




毎回激戦となるカメラ関連部門だが、見事大賞に選出されたのは、キヤノンのエントリー向けデジタル一眼レフカメラ「EOS Kiss X3」のダブルズームキットとなった。キヤノンはこの業界ではナンバーワンのシェアを誇るリーディングメーカーであるが、意外なことに、これまでプロダクトアワードでは金賞を受賞したことがなかった。今回の大賞受賞はキヤノンファンにとっては待ちに待った受賞といえるかもしれない。
2009年のデジタルカメラ市場を振り返ると、決して順風満帆という状況ではなかった。折からの不景気の影響もあり、カメラ映像機器工業会(CIPA)の発表によれば、2009年のデジタルカメラ市場は初の前年割れとなる模様だ。それまで市場を引っ張ってきたデジタル一眼レフカメラがある程度の普及を終えて停滞期に入り、これまでのような爆発的な伸びは一気に鈍化。「出せば必ず話題になる」という状況は過去のものとなり、単純なバージョンアップだけではあまり話題にのぼらなくなってしまった。コンパクトデジカメのほうはさらに悪い状況で、目を引くような新機軸を打ち出した製品は数えるほどしかなく、当然のことながら話題性も乏しくなった感が否めない。ひと言で言うなら、2009年はカメラ市場全体にとって、非常に厳しい年だったといえる。
しかし、そんな市況の中でも、いくつかの新機軸が登場しユーザーの注目を集めた。特に印象的だったのは、それまでの一眼レフカメラの常識を変えるような小型の「デジタル一眼カメラ」の登場だろう。従来のフォーサーズ規格をベースに、さらに小型化を推し進めた「マイクロフォーサーズ規格」を採用する「デジタル一眼カメラ」がオリンパスやパナソニックから登場。そのコンパクトなサイズと趣味性の高い設計によって、デジタル一眼の初心者だけでなく、従来からのデジタル一眼レフユーザーの注目をも集め、2009年はこのマイクロフォーサーズが大いに話題を集めた年となった。実際、マイクロフォーサーズを採用したデジタル一眼製品は人気が高く、パナソニックの「LUMIX DMC-GF1C パンケーキレンズキット」は、デジタル一眼レフカメラ部門で銀賞に輝いた。しかし、この人気製品を押さえて、それ以上のユーザー支持を集めたのが、どちらかと言えば従来型のエントリーモデルの改良版である「EOS Kiss X3 ダブルズームキット」であったのは興味深い。
「EOS Kiss X3」は、「Kiss X」「Kiss X2」と1年ごとに進化を続けている、キヤノンのデジタル一眼レフカメラのエントリー製品である。このシリーズは、初代の「EOS Kiss Digital」の発売以降、デジタル一眼レフカメラのブームを先導するような形で売れ続けている、いわば「ベストセラー機」だ。しかし、ベストセラー機であるがゆえに、一眼レフカメラとしてのおもしろみに今ひとつ欠ける、という意見が多かったのも事実。もっとも売れている製品でありながら、これまでプロダクトアワード金賞に選出されなかったのには、そうした背景があったのだ。
しかし、2009年、ついにこのベストセラー機「EOS Kiss X3 ダブルズームキット」が、見事カメラ関連部門の大賞に選出された。その理由はいくつかあるが、毎年進化を繰り返しているだけにカメラとしての性能が非常に向上してきていることが大きいだろう。センサーの解像度はエントリー製品でありながらも、上位モデルを超えるほどの約1510万画素を実現。上位モデルと同じ映像エンジン「DIGIC 4」を搭載し、ISO12800まで対応する高感度撮影機能は、上位モデルも舌を巻くほどだ。従来より定評のある正確で速いオートフォーカス機能にもさらに磨きがかかり、さらに、自由なアングルで撮影できるライブビュー液晶や、1920×1080ドットのフルHD画質での動画撮影機能など、非常に多機能なカメラに仕上がっている。ないのは本体内の手ぶれ補正機能くらいなものだが、この「ダブルズームキット」に付属する2本のキットレンズはいずれもレンズ内手ぶれ補正機能搭載なので問題ない。むしろ、キットレンズが2本セットで7万円台から購入可能というコストパフォーマンスのよさが非常に際立っており、その人気にさらに火を点けた形だ。このダブルズームキットからデジタル一眼レフカメラの楽しさを知った、というようなユーザーも非常に多く、こうしたエントリーユーザーからの評価はすこぶる高い。やや苦戦が続くデジタル一眼レフカメラのユーザー層を広げたという意味でも、本製品は2009年もっとも高く評価されるべき存在であったといえるだろう。
EOS Kiss X3 ダブルズームキットのPVシェア率推移

EOS Kiss X3 ダブルズームキットの売れ筋ランキング推移

プロダクトアワード2009のデータ解析
「プロダクトアワード2009」の受賞製品には、一体どのような特徴が見られるのでしょうか?価格.comのアクセス数と価格推移という、定量データを切り口として、プロダクトアワード2009受賞製品を解説します。
この製品の最新のPV・ランキング・価格など、もっと詳しい情報を価格.com トレンドサーチでご覧いただけます。
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カメラマーケティング企画本部
本部長 阪田斉弘さん(左)
カメラマーケティング部 カメラ商品企画課
課長 中村真一さん(右)

-- 意外かもしれませんが、これまで「価格.comプロダクトアワード」でキヤノンのカメラがプロダクト大賞を取ったことはありませんでした。それが今年は、もっとも売れ筋と言っていい「EOS Kiss X3 ダブルズームキット」での大賞受賞となったわけで「ようやく本命の登場」といった感もありますが、率直なご感想としてはいかがでしょうか。
まずは素直にうれしいと感じています。手前味噌で恐縮ですが、「EOS Kiss」シリーズは、まさに「国民的カメラ」とも言える一眼レフカメラだと思っています。今回大賞を受賞した「EOS Kiss X3」はフイルムカメラの「EOS Kiss」から数えて13代目に当たる製品ですが、そのいずれもが販売シェアではナンバーワンを頂いてきました。また、初代機からずっと「お父さん、お母さんが子供を撮るためのカメラ」というコンセプトで作られており、そういう意味でもまさに「国民的カメラ」であるわけです。
だからこそ、製品の設計も決して奇をてらったものではなく、基本性能に忠実なスペックを搭載しています。なおかつ、今回の「EOS Kiss X3」については、上位モデルゆずりの高性能を惜しみなく投入しておりまして、写真愛好家の皆さんも満足できるようなデジタル一眼レフに仕上がっています。そういうところがきちんと評価されたのかなと思います。

-- 確かに「EOS Kiss X3」は「1510万画素CMOSセンサー」や「フルHD動画撮影機能」など、エントリーモデルとは思えないような機能を搭載していますよね。こうした点は、エントリーユーザーだけでなく、古くからのカメラファンにも支持を得ていたように思います。
先日、クチコミを拝見していましたら、あるプロカメラマンの方が奥様用のカメラとして買った「EOS Kiss X3」を自分でも使ってみたところ、思いのほか高性能で、仕事にも使えそうと思った、というような書き込みがありましたが、このように感じているカメラファンの方が多いのかもしれませんね。以前でしたら、「これくらいの価格であれば、これくらいの性能にしておこう」という製品設計もありましたが、デジタルの時代になって技術的に年々進化していく中で、変に出し惜しみをしても意味がない。もちろんコストとの兼ね合いはありますが、エントリーモデルであっても技術を出し惜しみせず、そのときできる最高のものを作る。「EOS Kiss」シリーズはそんなコンセプトで開発してきたカメラですが、そういう姿勢が徐々にご理解いただけてきたんじゃないかと思います。
ただ、一方で「優等生すぎる」などという評価をいただいたこともありました。価格やサイズ、性能、使い勝手など、どこから切っても満足いただけるようなカメラに仕上げてきたつもりですが、そんなところが真面目すぎるような印象になったのかもしれません。ですが、今後もどなたにでも使っていただけるスタンダードカメラを投入してゆきたいという想いに変わりはありません。

-- 今回受賞した製品は「ダブルズームキット」ということで、手ぶれ補正機能搭載のレンズが2本付いてくるセット商品ですが、コストパフォーマンスも相当に高いと思います。こうした点も高く評価されていますね。
「EOS Kiss」シリーズは、購入する方の半分以上がエントリーユーザーですし、ご家族で使っていただくことを想定したカメラです。運動会などのイベントでお父さん、お母さんがお子さんを撮るときに、標準ズームに加えて、やはり高倍率のズームレンズが必要になるだろうという想いでこのキットを設定しています。「EOS Kiss X3」ではこのダブルズームキットが販売の7割を占めていますが、ダブルズームキットの比率が上がってきたのは、ここ最近のことなのです。「EOS Kiss X2」のときに「手ブレ補正機能」を搭載したレンズを同梱したのですが、この頃からダブルズームキットの比率がぐんぐん上がってきました。やはり、コンパクトデジカメから乗り換えられるエントリーユーザーの方にとって「手ブレ補正機能」は必須機能となっている感じはありますね。
実は、この「ダブルズームキット」という設定を初めて世に出したのも、「EOS Kiss」シリーズが最初なんです。初代の「EOS Kiss」の次モデルとなる「New EOS Kiss」のときに初めて登場しましたので、すでに10数年の歴史があるのですが、その当時の販売比率は2割程度でした。その頃に比べると、今や「ダブルズームキット」は押しも押されもせぬ主力商品になったという感じですね。
もう1つ付け加えさせていただくと、キットになっている望遠ズームレンズ自体も、さまざまな開発努力を重ねまして、以前と比べると夢のような小型・軽量化と高性能を実現している製品なのです。最高望遠で250mmまでズームできますが、35mm判換算ではおよそ400mm相当の焦点距離になりますから、お子さんの運動会などではかなりの迫力での撮影を味わうことが出来ます。
このほか、オートフォーカス性能などもこのクラスで最高のものを搭載していると思いますし、こうしたさまざまな点が、初めてデジタル一眼レフを使う方にとって、使いやすいポイントとして評価されていると思います。
-- 製品を開発するうえでご苦労された点などはありますか?
やはり「EOS Kiss」というシリーズは常に「業界標準機」を目指していますし、「快速、快適、高画質」というEOSシリーズの思想のいずれも手を抜けないという気持ちを持っています。ただ、与えられた目標コストやボディサイズの制約などもあるので、開発側は、その中でどれだけのことができるかということに、毎日頭を悩ませています。そういう意味で、ベストセラーモデルであるからこそのプレッシャーはあるかもしれませんね。社内外で「売れて当たり前」というような風潮もある中で、発売するときは、私たちも、今回もナンバーワンが取れるかどうか毎回ヒヤヒヤします。
また、「国民的カメラ」だからこそ、変えてはいけない部分もあると思います。たとえば、ファインダーやペンタプリズムといった一眼レフとしての重要な部分はそう簡単になくしたりできません。はたして本当に液晶モニターだけで運動会の写真をきちんと撮れるのか? そういったことを1つ1つ検証しながらでないと進めない部分はあります。ただ、そういう基本的な部分をしっかりやるということこそが「EOS Kiss」シリーズが多く皆様のご支持をいただいている所以だとも思っています。

-- 最後に、「EOS Kiss X3」を支持していただいたユーザーの皆さんにひと言メッセージをお願いします。まずは「EOS Kiss X3」を選んでいただいてありがとうございます。カメラを購入される方は、カメラそのものが欲しくて買うのではなく、カメラを買うことで得られる何かのために買うのだと思います。「EOS Kiss」の場合、これを買うことで、簡単に言えば、自分のお子さんの写真がよりキレイに残せる。今まで撮れなかったような写真までが撮れる、というその価値があるから購入いただけていると思っています。そうしたお客様の思いを忠実に押さえた製品作りをしていくことで、より多くのご支持が得られると確信していますし、商品設計の側もそれを忘れてはいけないと思います。
なお、2月26日からは、Kissシリーズの最新モデル「EOS Kiss X4」も発売になります。X4は、1800万画素のCMOSセンサーを搭載するなど、X3の基本性能をさらにアップさせ、使いやすさもこれまで以上に向上させたカメラになっていますので、こちらもぜひお手にとっていただければと思っています。



デジイチは、空気感、躍動感、まるでそこにあった時間までも切り取ることが出来るものだと思っています。これが醍醐味ではないでしょうか。買って大正解です。しかもこの値段なので文句の付けようがありません。... 続きを読む




正直、デジタル一眼レフを買おうなんて、一昨日までまったく考えていませんでした。結局決め手は、応答性(連射性と追従性)でした。携帯カメラでの撮影でレスポンスが悪くイライラした事ありませんか?これに尽きます。... 続きを読む




コストパフォーマンスは絶大だと思います。8万そこらでこの機能は安すぎる!!このカメラを使いこなせてから中級・上級機に移行したらいいと感じるくらい出来がいいと思います。... 続きを読む




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CANON | EOS Kiss X3 ダブルズームキット(デジタル一眼レフカメラ) | 6047ポイント |

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SONY | サイバーショット DSC-WX1 | 5350ポイント |
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CANON | IXY DIGITAL 510 IS | 4624ポイント |
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リコー | CX2 | 4521ポイント |
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CANON | EOS Kiss X3 ダブルズームキット | 6047ポイント |
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パナソニック | LUMIX DMC-GF1C パンケーキレンズキット | 5570ポイント |
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ペンタックス | PENTAX K-7 ボディ | 5253ポイント |
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ビクター | Everio GZ-HM400 | 4990ポイント |
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SONY | HDR-CX520V | 4754ポイント |
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SONY | HDR-CX500V | 3972ポイント |
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ニコン | AF-S DX NIKKOR 35mm F1.8G | 4123ポイント |
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CANON | EF100mm F2.8L マクロ IS USM | 3930ポイント |
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パナソニック | LUMIX G 20mm/F1.7 ASPH. H-H020 | 3871ポイント |
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SONY | VCL-HGE07A | 1522ポイント |
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SONY | VCL-HGA07 | 912ポイント |
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CANON | スピードライト 270EX | 3337ポイント |
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SONY | HVL-F20AM | 1991ポイント |
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ニッシンジャパン | Di866プロ ニコン用 | 1747ポイント |
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SLIK | プロ 200 DX III | 2455ポイント |
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SLIK | ミニII | 2425ポイント |
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SLIK | カーボン 723 FA | 2120ポイント |
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東洋リビング | ED-120CDB | 2659ポイント |
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東洋リビング | ED-165CDB | 1056ポイント |
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東洋リビング | ED-140CDB | 598ポイント |
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トランセンド | PF810 TS2GPF810K | 2900ポイント |
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SONY | DPF-X1000 | 2063ポイント |
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トランセンド | PF810 TS2GPF810B | 2039ポイント |
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三菱化学メディア | Verbatim SDHC16GRVB (16GB) | 3591ポイント |
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SANDISK | SDSDX3-016G-J31A (16GB) | 3478ポイント |
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SANDISK | SDSDX3-008G-J31A (8GB) | 3195ポイント |


ユーザーによるレビュー、クチコミ掲示板のレポート内容などを基に総合的に算出しました。
※なお、レビュー・クチコミ数が一定数に満たない製品に関しては選考対象外としています。(対象外となる人数は各部門によって異なります。一定数を満たした製品が1つしかない場合は金賞のみの選出となります。また一定数を満たす製品が1製品もない部門に関しては部門全体が対象外となります)
・部門賞(金賞、銀賞、銅賞)・・・各部門の上位3位を選出します。(1位:金賞、2位:銀賞、3位:銅賞)
・各カテゴリ内で最も評価ポイントの高い製品をプロダクト大賞とします。