基本的な話に立ち戻りますが、そもそも車検とは、何を目的として定められた制度なのでしょうか。 車検の正式名称は「自動車検査登録制度」。長い名前のため一般的には「車検」と略されていますが、その目的には大きな目的が3つあります。ひとつは検査によって車両の安全性を確認すること、もうひとつは自動車にまつわる環境整備を行うための税金や保険料を回収すること、そして3つ目はそれらの手続きを車検という制度に集約し、ひと目で「合法な車両」であることを分かるようにすることです。毎年支払う自動車税納税証明書がないと車検が取得できないのは、こういった制度の集約によるものなのです。
このように車検は、複合的な要素を併せ持つ制度のため、その意義や項目内容については日頃様々な意見が交わされていますが、少なくとも現状では有効的に活用されていますし、同時に自動車を所有するためには必須の項目であることも事実です。自動車のオーナーにとっては、最低限必要な義務と捉えて間違いはありません。
いっぽうで、車検制度を少々分かりづらい存在にしてしまっているのが、車検と同時に行われる法定24ヶ月定期点検整備です。実はこの点検、これまでは車検と同時に行う必要があったため(24カ月点検が終わっていないと車検が受けられなかった)一緒くたに考えがちなのですが、正確には別物です。さらに現在は、規制緩和により独立した制度となったため、車検を通してから24カ月点検を行うことも可能となりました。とはいえ、法制的に必ず行わなければならない点検であることに変わりありません。また、いまでも車検とセットで提供している業者も多く、自動車のオーナーは基本的に一緒のものと認識している方が無難でしょう。
車検を取得すると、車検証(正式名は自動車検査証)とともに、検査標章(フロントウインドーに貼るステッカー)も交付されます。このため、車検取得の有無は自動車の外側からでもひと目でわかるようになっています。逆に有効期間の過ぎた自動車を公道上で使用しますと、法律で罰せられてしまいます。そうです、車検を取得することは、オーナーにとって義務ではありますが、同時に「自動車を公道で使用する」権利も得られる手段でもあるのです。