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アクアリウムをはじめよう!

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水質チェックを習慣化しよう

飼育水の状態を知るために、簡単に計測できるグッズ(試薬、メーター)が販売されています。うまく活用していきましょう。

水質チェックの必要性

水質のチェックというと、なにか難しいことのように思えるかもしれませんが、簡単にいえば水槽の水が飼っている魚に適したものになっているかどうかを確認することです。

観賞魚として流通している魚たちは、本来は世界中のさまざまな地域に生息しており、そこにある水は、その土地の土壌を構成する物質の影響を受けて、地域ごとの特性を持つようになっています。そのため、魚の種類ごとに好適な水質というのがあり、それが大きく異なった環境で飼育するのは好ましくないのです。

たとえば、火山活動が活発だったり、かつて海中であったりした場所などは、溶岩やサンゴ礁由来のミネラルを含んだ「アルカリ性の硬水」であることが多く、アフリカ湖産シクリッドや汽水魚にはそのような水が適しています。一方、植物の多い地域では、堆積した腐植に含まれる酸の影響で弱酸性の軟水となります。さらに、ある地域ではタンニンによって褐色に色づいた、いわゆるブラックウォーターとなります。ブラックウォーターには殺菌作用があるとされ、そのためそこに生息する魚は病気への抵抗力が低く、飼育が難しいといわれることもあります。

もっとも、ほとんどの魚には順応性があるため、完全に現地の水質を再現する必要はありません。日本の水道水は、地域によって多少の違いはありますが、たいてい中性の軟水に調整されているので(お住まいの地域の水道局のホームページで水質を確認することができます)、なにか水に影響を与える素材を入れたりしていなければ、弱酸性の軟水で安定するものです。しかし、できるだけ現地の条件に近づけることで、健康な状態を保ちやすく、本来の美しさを発揮してくれるようになります。また、現地でも季節によってある程度の範囲で水質の変化があり、それを再現することで繁殖に成功することもあります。

多くの熱帯魚を育んでいる南米アマゾンの中流域。2色(アマゾン川のブラウンとネグロ川のブラック)の水はせめぎ合いながらも水質が大きく異なるため、完全に混ざることはなく10kmも続きます。

硬度とpHの変化を把握しよう

水に溶け込んで水質に影響する物質は非常に多岐に渡りますが、アクアリウムで必須といえるのは、「硬度」と「pH」の2つです。硬度というのは、簡単に説明すると、水にどれだけのミネラル(鉱物)が含まれているかを示すものです。一般に、ミネラルの多い水が「硬水」、少ない水は「軟水」と呼ばれ、コーヒーやお茶をいれるには軟水がよい、などという話を聞いたことがあるかと思います。通常、単に硬度という場合は特にカルシウムとマグネシウムの含有量を、炭酸カルシウムの量に換算して表します。単位は「GH」で、「総硬度」「全硬度」ともいいます。市販されているミネラルウォーターの多くは硬水とされますが、商品によって含まれる成分はさまざまで、また飲料として人体や味に影響のない程度の含有量なので、実際の硬度はそれほど高くない場合もあります。

また、硬度には、単位「KH」で示される「炭酸塩硬度」というものもあります。炭酸塩はアルカリ助剤とも呼ばれ、たんぱく質を分解したり、酸化を抑制したりする働きを持っています。指標として重要なものではありますが、一般的なアクアリウムではそれほど気にする必要はありません。しかし、水草水槽や水質に敏感な魚を飼育する場合、セット後のpHが安定しない場合などにはチェックしておきたい要素です。

もうひとつ、よく知られているのが、水が酸性かアルカリ性かを示す「pH」という単位です。「ペーハー」または「ピーエイチ」と読むのが一般的で、水素イオン濃度指数とも呼ばれます。0から14までの数値で表し、中央値の7.0を中性として、それより数値が低いと酸性、高いとアルカリ性ということになります。

そのほかに、ろ過バクテリアによる浄化が機能しているかどうかを判断する指標として「亜硝酸塩濃度」(NO2)と「硝酸塩濃度」(NO3)があります。残り餌や魚の排泄物によって生じるアンモニアは魚に対して毒性がありますが、ろ過バクテリアによって毒性の少ない亜硝酸塩に分解され、さらに害の少ない硝酸塩に分解されます。それぞれの濃度をチェックすることで、バクテリアの働き具合がある程度わかります。

スキアエノクロミス・フライエリィ Sciaenochromis fryeri
アフリカのマラウイ湖に生息する鮮やかなブルーの体色が美しい固有種。弱アルカリ性の水質を好むため、飼育水をpH7.5〜8.0くらいに調整すると調子よく飼育できます。

水質の調べ方

水質のチェックを行うには、テスターを使う方法と、試薬や試験紙を使う方法があります。テスターは数値が表示されるので詳細なチェックが可能ですが、かなり高価です。試薬や試験紙は比較的安価で、複数の要素を同時にチェックできる商品もありますが、変化する色から読み取るので正確な数値はわかりづらくなります。

水質のチェックはセット前の水道水から行うのが望ましく、セット後にも定期的に行い、数値を記録して自分の水槽の水質がどのように変化していくのかを把握しておくとよいでしょう。セット直後はあまり水質が安定しないことが多いので、1か月程度は様子を見続けてください。

好みの水質にする方法

水質をチェックしてみて、飼っている魚に好ましくない状況だった場合は、なんらかの方法で水質を変えてやらなければいけません。状況によっては水槽全体のリセットが必要となることもあります。

弱酸性の水にしたい場合は、市販のpH降下剤やピートモス、ピートエキスなどを使うと調整ができます。薬品類は即効性を求めるときに、ピートモスなどの素材は長期的な効果を求めるのに適しています。ピートモスは園芸用の商品もありますが、用土に混ぜ込みやすいように粉砕されているため、アクアリウムに使うのには適していません。卵生メダカの産卵に使われる繊維の残ったものや、固めてペレット状にしたものを、洗濯用ネットなどに入れて水槽に投入します。さらに水質に敏感な魚に対しては、特定の木の葉や実を乾燥させたものも販売されています。ただし、これらは底床やろ材にpHや硬度を上昇させる性質を持つ素材を使っていると、その特性がうち消されてしまうため、ほとんど効果はありません。貝殻やサンゴ砂の混じった砂利を使っている場合は、弱酸性を保つ効果のあるソイル系の底床素材を使ってセットし直した方がよいでしょう。

反対に、弱アルカリ性の水質にしたい場合は、弱酸性と同様に薬剤を使ったり、ろ材や底床にカルシウム分を含む素材を使う方法があります。以前はサンゴ砂がよく用いられましたが、真っ白で淡水魚には少し不自然な感じがしてしまうので、最近はあまり使われません。

いずれにしても、魚に適した水にするにはできるだけ天然素材を使用したものが好ましく、薬品類は魚の調子がよくない場合などに、応急処置としての使用をすすめます。ただし、これはサプリメントのようなもので、病気を治すなどの効果はありませんので、注意してください。

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