金利はどうやって決まるの?なぜ毎月ちがうの?
金利は、世の中のさまざまな経済的な変化にともなって変動します。景気がよくなったり、物価が上がったりすれば一般的には金利も上昇します。
金利変動の要因

金利はいろいろな要因が複合して、その結果として決まります。そのため、景気はよくないのに物価が上昇したため金利も上がるということもありえます。
住宅ローンの金利は、これらの要因によって決まる「無担保コール翌日物金利」(変動金利型の金利に影響します)や「10年国債の利回り」(10年固定や35年固定、フラット35など長期固定の金利に影響します)を指標のひとつとして、各銀行が毎月決定しています。
現在は、中央銀行である日銀が、金融緩和策の一環として無担保コール翌日物金利や10年国債の利回りをコントロールしています。そのため、住宅ローンの金利も変動金利も固定金利も低く抑えられています。
住宅ローン関連金利の推移(10年国債の利回り)

10年国債の利回りは、H25年に日銀が異次元の金融緩和を導入して以来、下降傾向で、H28年2月には日銀のマイナス金利政策により一時、金利はマイナスに。その後プラスに戻したものの、金融政策の一環として長期金利の目標を「±0.1%程度」と非常に低い水準に抑えてきました。H30年7月末には目標が見直されて「±0.2%」まで容認されたことで、やや金利が上昇したものの、年末にやや下がりました。
※「無担保コール翌日物金利」の金利は毎営業日ごとに日本銀行のサイトで発表されており、過去のデータも確認することができます。
今までの金利の動きは?
現在の最低水準が、今後も続くとは限りません。
90年代までは金利が高い時代でしたが、ここ十数年は低い水準で安定しています。
変動金利型の基準金利の推移を見てみると、1990年ごろに8.5%まで上昇したこともありました。バブル崩壊後は、ゼロ金利政策(金融緩和)などもあり、現在まで金利はほぼ最低水準で安定しています。
最近では変動金利型はほぼ動きがないのに対して、固定期間が長期のものは、毎月わずかではあるものの金利が上下しています。長期固定金利の代表格ともいえるフラット35の金利は、2016年8月に過去最低金利になって以降、1%台前半の低い水準が続いています。2017年10月に大きく上がったのは、フラット35が団信特約料込みの金利を標準とするようになったためです。その後の金利では2017年12月と2018年7月と8月に1.34%を付けたのが最低です。2018年9月以降、金利が少し上がったのは、前述のとおり日銀が金融政策の一環として長期金利のコントロール目標を「±0.2%」と緩めた影響です。年末にはやや下がりました。
ただし、これらはあくまでも過去のデータです。これから住宅ローンを借り入れする人や、現在返済中の人は、今後金利がどう動くかが重要です。
銀行の変動金利型(基準金利)の推移

フラット35の過去3年間の金利推移

※返済期間21年以上、融資率9割以下の毎月の最低金利
金利はこれからどう動く?みんなはどう考えている?
現在の住宅ローン利用者の考えは?
今後1年間は「ほとんど変わらない」と考えている人が多く、現状より低下するという考えは少数派です。
実際に住宅ローンを借り入れした人が、今後1年間の金利はどう動くと考えているのかを聞いたアンケート結果では、全体で見ると
- 「ほとんど変わらない」と考える人が半数弱
- 「現状よりも上昇する」と考える人が4割強
となっています。全回調査に比べ、「上昇する」と考える人が微増しました。「今よりも金利が下がる」と考える人は少数です。
さらに借りた金利タイプ別に見てみると、全期間固定型で借りた人は「現状よりも上昇する」と考える人が最も多く、変動金利型で借りた人は「ほとんど変わらない」と考える人が多いという結果でした。
住宅ローン利用者の実態調査

※住宅金融支援機構「2018年度民間住宅ローン利用者の実態調査(民間住宅ローン利用者編)第1回」より
金利の動きはウォッチすべき?
住宅ローン金利は、借り入れ時だけなく、長期間にわたって確認したい。
住宅ローンの返済は長期にわたります。リスクに備えるためにも、より有利な返済をするためにも、折にふれて金利の状況を確認しましょう。
変動金利型の住宅ローンを借りている人で、「金利が上昇してきたら固定金利に借り換える」と考えている人は、変動金利ではなく、借り換える先の固定金利をウォッチし、「固定金利が○%になったら借り換えよう」とターゲットの金利を決めておきましょう。「再び金利が下がるかもしれない」などと迷っているうちに、金利が上がりすぎてしまう可能性があるからです。「金利が上がってもそのまま変動で借り続ける」という人は、特に準備は不要です。もっと有利な変動金利型を見つけたときには、借り換えをするのも一つの手です。
一方、固定金利で借りている人は、借りたときより金利が下がっているのであれば借り換えを検討してみましょう。10年、20年、30年という長期の間には、経済状況はめまぐるしく変化しますので、できるだけ金利の動きに注目することが、上手に返済するコツでもあります。
では、金利が動くことに対応するにはどのような金利タイプを選んだらよいのでしょうか?また、リスクに対する備えはどのようにしておけばよいのでしょうか?