるキャッシングは、少額短期融資という性質上、短期で返済することを想定しています。クレジットカードによるキャッシングの際の金利は、カードローンに比べるとやや高めに設定されていることが多いようです。
借りる金額にもよりますが、キャッシングの場合、通常15〜18%前後が基本です。カードローンの場合は、10%前後のものが主流です。また、なかには4〜5%台の金利で設定されているものもあるので、中長期的に返済を考えたいという方にとっては、カードローンのほうが断然支払金額は安く抑えることができるはずです。
ただ、一部のクレジットカードやカードローンでは、はじめての利用で「30日間の間に返済すれば金利0円」といったサービス(無利息期間)もあるので、「短期間で計画的に返済できる方」は、こうした無利息期間を利用してみてもいいかもしれません。
キャッシングで借りられる金額の上限も、カード会社によって違ってきます。
それぞれのクレジットカードには、「キャッシング枠」と呼ばれる上限金額が設定されています。キャッシングでお金を引き出す場合は、この上限金額の金額内でしか融資を受けることができません。その金額は、人によって異なりますが、十数万円から100万円と比較的少額です。
一方、カードローンは、借入れする方の収入や勤務状態にもよりますが、上限融資額は数十万円から数百万円くらいまでとなっています。一度に大きな金額を借りたい場合は、カードローンのほうが使い勝手がよいといえるでしょう。
借入時の流れも、キャッシングとカードローンでは異なっています。
キャッシングの場合は、クレジットカードさえ持っていれば、別途書類の申請等は必要ありません。それゆえ、急にお金が必要になった場合、キャッシュディスペンサーやコンビニ等のATMに手持ちのクレジットカードを差し込めば、すぐにお金を借りることができます。
カードローンの場合、初回は収入証明等を提出し契約を行う必要があります。最近では即日審査などにも対応しているところも多く、さほど時間はかかりませんが、緊急性の高い出費の場合は、クレジットカードのキャッシングのほうが便利だと考えておいていいでしょう。
ただ、カードローンでも、申し込んだその日にすぐにお金が借りられる、即日融資可能なカードローンも多数あります。金利の低さや利用金額に応じてどちらを使うべきか、検討してはいかがでしょうか。
クレジットカードを使ったキャッシング。「使ったことがないからわからない」という方のために、流れと手順についてご説明します。キャッシング利用経験が無いと難しい操作が必要に思われるかも知れませんが、通常のATM操作と大きく変わりません。
クレジットカードを所有していれば、すぐに使うことができる。その利便性の高さがキャッシングの利点のひとつですが、ひとつ利用前に注意しておきたいのが、キャッシング枠を事前に申請しておくということ。
クレジットカードを作る際、大半のカード会社では、キャッシング枠の有無を選ぶことが可能です。審査に通ることが前提ではありますが、審査にさえ通れば、キャッシング枠の金額も、自分で設定することができます。
もしも「クレジットカードを作る際に、キャッシング枠を“なし”にして申請してしまった」という場合であっても、心配する必要はありません。カード会社に連絡すれば、キャッシング機能を追加ができます。
キャッシング枠は、各クレジットカード会社のサイトで確認可能で、自分のIDとパスワードでログインし、現在のキャッシング枠の確認を行えます。もしくは、電話にて「持っているカードにキャッシング枠が付いているか」を問い合わせましょう。
実際にキャッシングサービスを利用する際、利用法として多いのはコンビニ等のATMからお金を引き出す形です。コンビニ等のATMのメニューに「キャッシング」といった項目があるはずです。
そこで、キャッシングを選択し、通常の銀行の引出しと同様、暗証番号を入力し、返済方法として、「一括」か「リボ払い」を選択すれば、手続きはすべて完了です。
キャッシングを賢く使う上で、絶対に避けて通れないのが「返済方法」です。借りる際には、どんな流れで返済するのか覚えておきたいですね。一般的に、キャッシングの返済方法は、「一括返済」と「リボ払い」が主流となっていますが、両者は一体何が違うのでしょうか。
一括返済の場合は、その名の通り、一度にすべての借入れと利子を返済するというものです。この一括返済を選択すると、その月のショッピングなどの支払いと一緒に、キャッシングの支払分も一度に引き落とされます。この場合は、利子も短期間分しかかからないので、最低限で済むという利点があります。銀行口座に余裕のある方であれば、こちらを利用するのもよいでしょう。
一方のリボ払いとは、毎月、一定の金額を返済していく手法です。たとえば、「毎月5,000円返済」と決めた場合は、毎月5,000円を続けて支払っていくことで、利息と元本を返済していけます。5,000円、1万円、2万円……などと、少額返済でよいので、手持ちのお金が少なく一括返済できない方にとっては、非常に便利なサービスだといえるでしょう。
ただ、リボ払いの場合、注意したいのが、少額でしか返済できないため、支払が長期化し、カード会社に支払う手数料(利子)が増えてしまうことです。リボ払いは、残高に対して利息が発生するサービスなので、少額返済で元本が減っていかないと、利子も膨れ上がってしまいます。
また、一度の返済額が少ないため、「たくさんキャッシングしても、どうせ毎月最低5,000円返済すればいいんだし」と、ついつい金銭感覚がマヒして、使いすぎてしまう方も多いようです。結果的に、リボ払いを続けてしまい、利子だけで膨大な金額になってしまうケースも少なくありません。
「いま手持ちがないので、月々の返済が抑えられるほうがありがたい」という方にとっては、リボ払いは非常に強い味方になりますが、自己管理ができない方や「利子を余分に払いたくない」という方には、あまり向いていない返済方法といえるでしょう。
100,000円を実質年率18.00%で借りた場合の返済イメージ
ここまでクレジットカードのキャッシングとカードローン、それぞれの特徴を紹介してきましたが、果たしてどちらを利用するほうがお得なのでしょうか。ここで一度、整理してみましょう。
まず、クレジットカードのキャッシングのメリットは、「申請等がいらずに、すぐにお金を引き出せる」という利便性が高い点です。
一度もカードローンの契約をしたことがない方の場合、カードローンでお金を借りようとすると、申込みや審査に多少の時間や手間暇がかかります。「いますぐにお金が借りたい!」という場合は、キャッシングのほうが便利だと言えそうです。
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また、もうひとつのキャッシングのメリットは、「クレジットカードのショッピングの支払いと一緒に引落としができる」という点です。
カードローンは返済方法が複数あり、引落としではなく振込みを選択した場合、振込指定日を忘れてしまい延滞金が発生する、といったケースもあるようです。その点、自動でクレジットカードの支払いと一緒に引き落とされるキャッシングは、支払忘れが発生しないという利点があります。
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一方、キャッシングよりもカードローンに軍配が上がりそうなのが、「金利」です。キャッシングは、18%前後の利息がかかるため、カードローンに比べるとだいぶ高金利と言えます。
この金額は、あくまで年間の借入れにかかる「年利」ではありますが、短期返済を考えるのならば、キャッシングでもよいかもしれません。ですが、中長期にわたって借入れを考える場合、キャッシングは避けたほうがよいでしょう。
金利 | |
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また、もうひとつは「借り入れられる金額」です。キャッシングも100万円くらいまで借入れすることはできますが、比較してみると、カードローンは数百万円単位で借入れができるので、高額な借入れを考えている方にとっては、カードローンのほうが便利です。
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ここまで紹介してきたように、どちらも一長一短あるキャッシングとカードローン。借入日数が数ヶ月程度で10万円前後の借入れならばキャッシング、数ヶ月以上で100万円以上の借入れならばカードローンとそれぞれ2枚持って使い分けるのが賢い使い方といえそうです。
また、キャッシングの大きなメリットといえば「即日融資」ですが、最近では、カードローンでも「即日融資が可能」という会社が非常に増えてきました。
緊急時に必要になった金額にもよりますが、カードローンとクレジットカードの2枚持ちにしておけば、金額や支払方法等を組み合わせて、上手に使うことができるかもしれません。
「キャッシングを利用してみたいけれども、どこか使うのは不安に感じてしまう」という方も多いのではないでしょうか。ここでは、キャッシングにまつわるよくあるQ&Aについて、解説していきたいと思います。
A.ショッピング枠の上限額で決まります。
クレジットカードのキャッシングの利用枠は、通常のクレジットカードでの買い物時に利用する「ショッピング枠」と大きな関係があります。
キャッシング枠は、基本的にショッピング枠のなかで設定されるので、ショッピング枠よりもキャッシングの上限金額が高くなることはありません。また、キャッシングを利用した分だけ、ショッピング枠の残高は減らされていきます。
たとえば、ショッピング枠の利用限度額が30万円の方の場合、仮にキャッシングで10万円使用したとして、その月にショッピング枠で利用できる残高は20万円になります。
A.カード会社の審査を受けましょう。
キャッシング枠は、自分で増額することも可能ですが、それはあくまで「ショッピング枠」の上限を超えない範囲となります。ショッピング枠、つまり利用限度額の上限を変えたいという場合は、利用者本人の信用力によって変わってきます。
増額をしたい場合は、カード会社に問い合わせを行いましょう。申請した場合は、カード会社による審査があり、その審査に無事に通れば、増額してもらえる可能性があります。ただし、残高不足によって引落としができなかったなど、過去の返済実績に傷がある場合は、審査に通らないことも考えられますので、くれぐれも注意しましょう。返済時に延滞などのトラブルがあった後でも、着実に返済をして、実績を積んでいけば、増額してもらえる可能性もあります。
A.可能です。0円に設定しましょう。
「キャッシング機能を使いたくない」「あると使ってしまいそうで怖い」という人は、キャッシング枠を0円に設定することも可能です。カード会社に「キャッシング枠を0円にしてください」と連絡を行いましょう。
A.ありません。しかし、ネット系や流通系クレジットカードは一考の余地があります。
審査項目は各カード会社の機密事項です。審査は年収や職業、返済能力が問われますが、審査が甘いクレジットカードはありません。
ただし、普通のクレジットカードに比べると「審査が通りやすい」と言われているのが、Yahoo!JAPANカードや楽天カードなどのネット系クレジットカードです。また、丸井のエポスカードやイオンカード、セブンカードなどの流通系クレジットカードも、その入会のしやすさから人気のようです。
これらのクレジットカードはネット通販や各店舗での利用でも、ポイント等が貯まるため、ポイントを貯めたいという人にとっても、非常に便利です。
A.きちんと返済していれば問題ありません。
ローンなどを組む際に、金融機関側が必ずチェックするのが「信用情報」です。信用情報とは、個人のお金に関する履歴のようなもので、これまでのクレジットカードやローンの使用履歴や、その返済実績などといった利用状況が事細かに記録されています。
キャッシングを利用すると、この信用情報に履歴が残り、各金融機関から「この人はキャッシングを利用した人だな」と認識されます。
ただ、履歴が残るからといって、延滞など支払いを遅延したことがある方以外は、悪影響が出ることはほぼありません。むしろ、金融機関側からすると、履歴になんの記録もない方よりも、借りた後に、きちんと返済した実績のある方のほうが「この人は返済能力がある人だ」と信用される場合もあります。きちんと返済する自信さえあるのなら、キャッシングの利用を心配する必要はありません。
A.キャッシングにより信用力が下がった場合、住宅ローンの借入可能金額が減る可能性があります。
キャッシングを利用する際、注意してもらいたいのが、住宅ローンをはじめとするローンの借入時です。住宅ローンなどで大金を借りる際、金融機関側は借主の信用力を非常に細かく審査します。その際、キャッシングの利用は、あくまで「借入れ(借金)」として考えられるため、「この人は借金をしている人なんだな」として、信用力が下がるケースがあります。
住宅ローンなどのローンの利用を控えている方は、キャッシングはすべて返済し終えてから申請をするのがベストです。また、一度利用したことがある方は、キャッシング枠があるだけで「借入枠がある=借金が可能」とみなされてしまうケースもあるので、場合によっては住宅ローンの申請前に、キャッシング枠を一度0円にしてしまったほうがいいかもしれません。
A.インターネットで借入れができるキャッシングサービスです。
ネットキャッシングは、通常のキャッシングとは異なり、インターネット上でお金を借りることができるサービスです。通常は、ATMなどからお金を引き出すことが多いですが、インターネット上で希望金額の申込みを行うと、即時、お金が自分の指定口座に振り込まれます。公共料金をはじめとする、さまざまな引落とし時、手持ちのお金がないときには非常に便利なサービスだといえるでしょう。
A.途中から返済方法をリボ払いに変更するサービスです。
一般的にキャッシングの返済方法としては、一括返済とリボ払いが代表的ですが、最近、カード会社各社が採用し、新たに注目されはじめているのが「あとからリボ(あとリボ)」です。
これは、一括返済などで申し込んでおいた支払いを、途中から「リボ払い」に変更するというものです。買い物時に「リボ払い」というのが抵抗がある方や、「最初は一括返済できると思っていたけれども、事情が変わって懐具合が苦しい」という方におすすめです。
A.繰り上げ返済や返済額の増額で、支払期間をとにかく縮めましょう。
キャッシングのリボ払いは、毎月最低数千円単位という一定額の支払いで済むため、たしかに便利ではあります。一方で注意したいのが、リボ払いによって金利が膨らみ、思っていた以上に支払いが長引いてしまう、というものです。
また、「毎月数千円の返済でいいんだし」と思うと、つい財布の紐が緩んでしまい、気が付けばたくさんのものをリボ払いで購入してしまっているケースも多いようです。
リボ払いの支払いが延滞してしまえば、キャッシング枠はおろか、ショッピング時にカードを使うことも難しくなってしまいます。
リボ払いで支払困難に陥ってしまった場合は、とにかく繰り上げ返済を急ぐか、毎月の返済額を上げることが大事です。リボ払いにして、支払いが長期化すると、それだけ利子がかさんでしまい、支払額も大きくなってしまいます。それゆえ、多少生活が厳しくなったとしても、できるだけ短期間で返済することを目標にしましょう。
A.返済が長期化する場合は、低金利のカードローンへ借換えを。
「キャッシングで借りたお金がどうしても返済できない」という場合、支払いが到底回らないということであれば、より低金利のカードローンを申請して、借換えするという方法もあります。クレジットカードのキャッシングは非常に金利が高いケースが多いので、できるだけ低金利なものに借換えをできるように心しましょう。
A.クレジットカードのキャッシングは総量規制の対象になります。
クレジットカードのキャッシングとカードローンは総量規制の対象です。年収の3分の1を越える借入れはできません。
ほかに利用しているカードローンで年収の3分の1に当たる金額を借り入れていた場合、新たにキャッシングは利用できません。年収の3分の1以上を借り入れていてもクレジットカードのショッピング機能は利用できます。
A.コンビニATMを利用すれば、手数料がかかります。
キャッシングを利用するときにかかるコストは主に金利手数料です。そのほか、コンビニATMを利用した場合はATMの利用手数料がかかります。手数料は100〜200円程度です。
コストを考えるならば、自分の銀行口座に直接振り込んでもらい利用するのが賢い方法と言えるでしょう。利用できるコンビニATMは各カードによっても違うので調べてみましょう。
A.延滞利息がかかります。延滞を繰り返すとキャッシングが利用できなくなるため、コールセンターに連絡を行いましょう。
キャッシングで利用していて返済が遅れた場合はその遅れた日数に応じて損害遅延金、いわゆる延滞利息がかかります。延滞利息の金利は20%程度に設定をしている金融機関が多く、割高です。
延滞を繰り返すとキャッシング自体の機能やクレジットカードの利用自体が停止されます。支払いが延滞しそうな場合や延滞してしまった場合はコールセンターに連絡をして、返済計画について相談をしましょう。
A.債務整理を行っている方はキャッシングを利用できません。
債務整理中の方はクレジットカードの審査が通らないため、キャッシングも利用できません。キャッシングを利用したい場合は、債務整理をきちんと終らせることが必要です。
A.生活保護を受けている場合、利用できません。
生活保護は「資産や能力等すべてを活用してもなお生活に困窮する方に対し、困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、その自立を助長する制度」です。
生活保護を利用している方はキャッシングの審査は通りません。また、生活保護を受けていることを隠してキャッシングを利用した場合、キャッシング自体が収入と見なされて生活保護が打ち切られる可能性があります。
クレジットカード比較に関するご注意