アクアリウムは生体(魚やエビ類、水草など)を扱っており、健康的に維持していくには日々のメンテナンスが大切です。楽しみながら取り組んでいきましょう。
アクアリウムをはじめてみようと思って、経験者やお店の人に話を聞いてみると、「最初に器具をそろえたら、あとはほとんど手間もお金もかからないよ」といわれることがよくあります。確かに、お金に関しては、その後さらに水槽や魚を買い足したりしなければ、さほど大きな出費が必要となることはありません(光熱費や餌代は、おそらくあなたが思っているよりも高額ではないでしょう)。
一方の手間については、実は微妙なところです。というのも、経験者が手間だと考えるのは水槽の移動や再セットのような大掛かりなもので、未経験者が面倒だと思うような日常的なメンテナンスは手間のうちに入らない、という認識である場合が多いからです。
水槽内には、主に飼育生物の排泄物によって汚れが溜まり続けていきます。フィルターによる浄化機能も万能ではなく、処理できる量にも限界があるので、一度セットした水槽を長くよい状態でキープするには、物理的に汚れを取り除く行為が必要となります。具体的には、水換えと掃除(底床、フィルターのろ材、壁面のコケなど)が主なもので、これは、短いスパンで行うほど、後で大きなトラブルが起きることを防ぐ可能性が高くなります。というのは、長く放置すればそれだけ汚れは多く溜まり、きれいな状態に戻したときとの環境面でのギャップが大きくなるからです。

メンテナンスをしっかり行っていれば、魚や水草は生き生きした姿で応えてくれます。
コケについては、水質の浄化に役立っているという考えもありますが、水槽内に発生するコケ(藻類)の多くは成長のコントロールが難しく、種類によっては水槽内を覆い尽くして水草の生長を止めてしまったり、見た目も悪くなったり、さらには悪臭を放つものなどもあり、どちらかというと厄介者扱いとなる存在です。はびこる前に除去し、発生原因を改善するようにしましょう(コケの種類や個別の対処法については、こちら「水槽にコケがいっぱい、どうする?」を参照してください)。
水換えや掃除は、理想をいえば、変化が目立たないうちに先手を打って行うのが望ましいのですが、初心者にはそれほど必要性も感じられず、やる気が起きないかもしれません。ですが、「もしも自分が生活する空間がまったく空気の入れ替えをしなかったら?」と考えてみて、定期的な水換えや掃除を実行してみてください。ある程度の経験を積むと、自分の生活に合ったペースというのがわかってきます。もちろん、自分の都合だけでなく、魚の状態に合わせることも重要です。
はじめのうちは、魚を眺めているだけでも楽しくて、それだけで時間がたつのも忘れてしまうほどですが、ただ漠然と眺めるのではなく、魚たちの動きや色つやなどに普段と異なる様子がないか注意しましょう。また、魚以外の観察ポイントとして、水温、水位、照明の明るさ、ガラス面の汚れ具合、フィルターはきちんと機能しているか(水流が弱くなったり、異常な音が出たりしていないか)、枯れた水草や残った餌が底に溜まっていないかなど、気になる部分のチェックをルーティーンとして行うことをおすすめします。

水草の葉や茎が大きく成長して魚の遊泳スペースが狭くなったり、全体のバランスが崩れたりした場合、専用のハサミでトリミング(伸びすぎた部分をカット)を行いましょう。

水槽周りを汚さないように、メンテナンス時にはシートや古バスタオルなどを敷いておくと安心です。
見落としがちな部分として、水草同士の間に藻類が絡まっていないか、流木や飾り石の裏側など、正面から見るだけではわからない場所も、定期的にチェックするようにしましょう(流木などの後ろに残り餌やゴミが溜まりやすくなっていたら、配置の仕方やフィルターからの水の流れの向きを変えてやるとよいでしょう)。
そのほかには、水草を植えているならトリミング(剪定)という作業が必要になります。状態がよければそれだけ成長が速くなったり大きく広がったりして、そのこと自体は嬉しいものですが、レイアウトの調和が乱れたり、魚の泳ぐスペースがなくなったりといった不都合も生じます。ベストな草姿を保つためのトリミングには、葉や茎の一部を切り取ったり、根を切って成長を弱めたりといくつかの方法がありますが、種類(タイプ)によって異なります。各水草が時間の経過によりどのように成長するか、よく観察しておきましょう。
最後になりますが、メンテナンスの際には周囲にビニールシートや新聞紙などを広げて、水が多少こぼれても問題ないようにしておきましょう。水槽の外側についた水滴も、そのまま乾くと跡が残るので、必ず拭き取るのをお忘れなく。
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