基礎知識新NISA(ニーサ)で利用できる金融商品
「新NISAで利用できる金融商品」のまとめ
-
- ポイント3
- 「成長投資枠」では、個別株にも投資可能
-
- ポイント4
- 「つみたて投資枠」と「成長投資枠」は併用可能
新NISAは2024年から制度が恒久化し、非課税保有期間が無期限になりました。「つみたて投資枠」と「成長投資枠」が併用できるようになり、生涯投資枠は投資元金で累計1,800万円まで(うち「成長投資枠」は1,200万円まで)と大きく拡大しました。新NISAを十分に活用するために、新NISAで投資できる金融商品について整理してみましょう。
「つみたて投資枠」と「成長投資枠」で異なる商品ラインアップ
新NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」があり、以下のような違いがあります。
つみたて投資枠
その名のとおり積立投資を行う枠で、年120万円まで投資できます。月10万円ずつ12か月間積立投資を行えば、枠を使い切ることができます。対象となる商品は2023年までのつみたてNISAと同じで、長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託とETF(上場投資信託)で、投資信託は金融庁の基準を満たした商品に限定されています。
投資信託とは、不特定多数の投資家から資金を集め、その資金を運用の専門家が株や債券、不動産などで運用する仕組みです。ETFは株式市場で売買できる上場投資信託で、特定の指数に連動します。連動する指数はさまざまなものがありますが、「つみたて投資枠」で買えるのは株式の指数に連動するETFのみです。
成長投資枠
「成長投資枠」は、2023年までの一般NISAを引き継いだもので、上場株式や投資信託、ETT、REIT(不動産投資信託)に投資できます。年240万円まで投資ができ、買い方としてはスポット投資(好きなタイミングで一括購入する方法)も積立投資(指定した日に定期的に購入する方法)も可能です。
ただし、
(1)整理・監理銘柄(上場廃止基準に該当する恐れがある、もしくは上場廃止が決定された場合に指定される銘柄)
(2)信託期間20年未満、毎月分配型の投資信託およびデリバティブ取引を用いた一定の投資信託
などが除外され、一般NISAよりも対象商品は制限されています。
「つみたて投資枠」と「成長投資枠」
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
---|---|---|
買い方 | 積立投資のみ | スポット投資または積立投資 |
年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
対象商品 | 長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託とETF(投資信託は金融庁の基準を満たした商品に限定) | 上場株式、投資信託、ETF、REIT(1.整理・監理銘柄、2.信託期間20年未満、毎月分配型の投資信託およびデリバティブ取引を用いた一定の投資信託などを除外) |
「つみたて投資枠」で利用できるのは、長期投資に適した投資信託

もう少し詳しく、「つみたて投資枠」で利用できる商品について見ていきましょう。
前述のとおり、「つみたて投資枠」の対象商品は、「長期の積立・分散投資に適しているとして金融庁が定める要件を満たす投資信託とETF」に限定されています。主な選定基準は以下のとおりです。これを見ると、「つみたて投資枠」で買える商品は、購入時手数料がなく、信託報酬も抑えられ、運用期間も20年以上の長期投資に向く株式投資信託か株式を含むバランス型の商品に限定されていることが理解できますね。
「つみたて投資枠」で買える投資信託・ETFの選定基準
●投資信託
・株式に投資する商品か、株式を含む複数資産のバランス型
・購入時手数料なし(ノーロード)
・信託報酬が一定水準以下
国内資産を対象とするインデックス投信:上限0.5%(税抜)
内外・海外資産を対象とする投信:上限0.75%(税抜)
・信託契約期間が無期限または20年以上
・分配頻度が毎月でない
・デリバティブ取引による運用を行っていない(ヘッジ目的の場合等を除く)
●ETF
・投資対象が株式であること
・購入時手数料は1.25%以下
この基準を満たし、「つみたて投資枠」で購入できる投資信託とETFは、2024年1月30日現在で合計281本あります。うち投資信託は273本で、株式のみを投資対象とする株式型が153本、株式と債券や不動産など複数の資産で運用するバランス型が120本あります。「つみたて投資枠」で買えるETFは8本のみです。それぞれ国内か海外か国内外かの内訳は下表のとおりです。
「つみたて投資枠」対象商品(2024年1月30日現在)
国内 | 内外 | 海外 | 合計 | ||
---|---|---|---|---|---|
投資信託 | 株式型 | 51本 | 27本 | 75本 | 153本 |
バランス型(株式を含む資産複合型) | 5本 | 113本 | 2本 | 120本 | |
ETF(株式の指数連動型) | 3本 | - | 5本 | 8本 | |
合計 | 281本 |
※金融庁発表資料より筆者作成
「成長投資枠」では、個別株にも投資可能
「成長投資枠」では上場株式のほか、投資信託・ETT・REIT(不動産投資信託)に投資することができます。それぞれの条件などは以下のとおりです。
「成長投資枠」で買える商品
●上場株式
・整理・監理銘柄に指定されているものは除外
●投資信託(国内・内外・海外)
・株式投資信託や株式を含む複数資産のバランス型のほか、債券やコモディティで運用する投資信託も対象
・信託契約期間が無期限または20年以上
・分配頻度が毎月でないもの
・デリバティブ取引による運用を行っていない(ヘッジ目的の場合などを除く)
●ETF(上場投資信託)
●REIT(上場不動産投資信託)
上場株式
「成長投資枠」では株式投資ができます。ただし、上場株式では整理・監理銘柄(上場廃止基準に該当する恐れがある、または上場廃止が決定した銘柄)は外されています。新NISA口座内で日本株を売買する際に、売買手数料がかからない証券会社もあります。また証券会社によっては日本株だけでなく、外国株に投資できる会社もあります。
投資信託
投資信託については、投資信託では信託期間20年未満や毎月分配型、デリバティブ取引で運用する商品などが対象外とされています。「つみたて投資枠」では、販売手数料がなく、信託報酬も一定以下に抑えられた株式投資信託と株式を含む複数資産のバランス型が対象でしたが、「成長投資枠」では信託報酬には制限はありません。また、債券ファンドや、金や原油といった商品市況に投資するコモディティ(商品)で運用する投資信託も対象となっています。
本数も、「つみたて投資枠」で投資できる商品が273本であるのに対し、「成長投資枠」で投資できる商品は1849本あります(2024年1月30日現在。投資信託協会資料より)。「成長投資枠」で購入できる投資信託は、「つみたて投資枠」で購入できる投資信託も含まれるものの、それ以外の投資信託もあり選択肢が広がります。
ETF
ETFは株と同じように証券取引所に上場していて、株式市場で売買することができます。ETFは特定の指数と値動きが連動するように運用されています。たとえば、TOPIXに連動するETFであれば、TOPIXと同様の値動きとなります。連動する指数はTOPIXや日経225のほか、外国株価、債券価格、不動産、金や原油などコモディティ(商品)などさまざまなものがあります。
REIT(不動産投資信託)
REITも投資信託の一種で、集めた資金でオフィスビルや賃貸マンション、商業施設、ホテルなどに投資し賃貸運営等をします。賃料や譲渡益などの収益を投資者に分配する仕組みです。REITも株のように株式市場で売買することができます。新NISAでは、国内だけでなく海外のREITも購入できます。
「成長投資枠」では個別株式も対象となり、積立だけではなく、好きなタイミングで一括購入できる「スポット投資」も可能です。
「つみたて投資枠」と「成長投資枠」は併用可能
「つみたて投資枠」と「成長投資枠」では、投資できる商品が異なるほか、同じ投資信託やETFでも内容に違いがあることを見てきました。再度わかりやすく、表で整理しておきます。
「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の商品の違い(2024年1月現在)
投資商品 | つみたて投資枠 | 成長投資枠 | ||
---|---|---|---|---|
タイプ | 本数 | タイプ | 本数 | |
投資信託 | 株式型・バランス型 | 273本 | 株式型・バランス型・債券型・コモディティなど | 1849本 |
ETF (上場投資信託) |
株式の指数に連動するもの | 8本 | TOPIXや日経225、外国株価、債券、不動産、コモディティ(商品)などさまざまな指数に連動するもの | 301本 |
REIT (不動産投資信託) |
- | - | 国内だけでなく海外のREITも | - |
上場株式 | - | - | 国内株式・外国株式 | - |
※つみたて投資枠:金融庁資料より、成長投資枠:投資信託協会資料より、筆者作成
「つみたて投資枠」は年120万円、「成長投資枠」は年240万円まで非課税で投資をすることが可能で、併用すれば、年間360万円まで可能となります。投資できる商品の違いなども理解しながら、上手に併用していきたいものです。
「成長投資枠」では、「つみたて投資枠」と同じ投資信託も含まれ(一部例外あり)、しかも積立投資も可能なため、両方の枠を合わせれば月30万円までの投信積立を行うことができます。「成長投資枠」では「つみたて投資枠」と同じ商品で積立てるのも1つの方法です。
また、「つみたて投資枠」の基準にはまらない投資信託ながら、期待している投資信託があれば、「成長投資枠」で投信積立を行うのもひとつの方法です。ただし、金額はムリのない範囲で設定しましょう。
- 執筆・監修 豊田眞弓(とよだ まゆみ)
- FPラウンジ代表、亜細亜大学非常勤講師。AFP。マネー誌ライターなどを経て、独立系FP。講演・講師、コラム執筆や監修、個人相談などを業務としている。ライフワークとして、30年近く子どもから社会人、高齢者までの金融経済教育に携わってきた。FP技能士3級講座講師も務める。趣味は講談、投資。
- NISAで利用できる金融商品を理解したら、NISAを扱っている金融機関を見てみよう
「価格.com NISA口座比較」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 最新の情報が反映されていない場合がございます。最新情報は各証券会社の公式ページ等でご確認ください。
- ご契約にあたりましては、必ず金融機関において「契約締結前の交付書面」等をご確認の上、お客様ご自身でご判断ください。
- キャンペーン・特典は各広告主において実施されるものであり、広告主による募集要綱等を十分にご確認ください。
- 当社では各金融機関のサービスに関するご質問にはお答えできません。各金融機関にお問い合わせください。