購入か賃貸か。比較は費用だけでは決められない

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2015年6月17日掲載

基礎知識

購入か賃貸か。比較は費用だけでは決められない

マイホームをいずれは購入するつもり、購入を決めている人もいれば、一生賃貸がよいという賃貸派の人もいます。購入と賃貸、どちらが良いか迷っている人の判断基準は人それぞれです。購入と賃貸の特徴やメリット・デメリットなど、判断基準になるものをとりあげてみます。

総費用で比較してみる

まずに金銭的にはどちらがお得なのか、を知りたいという人が多いようです。そこで、すぐに購入する場合と、ずっと賃貸に住む場合で、今後50年間で総額がいくらくらいになるのか試算してみましょう。

次のような前提条件で試算してみると、購入した場合は約7,200万円、賃貸した場合は約7,700万円となりました。50年後には購入した方が500万円少なくてすむものの、46年間は賃貸の方が少ない、という結果になりました。今後の居住期間が短いのなら賃貸の方がお得、長いのなら購入の方がお得、という一つの目安にはなりそうです。

<購入、賃貸 総費用比較の前提条件>
購入 賃貸

価額:3,500万円
購入時諸費用:150万円
自己資金:650万円
借入れ:3,000万円 金利2.0% 30年返済
固定資産税等 15万円/年
管理費・修繕積立金 2.2万円/月
修繕費:10年に1回、100万円

賃料:毎月12万円
更新料:2年に1回、更新料1ヶ月分
引っ越し費用:10年に1度引っ越し
引越し時:礼金1ヶ月分、仲介手数料1ヶ月分、引っ越し費用20万円
※敷金は戻ってきた分を支払うとする

<購入と賃貸、50年間の総額は?>

購入と賃貸、50年間の総額のグラフ

住居費の変動要素はたくさんある

上記シミュレーションからは、「まだ20代・30代だから購入した方が良さそうだな」「もう40代・50代だから賃貸のままの方が出費は少なくてすみそうだな」と考えると思います。しかし、上記の数字はあくまでも一例にすぎません。

例えば、賃貸の賃料はずっと同額で計算していますが、インフレになって賃料相場が大きく上がってしまったら、もっと早い時点で賃貸の方が不利になるでしょう。ちょっとでも前提が変わってしまえば、総額に大きく影響します。総額で比較するのであれば、次のような変動要素があることも念頭に入れておきましょう。

購入の場合

修繕費

マイホームの場合には、キッチン、トイレ、お風呂、給湯器、エアコンなどの設備は全部自分のもの。故障した場合の修理費、古くなって交換した場合の代金などの合計額は、相当高額になります。一戸建てであれば、外壁の塗替えなども建物を維持するためには必要になります。

リフォーム

家族構成が変わって間取りを変更する、壁紙やフローリングの張替えをする、バリアフリーにするなど、人生の節々でその時の暮らし方に合わせたリフォームが必要になります。

<主な住宅のリフォーム等にかかる平均費用>
屋根・外壁等の塗り替え工事 216.3 万円
内装の模様替え工事 168.4万円
浴室の設備改善工事 177.4万円
便所の設備改善工事 99.3万円
台所等給排水設備の改善工事 205.9万円
屋根のふき替え工事 146.6万円
建て替え、住み替え

一戸建てで、将来建て替えが必要になればプラス数千万円となり、この前提とは結果が大きく異なります。また、住み替えすることになった場合には、それまでに住んでいた住宅がいくらで売却できるかも大きく影響してきます。

固定資産税

不動産の評価額によって金額が変わります。建物の評価額は次第に下がっていくものですが、土地の評価額は、その時々の相場と同様に変動します。

管理費・修繕積立金

インフレ等で金額の見直しになれば、予定以上の出費になることもあります。

住宅ローン返済額

全期間固定金利型を使えば、完済までの総返済額は固定されます。変動金利型など、途中で金利が変わるものについては、金利が上がり、予定以上の返済額になる可能性もあります。一方、繰上げ返済や借り換えを行うことで、当初予定していた総返済額よりも少なくなることもあります。

賃貸の場合

住み替え

子どもが増えた、通勤・通学のためにエリアを変えたいなど、賃貸は対応しやすい一方、住み替えの度に、引越代がかかるため、住み替えが多いほど出費も増えます。

家賃

家賃はエリアや広さ、築年数によっても違ってきますので、賃料が高いところに転居すれば出費は大きくなります。

住居費の変動要素のイメージ

購入と賃貸、総費用でどちらが得かを現時点で試算してみても、変動要素が多すぎるため、確実な答えを導き出すことはできません。どちらを選択しても、得をする可能性、損をする可能性があります。前述の例の通りにいった場合でも、さほど大きな違いにはならないので、総費用で考えるのなら「ほぼ同じ」と考えましょう。

その上で、総費用以外の部分の考え方や価値観で決めていくと良いと思います。

お金がかかる時期の違い

賃貸で住み続けるか、マイホームを購入するかの「お金」の面で、大きな違いがひとつあります。それは、いつお金がかかるのかという時期の違いです。

下のグラフは前述のケースで、年間の住まいにかかる金額の推移を表したものです。購入の場合、修繕をする年は支出が増えます。賃貸の場合は、2年ごとに更新料の支払い、引っ越しのときにまとまった支出があります。若干ですが、賃貸の方が毎年少なくなっています。

<年間費用の比較>

年間費用の比較のグラフ

特徴的なのは、購入の場合、住宅ローンの返済が終わると年間費用が大きく減ることです。住宅ローン完済までの30年間と、その後の20年間に支払う金額をまとめると次のようになります。

<お金がかかる時期の違い>
購入 賃貸
当初30年間の合計額
約6,200万円(頭金を含む)

31〜50年目の合計額
約900万円
当初30年間の合計額
約4,600万円
+
31〜50年目の合計額
約2,000万円
合計 約7,100万円 合計 約7,600万円

購入の場合は、50年間のうち、当初35年間で総額の9割を支出するという試算になりました。一方、賃貸はずっと同じペースでの支出になりますので、36年目以降の15年間の支出が購入よりも多くなります。このように、いつお金がかかるのかということが、購入と賃貸では大きく異なります。

ずっと賃貸派なら計画的な貯蓄が必要

購入と賃貸で、お金がかかる時期の違いを見てみましたが、ここに年齢をあてはめてみましょう。例えば30歳の会社員の人が購入した場合、60歳の定年退職時に住宅ローンの返済は完了、以降は管理費や固定資産税、修理費などの維持費のみ必要になります。

一方、賃貸の場合には、公的年金が主な収入となる定年退職後も現役時代と同等の住宅費がかかるため、現役時代に不足分を準備しておくことが必要になるのです。単純に計算すれば、61歳〜80歳までに必要な住宅費は購入した場合よりも賃貸の方が1,100万円多く必要ということ。運用利率を考慮しなければ、現役時代の30年間で年間約36万円ずつの貯蓄が必要です。

つまり、現役時代は賃貸の方が住宅費は少なくて済むものの、その分、貯蓄もしておかなくてはならないということ。計画的な準備が必要なことがわかります。余裕があるとついつい使ってしまうという人は要注意です。

購入と賃貸、それぞれのメリット・デメリットを整理する

住宅を購入した場合と賃貸に住み続ける場合で、かかる金額からの比較をしてみましたが、それ以外の面でもそれぞれにメリット・デメリットがあります。

資産としての住宅

<資産価値としては?>
購入 資産として遺すことができる
賃貸 資産にはならない

購入した場合には自分のものとして残すことができます。毎月支払う住宅ローンの元金部分が自分の資産になっていくということ。子どもに遺すことも可能になります。ただし、資産の「価値」を重視するのであれば、どんな物件であるかがポイントになります。将来的にも値上がりが見込めるのか、売却できるのかなどの目利きも必要です。

ライフプランの変化に対応した住宅

<ライフプランの変化に対応するには>
購入 住み替えは大変
賃貸 比較的気軽に引っ越しができる

転居が必要になるのは、主にライフプランに変化が生じたときです。独身ではなくなった、家族の人数が増えて手狭になった、転勤や子どもの進学先などに応じて住み替えたいという場合には、賃貸であれば気軽に転居できます。購入した場合でも住み替えはできますが、売却したり賃貸したりなど、負担感は大きくなるでしょう。
収入が変わった場合も購入して住宅ローンがあると家計の立て直しは大変ですが、賃貸であれば、家賃が安いところに移るなど比較的早めに行動することができます。

自分の好きな空間や設備にしたい

<空間や設備の自由度は?>
購入 自分が好きなように変更できる
賃貸 比較的気軽に引っ越しができる

購入した住宅なら、自分が好きな内装にしたり、設備をかえたり、ペットを飼ったりなどが自由で、自分の好きな空間を作りやすいと言えます。賃貸の場合には、自分の好みにあった物件があれば良いですが、こだわりがある人ほど見つけ出すのは大変でしょう。ただし、賃貸なら新しい物件に転居することで、設備も内装も新しくなるという考え方もできます。

災害のリスク

<地震や火事など災害のリスクは?>
購入 場合によっては自己負担が大きくなる
賃貸 金銭的な損害は少ない

地震や火事などで建物が損傷した場合には、購入したものであれば、自分で修繕や建て替えが必要です。保険である程度カバーしつつも、自己負担が大きくなるおそれもあります。賃貸の場合には、建物の損傷があれば他に引っ越すなどで対処できるので、金銭的な損害は少ないと考えられます。

このように、購入と賃貸ではそれぞれに特徴があります。価値観も人それぞれですから、自分の場合では何を優先させたいかで考えると良いでしょう。

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