基礎知識新NISA(ニーサ)口座を開設する金融機関の選び方
「新NISA口座を開設する金融機関の選び方」のまとめ
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- ポイント5
- ネット証券と店舗型証券の違いは?
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- ポイント6
- 投資効率にかかわってくる取引手数料は要チェック
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- ポイント8
- 金融機関の変更は1年単位で可能
新NISA(ニーサ)口座を開設する金融機関を選ぶ際には、新NISAを利用して、
・取扱商品の種類や数
・取引時の手数料の有無や水準
・提供されるサービス
などを比較検討して選ぶとよいでしょう。金融機関の選び方のポイントを詳しく解説します。
新NISAを利用するには、金融機関の専用口座が必要
新NISAを利用するには、金融機関で新NISA専用の口座を開設する必要があります。開設できる金融機関は、証券会社や銀行、信用金庫、信用組合などさまざまです。なお、2023年までに旧NISA(つみたてNISA、一般NISA)口座を持っていた場合、基本的には同じ金融機関で手続きなしで自動的に2024年1月に新NISA口座が開設されています。
ただし、1月1日以降、一度も新NISA口座で商品の購入をしていない場合は、9月30日までに手続きを完了すれば、年内に別の金融機関に変更することが可能です。
新NISAは、ひとりにつき1口座(1金融機関)のみ
新NISA口座は、同一年においてひとりにつき1口座(1金融機関)の開設しかできません。「つみたて投資枠」と「成長投資枠」は同じ口座で購入・運用することになります。
金融機関の変更は年単位で可能ですが、変更前の保有商品を変更後の金融機関の口座に移管することはできません。そのため、金融機関を何度も変更すると、運用資産の管理が煩雑になるなどの問題が生じる場合があります。
そのため、金融機関の選択は、最初に口座開設を行う段階で、じっくりと検討しましょう。なお口座開設の手続きは多くの金融機関で、インターネットや郵送で完結できます。
証券会社と銀行などの取扱商品の違いを押さえておこう
金融機関による取扱商品の違いをみてみましょう。
新NISA制度には、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」があります。
「つみたて投資枠」で投資できる商品は、長期の積立・分散投資に適するなど、金融庁の基準を満たした投資信託やETF(上場投資信託)<2024年1月30日時点で281本>が対象になります。
金融機関によって取扱商品が異なりますが、下の表のようにネット証券は取扱商品数が多く、店舗型証券や銀行などは少ない傾向があります。
「つみたて投資枠」での取扱商品数(例)
(ネット) |
(店舗型) |
||
---|---|---|---|
投資信託の数 | 211本 | 19本 | 24本 |
「成長投資枠」での取扱商品の種類(例)
主な取扱商品 | (ネット) |
(店舗型) |
|
---|---|---|---|
投資信託 | ○ | ○ | ○ |
日本株式 (現物株式、ETF、REIT等) |
○ | ○ | × |
外国株式 (現物株式、海外ETF等) |
○ | × | × |
「成長投資枠」で投資できる商品には、「つみたて投資枠」のような厳しい制限はありません。広範囲で種類も数も多い投資対象の中から、各金融機関が指定します。
証券会社は株式投資もできるのが、銀行などとの大きな違い
証券会社と銀行などでは、いずれも投資信託の売買はできます。ただ、証券会社は「成長投資枠」を活用して株式投資もできることが銀行などとの大きな違いです。また現物株式だけでなく、ETF(上場投資信託)やREIT(上場不動産投資信託)なども売買することができます。
なお、取扱商品の種類と数は金融機関ごとに異なるため、個別に確認する必要があります。
投資したい商品があらかじめ決まっている場合は、その商品を取り扱っている金融機関に新NISA口座を開設すればよいでしょう。株式投資をしたい方は、証券会社に新NISA口座を開設する必要があります。
口座開設時に投資したい商品が決まっていても、将来別の商品に投資したくなるかもしれないと思う方は、取扱商品の種類や数が多い金融機関に口座を開設するのがよいでしょう。ただしその場合、「選択肢が多過ぎて選べない」という状態にならないよう、自分に合った商品を選ぶ力を身に付ける必要があります。
ネット証券と店舗型証券の違いは?
証券会社は大きく分けて、ネット証券と店舗型証券があります。ネット証券は、インターネット上の操作で入出金や取り引きを完結している証券会社で、営業もインターネットを中心に行っている点が大きな特徴です。また、取扱商品数の多さや低い手数料を訴求しています。
店舗型証券は、店舗を構え窓口を設置して対面での丁寧な顧客対応を営業の中心にしています。しかし近年はデジタル化の進展とともに、対面と併行してネットにも対応しているところが増えてきています。店舗型証券は、営業のやり方や顧客対応に関しては、銀行などと似ていると言えるでしょう。
ネット証券は、投資商品の選択や見直し・変更を自分で考えて判断したい方に適しており、店舗型証券や銀行などは、対面で相談したりアドバイスを受けたりしたい方に適しているともいえるかもしれません。
投資効率にかかわってくる取引手数料は要チェック
どの金融機関で新NISA口座を開設しても、口座管理手数料はかかりません。しかし、商品の購入時や売却時に取引手数料がかかります。取引手数料がかかるということは、購入時に支払った金額から手数料分だけ差し引かれた金額が投資に振り向けられ、売却時には受け取る金額が手数料分だけ少なくなるため、投資効率が低くなります。
投資信託については、一般的に購入時手数料がかかります。しかし、新NISAの「つみたて投資枠」で投資できる投資信託は購入時手数料無料(ノーロード)のものに限定されているため、どの金融機関で購入してもかかりません。
「成長投資枠」で投資できる投資信託は、各金融機関が商品ごとに購入時手数料を決めるため、確認が必要です。なお、ネット証券などの中には、取り扱うすべての投資信託について購入時手数料無料(ノーロード)としているところもあります。
現物株式やETF、REITなどは、一般的に購入時と売却時に取引手数料がかかります。ただ最近では、購入時も売却時も取引手数料を無料とするネット証券が出てきています。また、そのほかの証券会社の中にも新NISA口座での売買に限って無料とするところがあります。
投資信託 | 購入時手数料 | かからない | 金融機関によって異なる |
---|---|---|---|
日本株式 (現物株式、ETF、REIT等) |
取引手数料 | - | 金融機関によって異なる |
外国株式 (現物株式、海外ETF等) |
取引手数料 | - | 金融機関によって異なる |
投資効率を左右するだけに、自分が投資をしたい商品について、取引手数料の有無や水準をあらかじめチェックし、金融機関を選ぶ際の検討材料にしましょう。
なお、投資信託を活用する場合、保有している間は商品ごとに信託報酬(運用管理手数料)が差し引かれます。また商品によっては主に売却時に信託財産留保額が差し引かれるものがあります。これらは金融機関による差はありません。
投資信託が同じものなら、信託報酬や信託財産留保額も同じです。特に信託報酬は、保有期間中ずっと差し引かれるコストであるだけに、投資効率に大きな影響を及ぼします。商品選択をする際には、配慮するようにしましょう。
資金の引き落とし銀行口座の確認や、クレジットカード活用可否の確認も
定期的に積み立てをしながら商品を購入する際、投資資金の引き落とし口座は、給与振り込み口座などの日頃から活用している銀行口座を指定すると、資金を移動する手間が省けます。そんな場合は、給与振り込み銀行などに新NISA口座を開設する方法もあります。
一般に銀行などは、投資資金の引き落とし口座を自行の口座のみに限定している傾向があります。証券会社は様々な銀行などと提携しており、顧客が自由に引き落とし銀行口座を指定できる傾向があるため、給与振り込み口座を指定できる場合も多いでしょう。
また、指定されたクレジットカードを使って、積立投資を行える金融機関もあり、決済額に応じてクレジットカードのポイントを獲得することができます。さらに、投資信託の保有残高に応じてポイントを取得できる金融機関もあります。取得したポイントは、投資資金への充当や買い物などに使うことができます。
金融機関の変更は1年単位で可能
新NISA口座は、同一年においてひとりにつき1口座(1金融機関)の開設しかできません。ただし、金融機関の変更は1年単位で可能です。
手続きは、変更を希望する前年の10月1日から、変更を希望する年の9月30日までに完了する必要があります。ただし、変更を希望する年に一度でも新NISA口座で商品を購入していた場合、その年は変更ができなくなります。
たとえば、2024年に新NISA口座で商品を購入した場合、2024年中は金融機関の変更はできず、2024年10月1日以降に手続きをすることで、2025年から変更することが可能になります。
金融機関を変更すると、変更前の金融機関で商品を購入することはできなくなります。つまり、常に、商品の購入ができる新NISA口座は、ひとりにつき1口座(1金融機関)だけです。
なお、変更前の金融機関で購入した商品を、変更後の金融機関の新NISA口座に移管することはできません。ただし、変更前の金融機関の口座で引き続き非課税で商品を保有し続けることはできます。そのため、金融機関を何度も変更すると、複数の金融機関に分散して商品を保有することなり、資産管理が煩雑になる場合があります。
金融機関を変更する手続きの手順は以下のとおりです。
ステップ1変更前の金融機関で変更手続き
現在口座を開設している変更前の金融機関に対して、金融機関変更の手続きを行い、「勘定廃止通知書」(引き続き同じ口座で商品を非課税で保有し続ける場合)または「非課税口座廃止通知書」(新NISA口座を閉鎖して保有商品を課税口座に移管する場合)を受け取ります。
ステップ2変更したい金融機関に新NISA口座開設申込書類を請求
変更したい金融機関に申込書類を請求すると、新NISA口座開設申込書類が届きます。これらに必要事項を記入します。
ステップ3変更したい金融機関に申込など必要書類を提出
口座開設申込書類や本人確認書類等と、変更前の金融機関から届いた「勘定廃止通知書」または「非課税口座廃止通知書」を、変更したい金融機関に送付します。
ステップ4金融機関変更の完了
変更したい金融機関が書類を受け付けて確認した後、税務署に新NISA口座開設の申請が行われ、税務署での審査が完了した後に、新NISA口座が開設されます。金融機関の変更手続きは、完了するまでに3〜4週間程度かかるため、余裕を持って手続きをするようにしましょう。
以上、新NISA口座を開設する金融機関選びのポイントを説明しましたが、新NISAを利用する最大の目的は資産形成です。効率的に資産形成をするためにはどの金融機関を選ぶべきか、しっかりと吟味・検討しましょう。
- 執筆・監修 中村宏(なかむら ひろし)
- オフィス ワーク・ワークス代表。ファイナンシャル・プランナー(CFP®)日本FP協会認定。一級ファイナンシャル・プランニング技能士。2003年より独立系として活動。金融商品の取り扱いは一切行っておらず、個人相談・メディアへのコラムなどの執筆・セミナー講師などの業務により、ライフプランに基づいた家計管理や資産形成の推進・定着に取り組んでいます。
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