団体信用生命保険をわかりやすく解説。保険の種類や審査基準は?

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2021年3月25日

基礎知識

団体信用生命保険をわかりやすく解説。保険の種類や審査基準は?

住宅ローンを借りる場合、団体生命保険(団信)へ加入するのが一般的です。住宅ローンの利用を検討しているなら、団体生命保険の種類や審査基準、団体生命保険を提供している各社の特約などを把握しておきましょう。

団体信用生命保険(団信)とは?

万が一のときに住宅ローンが完済される生命保険

団体信用生命保険とは、住宅ローンの契約者が死亡または高度障害状態になり、ローンの支払いが難しい状況に陥った際に、保険会社から金融機関に残りのローンの返済が行われる生命保険です。「団信」と略されることもあります。

住宅ローンは長期にわたって返済するものです。返済期間中に契約者の身にトラブルが起きる可能性もあるでしょう。そのため、住宅ローンを契約する際は万が一に備えて「団体信用生命保険」に加入するのが一般的です。

団体信用生命保険

高度障害状態の基準

住宅金融支援機構の団体信用生命保険では、高度障害状態を以下の8つの状態と規定しています。

  • 両眼の視力を全く永久に失ったもの
  • 言語またはそしゃくの機能を全く永久に失ったもの(注1)
  • 中枢神経系または精神に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの(注2)
  • 胸腹部臓器に著しい傷害を残し、終身常に介護を要するもの(注2)
  • 両上肢とも、手関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
  • 両下肢とも、足関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
  • 1上肢を手関節以上で失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
  • 1上肢の用を全く永久に失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったもの
  • (注1) 「そしゃくの機能を全く永久に失ったもの」とは、流動食以外のものは摂取できない状態で、その回復の見込みのない場合をいいます。
  • (注2) 「常に介護を要するもの」とは、食物の摂取、排便・排尿・その後始末、及び衣服着脱・起居・歩行・入浴のいずれもが自分ではできず、常に他人の介護を要する状態をいいます。

これらのように、通常生活を送ることが困難な重い障害を「高度障害状態」としています。

ただし、団体信用生命保険における高度障害状態の基準は、金融機関が独自に決めたものであるため、労災や障害年金の基準とは異なります。障害等級の認定があっても高度障害状態と認められるとは限りません。

また、団体信用生命保険を提供している金融機関によって高度障害状態の基準が異なる場合もあります。契約前に金融機関の規定を確認しておきましょう。

三大疾病保障特約とは?

通常の団体信用生命保険では、死亡または高度障害状態を保障対象としています。それ以外の病気やケガによる保障を受けるためには、特約を付けなければなりません。日本人の死因において上位を占める「がん・心疾患・脳血管疾患」の三大疾病であっても、特約の加入が必要です。

一般的に、団体信用生命保険では「三大疾病保障特約」を用意しています。これに加入していると、万が一三大疾病のいずれかに罹患した場合に、残りの住宅ローンが保険会社から金融機関によって支払われます。

三大疾病保障特約はソニー銀行・みずほ銀行・りそな銀行などさまざまな金融機関で取り扱われており、2023年9月時点でソニー銀行は金利に0.2%の上乗せ、りそな銀行は0.25%上乗せで加入が可能です。

団体信用生命保険は必ず加入が必要なのか

団体信用保険は、加入必須な金融機関もありますが、最近では「フラット35」などで任意加入になっている金融機関もあります。

団体信用生命保険に何らかの理由があって加入したくない人は、フラット35に加入できる金融機関に住宅ローンを申し込むなど、別の選択肢もあることを覚えておきましょう。しかし、団体信用生命保険に加入していなければローン返済中に万が一契約者が亡くなった場合、住宅ローンの残債を遺族が返済し続けなければならない点には注意が必要です。

団体信用生命保険の加入条件

いざという時のために加入しておきたい団体信用生命保険ですが、加入するには条件があります。申し込む前に加入条件を確認しておきましょう。

新規借り入れや借り換えの契約時に限る

団体信用生命保険への加入は、新規で住宅ローンを契約する場合または借り換えのタイミングに限られます。そのため、住宅ローンを組んだ後に「やっぱり加入したい」と申し込むことはできません。また、団体信用生命保険の加入後は基本的に内容の変更や追加、解約も不可となります。

長期間の借り入れとなる住宅ローンですから、保障内容や加入する金融機関の選定など、先を見据えて慎重に検討することが重要です。

年齢制限がある

団体信用生命保険は加入できる年齢が決まっています。対象となる年齢は各金融機関によって異なりますが、例えば「加入時満65歳未満、完済時満85歳未満」のような年齢制限が設けられています。

一般・ワイド団信のプランと保障特約プランでは対象年齢が異なる場合もあるので、事前に確認しておきましょう。

健康状態に関する条件を満たす必要がある

団体信用生命保険も通常の生命保険のように、健康状態に関する所定の条件を満たさないと加入できません。加入には審査があり、持病や既往歴など健康状態を告知する必要があります。審査について詳しくは次で解説します。

団体信用生命保険の審査はきびしい?

団体信用生命保険に加入するには、審査に通過しなくてはなりません。
ここからは、審査方法や審査に使う告知書の内容について解説します。また、審査に落ちたときはどうすれば良いのかも、併せて確認していきましょう。

健康状態を告知して審査が行われる

団体信用生命保険の審査時には通常の保険と同様に、過去3年程度の病歴・治療歴に関しての告知義務が課されます。仮に病気の発見が5年前であったとしても、3年前以降にも治療していたのであれば、告知しなければいけません。

同じ病気であっても処方の仕方によって審査結果が異なる場合があります。病名とともに治療歴(通院歴・手術歴・入院歴)、処方薬に関しても正確に告知しましょう。

告知書の内容は?

告知書の内容は金融機関によって詳細が異なります。また、回答についても記入式の告知書もあれば選択式の告知書もあります。

基本的には病名と治療歴、処方薬などについて聞かれます。特約であれば、さらに細かい項目についても聞かれますので、告知書を記入する際には「お薬手帳」などを手元に置いておくと良いでしょう。

病歴に関する記憶が曖昧である場合などをはじめ、回答する上でわからない点があれば、まず審査を行う金融機関に確認しましょう。

持病があっても申し込める保険がある

以前は、持病や疾病がある人が団体信用生命保険に加入するのは難しいことが多かったですが、現在は持病や疾病があっても団体信用生命保険を利用できる金融機関が増えています。

ただし、通常の団体信用生命保険とは仕組みが少し異なるので注意しましょう。この団体信用生命保険は「ワイド団信」と呼ばれています。ワイド団信は、健康上の理由などで一般の団体信用生命保険には加入できない人に向けた、審査基準が緩めの団体信用生命保険のことです。

ワイド団信は通常の団体信用生命保険のように無料ではなく、一般的に0.2〜0.3%ほど金利が上乗せになります。それ以外については、一般の団体信用生命保険と同じです。死亡や高度障害状態、そのほかに付けた特約により、もしものときのローンの返済を保険金でまかなえるようになります。

ただし、ワイド団信の審査が緩いとはいっても必ず加入できるわけではありません。病気の種類や症状などによっては審査に落ちる可能性もあります。審査基準も保険を提供している金融機関によって異なります。
審査に落ちる不安がある方は、ワイド団信がある金融機関を選び、審査基準についても把握しておくと良いでしょう。

告知義務違反をするとどうなる?

団体信用生命保険では加入の際に告知は義務として課されています。仮に告知すべき病気やケガに関する内容を告知せず、あとになってそれが発覚した場合、どのように扱われるのでしょうか。

最悪の場合、保険契約が解除されます。契約者に支払い能力がなくなっても保険金がおりないため、住宅ローンはそのまま残ります。

そうならないために、告知については事実を隠さず、また書き漏らしがないよう正確に記入しましょう。

もしも審査に落ちたときは?

団体信用生命保険の審査に落ちて加入できなかった場合、マイホームを諦めるべきなのでしょうか。

実は、団体信用生命保険の審査に落ちた場合でも、住宅ローンを利用する方法はあります。具体的には、先ほど紹介した「ワイド団信」や、団体信用生命保険に加入義務のない「フラット35」などの住宅ローンに申し込むという方法です。

ほかにも連帯保証人を立てることや、配偶者名義で申し込むなどの方法があります。

加入できない人はフラット35を

フラット35は、団体信用生命保険への加入義務がない住宅ローンです。

住宅金融支援機構と民間金融機関が提携している住宅ローンであり、最長50年で、全期間にわたって固定金利で支払うことになります。審査は物件重視なので、勤続年数が短くても審査に受かる可能性があるなど、被保険者に対する条件が比較的緩めです。

ただし、保障されるのが購入価格の9割までであり、自己資金率によって金利が変わります。また、全期間金利が固定されるため、最終的な金利が変動金利のローンと比べて高くなる可能性もあります。フラット35への加入は慎重に検討しましょう。

団体信用生命保険加入時に注意したいこと

団体信用生命保険加入時にはどんなことに注意すべきでしょうか。上限や免責事項、加入する特約に迷った場合の対処法について確認していきましょう。

上限や免責事項を確認しよう

団体信用生命保険には、掛けられる保障の上限が設けられている場合があります。例えば、みずほ銀行では保障限度額が最大3億円です。(2023年9月現在)
団体信用生命保険を提供している金融機関によって限度額は異なるので、確認しておきましょう。

団体信用生命保険があるからといって、限度額以上の高額な金額のローンを組んでしまうと、万が一の際には自身か遺族に借金が残ってしまいます。また、免責事項についても確認しておきましょう。一般的には被保険者が自殺した場合や、反社会的行動によって被ったケガや障害、告知内容に虚偽が認められた場合などは、保険金がおりることはありません。

細部については金融機関によって詳細が異なります。いざ必要なときに保険金がおりなかったという事態に陥らないように、免責事項についても把握しておきましょう。

特約で迷ったらプロに相談しよう

団体信用生命保険の特約は、一般的に後から付けることができません。加入した後に「あの特約を付けておけばよかった」と後悔しても遅いのです。

反対に、いったん特約を付けると後から解除できない団体信用生命保険もあります。特約については契約前にしっかりと検討しなければなりません。

自分たちだけでは判断ができない場合、専門家や金融機関、保険会社に相談しましょう。

団体信用生命保険と生命保険との違い

ここまで団体信用生命保険について解説してきましたが、一般的な生命保険とは何が違うのでしょうか。
受取人の違いや、すでに生命保険に加入していた場合に、新しく団体信用生命保険に申し込む際はどのような点を見直せば良いのかを解説します。

団体信用生命保険における保険金の受取人は金融機関

一般の生命保険における保険金の受取人は、被保険者もしくは被保険者の家族ですが、団体信用生命保険においては契約した金融機関が受取人となります。

そのため、被保険者の家族が保険金を受け取ってローンを支払うのではなく、保険金を受け取った金融機関が残っている住宅ローンの返済に直接充当します。

通常、お金を他者から受け取る場合は、所得税や贈与税、相続税といった税金がかかります。しかし、団体信用生命保険の場合は受取人が金融機関であるため、これらの税金は発生しません。

生命保険に加入している場合は見直しを

団体信用生命保険に加入するとき、別の生命保険に加入している場合は、それぞれの保険内容を照らし合わせて重複している項目がないか見直しましょう。

生命保険の受取額は大きければよいというものではありません。受取額が大きければ、その分だけ掛け金も必要になり、生活資金が圧迫される可能性もあります。一般的な生命保険の内容は、受取後の本人や遺族の生活を保障するものですが、その中には住居費も含まれています。

団体信用生命保険では、ローン返済中にもしものことがあっても保険金により住宅ローンが支払われるため、その後の住居費はかなり少なくなります。つまり、生命保険で加入していた住居費の保障額は無駄な支出になるということです。もし、生命保険に入っている場合は住居費分の保障を外しましょう。

団体信用生命保険の保険料はいくらかかる?

団体信用生命保険の保険料は、一般の生命保険の保険料とは仕組みが異なります。保険に加入する前にしっかりと把握しておきましょう。

通常の保障内容は無料のケースが多い

団体信用生命保険に加入するとなると、月々の保険料がいくらかかるのか気になるかと思います。通常の団体生命保険である死亡・高度障害状態にかかる保険料は、通常の金融機関の団体信用生命保険なら無料のケースが多いです。

ただし、特約を付ける場合には、その分の保険料がかかります。

特約の保険料は、住宅ローンの金利に上乗せして支払うのが一般的であり、金利は年0.1%〜0.3%程度上乗せとなる場合が多いです。月々の保険料は借り入れ額・返済期間・借り入れ時の適用金利などの条件によって決まります。
また、住宅ローンの返済とは区別して保険料を支払う場合もあり、申込先の金融機関や特約によって異なります。

年末調整の生命保険料控除は対象になる?

年末調整における生命保険料控除とは「保険金受取人を自己または配偶者そのほかの親族とする、生命保険契約等」が対象となっています。

先述したとおり、団体信用生命保険は金融機関等が保険料の受取人となるため、年末調整の生命保険料控除対象には当たりません。

通常の団体信用生命保険では不十分なケースもある

団体信用生命保険の加入者が家庭の主な収入源である場合、通常の団体信用生命保険では保障が不十分であることも考えられます。詳しく見ていきましょう。

がんなどの病気になった場合

団体信用生命保険が保障しているのは、先述したように「加入者の死亡もしくは高度障害状態」に対してです。がんをはじめとした重い病気については、保険金がおりません。

特定の病気が心配なら、その病気に対応した特約に加入しておきましょう。がんであれば、「三大疾病特約」や「がん保障特約付き団信」などに申し込むという手があります。ただし、対象となる病気の範囲や期間については細かく確認しておきましょう。例えばひと口にがんといっても、「皮膚がん」「上皮内がん」だと保険金がおりない場合もあります。

治療期間や状態によって保障範囲は異なるので、どのようなケースであれば保険金がおりるのかをしっかりと把握し、必要なら生命保険などとの併用も検討することが重要です。

長期間働けなくなった場合

一般的な団体信用生命保険では、長期間休職する場合や、失業によって保険金がおりることはありません。その間も毎月の住宅ローンや生活費は支払い続ける必要があります。

仮に特約を付けて対応するとしても、保険金がおりるためのハードルの高さが現実的かどうかも検証の余地があります。例えば「就業不能保証付き」の団信を提供している金融機関もありますが、「就業不能状態」の定義はさまざまです。保険金がおりる条件が適切かどうかしっかりと確認しなければなりません。

こうしたリスクに備えるため、一般的な生命保険や就業不能保険など、団体信用生命保険だけでは補えない保障をしてくれる保険への加入も検討しましょう。

まとめ

住宅ローンを組む場合、ほとんどの金融機関において団体信用生命保険への加入が求められます。通常の団体信用生命保険の保障対象は、死亡もしくは高度障害状態のみなので、それ以外の疾病については特約で対応するのが一般的です。

団体信用生命保険には審査があり、現在の健康状態や病歴によっては審査に落ちてしまうことも考えられます。そうした場合は、ワイド団信やフラット35への加入についても検討しましょう。

団体信用生命保険は住宅ローンの保障を対象としているため、万が一働けなくなった場合、治療費や家族の生活費は別に用意する必要があります。生命保険やそのほかの保険との併用も考えましょう。

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