基礎知識つみたてNISA(ニーサ)とは?
「つみたてNISA(ニーサ)とは?」のまとめ
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- ポイント1
- つみたてNISAの特徴
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- ポイント2
- つみたてNISAとNISAの比較
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- ポイント3
- つみたてNISAのメリット
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- ポイント4
- つみたてNISAの活用・運用法
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- ポイント5
- つみたてNISAの申し込みまでの流れ
2018年にスタートした「つみたてNISA」は、2042年までの20年間にわたり、年間40万円までの投資額で得られた利益を非課税にできる制度です。
この記事では、つみたてNISAの特徴や、一般NISAとの違い、利用するメリットなどを解説します。
つみたてNISAの特徴
【特徴1】中長期での資産形成を目指す制度
一般のNISAでは、「年間120万円までの投資額で得られた利益が5年間非課税」になるのに対し、 つみたてNISAは、「年間40万円までの投資で得られた利益が20年間非課税」になります。
一般NISAよりも年間の投資枠は小さくなりますが、20年間という長期間、コツコツと運用できる制度です。 なお、利用できるNISA口座は1人1口座と決まっているため、一般のNISA口座か、つみたてNISAの口座のいずれかを選ぶ必要があります。 なお、年単位で口座の種類(つみたてNISAか一般NISA)を切り替えることは可能です。
【特徴2】金融庁が定める要件を満たした投資信託・ETFから選ぶ
つみたてNISAの運用先は投資信託かETF(上場投資信託)に限られます。 いずれの商品も、金融庁が定めた一定の要件を満たしたもので、手数料や運用先などの面から見て、長期の分散投資に向いているものとされています。
2021年3月時点で、インデックス型投信167本、アクティブ型投信19本、ETF7本の、合計193本がつみたてNISAの対象となっています。
投資信託・ETFとは? 投資信託は、投資家から集めた資金を専門家が運用する金融商品のこと。 運用先は国内外の株式や債券など多岐にわたり、運用先の配分も商品によって違いがあります。 また、ETFも投資信託の一種で、証券取引所に上場しているものを指し、株価指数などの指標の値動きと連動することを目指して運用されています。
【特徴3】毎月コツコツ積み立て投資を続けやすい
つみたてNISAで選べる運用方法は積み立てのみとなります(一般NISAは積み立てか一括買付)。 「毎日」「毎週」「毎月」など、商品を購入するタイミングや、一回当たりの購入金額は、自分で選ぶことができます。 一度設定すれば、後は自動で商品が購入されていくため、1回1回作業をする手間はかかりません。
また、買い付け時にはつみたてNISAの口座に購入資金を入れておくことが必要ですが、銀行口座から自動で引き落とすことができます。 たとえば、給与が振り込まれた後に自動でつみたてNISAに引き落とす設定にすれば、基本的に、“ほったらかし”で、コツコツと積み立て投資を続けることができます。
つみたてNISAとNISAの比較
つみたてNISA | NISA | |
---|---|---|
制度利用者 | 20歳以上 | |
年間の投資上限金額 | 40万円 | 120万円 |
配当金、売却代金等の払い出し | いつでも自由 | |
非課税対象商品 | 一定の要件を備えた株式投信、ETF | 上場株式、公募株式投信等 |
口座開設可能期間 | 2042年12月末まで | 2028年12月末まで |
非課税期間 | 最長20年間 | 最長5年間 |
買い付け方法 | 積み立てのみ | 一括買付、積み立て |
つみたてNISAのメリット
つみたてNISAの特徴をつかんだところで、具体的な3つのメリットについて、FPの深野康彦氏にお聞きしました。
- 深野 康彦
- 1962年埼玉県生まれ。FP業界歴30年を超えるベテランFP。
新聞、マネー誌や経済誌、各種メールマガジンへ執筆や取材協力、テレビ・ラジオ番組などの出演を通じて、投資の啓蒙や家計管理の重要性を説いている。 著書に「55歳からはじめる 長い人生後半戦のお金の習慣」(アスカビジネス)などがある。
【メリット1】まとまった資金がなくても始められる
つみたてNISAは、もともと「中長期にコツコツと資産形成する」ことに寄与することを目的として作られた制度です。 年間40万円が運用額の上限なので、ひと月あたり33,333円まで積み立てることが可能です。 ただし、資金的にそこまでの金額を積み立てるのは難しいという人も多いと思います。 つみたてNISAは、理論上月100円から始めることができます(証券会社によって最低金額は異なります)。 まずは無理なく出せる金額で積み立てを始め、余裕が出てきたタイミングで少しずつ積立金額を増やす、といったことも可能です。
【メリット2】商品があらかじめ絞り込まれている
つみたてNISAで購入できるのは、金融庁が定める要件を満たした株式投資信託とETFです。 いずれも、信託期間が無期限、もしくは20年間以上あり、購入時手数料や信託報酬の面で長期投資に有利なものが選ばれています。 市場全体で取り引きされている投資信託の数は6,000本以上あるので、この中から選ぶのは大変です。 その点、つみたてNISAでは、あらかじめ長期投資に適した商品が絞り込まれていますので、これから投資をはじめようという方にも比較・検討しやすいと言えるでしょう。
【メリット3】いつでも引き出すことができる
つみたてNISAは、積立期間中に、いつでも資金を引き出すことができます。 つみたてNISAと同様、中長期の資産形成に適した制度として「個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)」がありますが、 イデコの場合、原則として60歳になるまで積み立てた資産を引き出すことはできません。 積立期間中に、万が一、急にお金が必要になる局面が訪れる場合もあるでしょう。 そのような点を考慮すると、資産の流動性という面では、つみたてNISAに優位性があります。
つみたてNISAの活用・運用法
つみたてNISAの特徴やメリットについて理解できたところで、具体的な活用方法について深野康彦氏にお聞きします。
Q つみたてNISAはどんな人に向いている制度ですか?
基本的には、これから資産を作っていきたい、20〜40代の方が使いやすい制度だと思います。 しかし、今は「人生100年時代」とも言われ、「資産寿命」(老後の生活を営むにあたって、それまで形成してきた資産が尽きるまでの時間)の重要性が増しています。 つみたてNISAには年齢の上限はありませんので、50代以上の方が利用されるのもいいでしょう。 その場合は、投資に費やせる残り時間がどれくらいかによって、選ぶ商品や売り時を考える必要があります。
Q 毎月いくらぐらいから積み立てればいいでしょうか?
メリットの項でも触れましたが、まずは、無理のない金額から始めることをお勧めします。 長期投資の複利のメリットを享受するには、なにより投資を続けることが大切です。 積立期間中には、収入が増えることもあると思います。そうしたタイミングで、積立額の増額を検討されるのもいいでしょう。 また、心理的な問題になりますが、毎月の積立額が段々と増えていくほうが、資産形成のモチベーションを高めるようにも思います。
Q つみたてNISAではどんな商品を選べばいいのでしょうか?
金融庁が定めた要件についてはさまざまな見方がありますが、基本的に、中長期の分散投資に向いた商品が選ばれているのは間違いありません。 その中で、より安全性を期すのなら、国内外の株式、債券などに資産を分散投資する、バランス型のファンドが選択肢にあがると思います。 また、もし積極的に運用したいということであれば、株式のみに投資するファンドを選ぶのもひとつの考え方でしょう。 ただし、この場合は、現金の預金が十分にあり、その人の資産全体から見て、十分に分散ができている状態が好ましいと思います。
Q 売り時はどう考えればいいのでしょうか?
投資において、「いつ売るか」は非常に難しい問題です。 これは、つみたてNISAのような長期投資においても同様で、お金が必要なタイミングで、十分に利益が出ているとは限りません。 ただ、ひとつ言えるのが、景気や株価は循環し、上がったり下がったりを繰り返すものだということ。 その意味で、長期投資は利益が出るチャンスを増やす投資方法だと言えると思います。 私が、無理のない金額で積み立てを始めるのをおすすめしているはこれが理由です。 大切なのは、利益が出る状態に投資を「続けていること」なのです。
Q つみたてNISAをしていれば、現金の預金は不要でしょうか?
つみたてNISAは、ぜひ、現金の預金とセットで考えることをおすすめします。 多くの方は、老後を見すえてつみたてNISAを検討されると思います。 しかし、老後は人生のもっとも後に訪れるライフイベントです。 その前にも、結婚、出産・育児、教育、不動産の取得、起業など、お金のかかるライフイベントは目白押しです。 また、2020年のコロナショックのように、大きな経済的ダメージを受けることもあるでしょう。 そうした、お金が必要になるタイミングでもし預金がなければ、仮にマイナスが出ている状態であっても、つみたてNISAを売らざるを得ないかもしれません。 そうならないためにも、つみたてNISAを利用するとともに、現金の預金も計画的に貯めていくといいでしょう。 預金の存在は、いわば、つみたてNISAを続けるための保険のような存在とも言えるのです。
Q つみたてNISAの資産状況はつねにチェックしたほうがいいですか?
私は、「年に1回」ぐらいの頻度でいいと考えます。 前出のとおり、つみたてNISAは一度設定すれば自動で積み立てが行われていきます。 その後はあまり感情を交えず、機械的に積み上げていくほうが、資産形成を続けやすいと思います。 年に1回資産状況をチェックし、現金の預金の貯まり具合や、つみたてNISAの資産額とのバランス、 あるいは収入の増減などとの兼ね合いで、つみたてNISAの一部売却や、積み立て金額の増額などを検討されるといいのではないでしょうか。
つみたてNISAの申し込みまでの流れ
まずは、つみたてNISAを申し込む金融機関を決める必要があります。 つみたてNISAを扱っているどの金融機関でも、「投資の上限金額は年間40万円まで」などの基本的なルールは変わりません。 しかし、扱っている金融商品の数や、積み立ての最低金額などの細かいルールが異なるので、申込前に確認しておきましょう。 申し込む金融機関が決まったら、本人確認書類やマイナンバーなどを用意し、手続きを行います。
簡易NISAに対応している金融機関の場合、税務署の審査が終了する前に取引を始めることができます。 すでに、その金融機関の証券口座を開設している人なら、最短で1〜2日程度でつみたてNISAを始めることができます。
簡易NISAに対応していない金融機関や、証券口座(銀行の場合は普通預金口座など)をまだ持っていない人の場合は、 つみたてNISA開始まで、2〜4週間程度見ておいたほうがいいでしょう。
申し込みまでの流れ
1. つみたてNISAの口座を開きたい証券会社か銀行を選ぶ
2. 選んだ金融機関の「証券口座」(銀行なら「普通預金口座」「投資信託口座」など)を開設。
※すでに開いている人は不要
3. つみたてNISA口座の申込資料の請求
4. 申込資料に記入後、本人確認書類、マイナンバーの写しと一緒に返送
5. 金融機関および税務署の審査後、つみたてNISA口座開設
6. 積み立てる商品や金額を設定
- 少額投資のNISA活用例を理解したら、NISAを扱っている金融機関を見てみよう!
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