住宅ローン利用時の疑問にFPが回答
住宅ローン相談の経験豊富なFP(ファイナンシャルプランナー)が、住宅ローン利用時のよくある疑問に回答。具体的な事例について専門家のアドバイスが確認できます。さらに、その事例からシミュレーションを試すことができます。シミュレーション利用の際の参考にしてみましょう。
※本コンテンツの記載内容は2014年時点の内容となります。

質問の回答者 風呂内亜矢さん
CFP(R)認定者、宅地建物取引士
マンション購入をきっかけにFPに。テレビ、新聞などで情報発信をしている。
車を購入していてローンがあります。住宅ローンの審査に影響があるでしょうか。
車を購入するときにローンを組みました。現在も返済中です。返済には滞りもなく問題ないかとは思うのですが、住宅ローンの審査に影響がありますか?
夫(45歳・会社員・年収700万円)、妻(40歳・専業主婦)、子1人(8歳)
ファイナンシャル
プランナー
住宅ローンの審査ではその他の借入も含めて判断されます。多くの借入状況は信用情報機関に問い合わせて照会されるため金融機関からも確認することができます。
住宅ローンの融資審査の基準に「総合借入」と「返済比率」というものがあります。「総合借入」は年収の何倍まで借りられるかという基準です。住宅ローンの場合は年収の7倍までが目安で、年収700万円の場合4900万円までが目安になります。「返済比率」は年間の返済額が収入の何割にあたるかという基準です。住宅ローンの場合は年収の35%などが基準で、年収700万円の場合、年間返済額は245万円までが目安となります。
もし、車のローンの負担額が大きい場合は住宅ローンの返済期間を短くしたいと思ってもできない場合などもあるでしょう。返済期間を短くすると年間返済額が増えるため「返済比率」の基準を超えてしまうからです。住宅ローン以外の借入も含めて「総合借入」「返済比率」におさまる範囲内が借入上限額の目安になります。
シミュレーションしてみましょう
年収700万円の人が返済比率35%まで借入を行なう場合、年間返済額は245万円(月々約20万円)が上限の目安になります。車のローンが毎月5万円だった場合は月々約15万円までが目安です。それぞれで自動計算される【借り入れ額】にも注意しましょう。返済期間を短くすると【借り入れ額】も少なくなります。
返済額シミュレーション
さらに詳しい条件でシミュレーション
執筆者:風呂内亜矢
団体信用生命保険は必須加入でしょうか。費用はどのように支払いますか。
提案いただいたシミュレーションをみていると団体信用生命保険の費用が重く感じます。加入は必須でしょうか。また支払い方法はどのような形になりますか。
女性(37歳・独身・会社員・年収600万円)
ファイナンシャル
プランナー
団体信用生命保険に加入するとローン契約者に万が一のことがあった場合、保険金でローンの残債が完済されるため安心といえます。しかし、借入予定のローンを完済できるくらいの現金を既に持っている場合や、ローン金額相当の保険に割安で加入している場合などは団体信用生命保険の加入そのものを検討したいこともあるかもしれません。
一般的に民間金融機関の場合は団体信用生命保険は必須加入になっていることが多く、場合によっては団体信用生命保険の加入ができなければ借りられない住宅ローンもあります。それに対してフラット35は団体信用生命保険の加入は任意となっています。保険料の支払方法は金利に含まれていて毎月の返済から支払う方法と、毎年まとまった金額を支払方法があり、好きな方法を選べる住宅ローンもあります。
住宅ローンシミュレーションをする際には金利だけでなく、団体信用生命保険が含まれる金利や手数料なのかも併せて検討するとより同条件での比較ができます。
シミュレーションしてみましょう
3000万円の住宅ローンを借り入れする場合で比較してみましょう。特にシミュレーション結果の【総支払額の詳細】ボタンを押して確認できる費用明細についてチェックしましょう。団信特約料などに違いがある場合があります。
返済額シミュレーション
執筆者:風呂内亜矢
ボーナス返済の割合はどのくらいが適正でしょうか。
年収600万円、妻と子どもがいます。マンション購入を考えています。年収の内ボーナスの比率も高いのでボーナス返済も検討しています。適正な割合はどのくらいでしょうか。
夫(36歳・会社員・年収600万円)、妻(35歳・パート)、子1人(3歳)
ファイナンシャル
プランナー
ボーナス返済はフラット35だと40%、民間の金融機関だと50%程度まで設定することが可能です。ただし、ボーナス払いの比率は月々の収入と支出の割合についてバランスを保つ程度にとどめた方が安心です。例えばボーナスが年間4ヶ月分支給される会社に勤めている場合、年収のうちボーナスの比率は25%(4ヶ月分÷16ヶ月分)です。そのため、25%程度を上限としてボーナス払いを検討するのがよいでしょう。
ボーナスは毎月の給与に比べて会社の業績による影響を受けやすく、減額や支給されないケースなども想定されます。そうした時にもボーナス月に大きな返済金額があると家計管理が苦しくなることも考えられるからです。
可能であればボーナス返済なしで無理なく返済できないかも一度考えてみることが有効です。ボーナス返済を併用すると月々の負担が軽く見えるため借りすぎてしまうこともあります。ボーナス返済なしでも計画に無理がない借入金額であれば、返済にもゆとりがある可能性も高くなります。ボーナス返済有り、無し、両方を検討して自分に合ったものを選択すると安心です。
シミュレーションしてみましょう
3500万円の物件に500万円の頭金を準備して購入する場合で比較してみましょう。わずかですがボーナス返済を併用する場合、総支払額が多くなることもわかります。これは毎月返済額に比べて元金の支払いを半年程度遅らせることになるからです。
返済額シミュレーション
執筆者:風呂内亜矢
物件価格やローン金額以外にかかる諸費用とはどういったものでしょうか。
マンションを買う時に物件価格以外に3〜10%程度別で費用がかかると聞きました。どういった費用がかかるのでしょうか。
女性(32歳・独身・会社員・年収500万円)
ファイナンシャル
プランナー
マンション購入時には物件価格以外に3〜10%程度諸費用がかかります。諸費用には物件に自分の名義を登記するための費用や、ローンを組むための事務手数料などが含まれます。
その他にもローン契約者に万が一のことがあった場合に保険金で完済される「団体信用生命保険」の保険料などもあります。団体信用生命保険は民間の金融機関の場合は必須のケースが多く、フラット35などでは任意となります。諸費用を公平に比較するためにも知っておきたいポイントです。また、保険料は金利を上乗せして月々で支払っていくケースと、ローン開始時にまとめて支払うケースなどもあるため、自分にとってより支払いのしやすいものを選択できると良いですね。
シミュレーションしてみましょう
3000万円の物件を頭金100万円で購入するケースで考えてみましょう。下記リンクで選択できるローン商品の一覧が表示されます。「総支払額」欄の「総支払額の詳細」ボタンをクリックすると団体信用生命保険料の有無なども含めて比較することができます。
返済額シミュレーション
執筆者:風呂内亜矢
金利が 0.5%違うと支払総額はどのくらい変わりますか。
1%を大きく下回る低い金利に魅力を感じています。金利が0.5%違うと総支払額はどのくらい変わるものでしょうか。
夫(36歳・会社員・年収600万円)、妻(35歳・会社員400万円)、子2人(6歳、3歳)
ファイナンシャル
プランナー
4000万円を35年間・元利金等返済で返済した場合の総支払額は、金利が0.5%だと約4360万円、金利が1%だと約4740万円と約380万円の違いがあります。
大きな金額にも見えますが、その総支払額の差で得られるメリットを考慮しておくことも大切です。例えば金利パターンが変動から固定になれば今後の金利動向を気にかけなくても良いメリットなどがあります。また、繰上返済を行なうことで総支払額の差を埋めることもできます。
繰上返済については金融機関によって手数料の有無や、最低繰上返済額がいくらに設定されているかなどが異なります。こまめに返したいと希望している人は最低返済額が少なく、繰上返済の手数料がかからない金融機関を選べるとより有利です。
シミュレーションしてみましょう
4500万円の物件を頭金500万円で購入するケースで考えてみましょう。金利と総支払額を確認しましょう。
返済額シミュレーション
10年後に繰上返済を300万円行なうケースの利息軽減効果を比較してみましょう。
繰り上げ返済シミュレーション
執筆者:風呂内亜矢
いくらまで借りても大丈夫ですか?
年収500万円、単身者です。貯金が苦手であまりないのですが頭金はどのくらいが適切でしょうか。また、いくらくらいの借入であれば安全といえるのでしょうか。
男性(32歳・独身・会社員・年収500万円)
ファイナンシャル
プランナー
一般的な目安として頭金は物件価格の2割程度、借入金額は年収の5倍程度という基準が挙げられます。年収500万円の場合、物件価格3,100万円、頭金600万円、借入金額2,500万円などを1つの目安とすると良いでしょう。金融機関によっては年収の7〜8倍の借入を受けられるケースもありますが、継続して返済していけるかを慎重に判断する必要があります。また、頭金以外にも手数料や登記費用などの諸費用が物件価格の1割程度かかることにも注意が必要です。
もしも家賃の高いエリアに住んでいて、今後も継続的に住むことが予想される場合には、頭金を貯めるよりも購入して返済を進めながら繰上返済の資金を貯金する方が有利なケースもあります。この場合は定年退職時のローン残高などをチェックし繰上返済の計画をしっかり立ててリスクを軽減することが大切です。ローン開始年齢が若いことや、選択するローンが固定金利タイプであることなどはリスクを抑える要素になります。
シミュレーションしてみましょう
回答に出てきた3,100万円の物件を購入するケースで比較してみましょう。60歳での完済を目指す場合、頭金を600万円準備するとゆとりがあります。
執筆者:風呂内亜矢
モデルルームで住宅ローンの「ミックスプラン」を提案されました。
有利な方法でしょうか。
住宅ローンをどのようなプランにしようかと営業担当者に相談していたところ「ミックスプラン」というものを紹介されました。どういったメリット・デメリットがあるでしょうか。
夫(38歳・会社員・年収500万円)、妻(35歳・会社員・年収200万円)
ファイナンシャル
プランナー
住宅ローンを固定金利で返済すれば返済額が変わらず計画が立てやすく魅力的ですが、変動金利に比べると金利がやや高くなります。変動金利を選ぶと金利が低く返済額を抑えられるメリットはありますが、今後返済額が変わる可能性があるため計画を立てづらい側面があります。
そんな時に固定金利と変動金利を両方利用する「ミックスプラン」を検討する人もいます。例えば3000万円の借入額のうち、2000万円は固定金利で、1000万円は変動金利で借りるという方法です。
繰上返済をする場合、金利が変わらない間は固定金利で借りたお金を優先して返し、金利が上がったときには変動金利で借りたお金を優先して返すなどの選択ができるようになります。但し、ローン事務手数料などがローン2契約分に増えるケースが多いため、費用も考慮して検討するのが良いでしょう。
シミュレーションしてみましょう
3000万円の住宅ローンをすべて固定型で借りる場合、比率を変えてミックスプランで借りる場合などで手数料を含む総支払額を比較してみましょう。
返済額シミュレーション
執筆者:風呂内亜矢
家計における住居費の適正な割合はどのくらいですか?
適正割合で考える借入可能額はいくらになりますか。
世帯年収800万円、子ども2人の専業主婦です。自宅の購入を考えていますが適正な借入額がわかりません。家計簿をつけていますが、住居費にいくら使うのが適正なのかわかれば借入額も考えやすいでしょうか。
妻(32歳・専業主婦)、夫(37歳・会社員・年収800万円)、子2人(2歳、4歳)
ファイナンシャル
プランナー
他の支出から考えて無理のない住居費は手取年収の25〜30%程度と考えられます。首都圏などでは30%など割合が高くなりがちです。
住宅購入には固定資産税や、マンションであれば管理費・修繕積立金、戸建てでも将来の修繕に備えてお金を積立てておくことを考えると、ローン返済そのものは手取年収の20〜25%程度に抑えるとよいでしょう。
手取年収は所得税の税率などが年収によって変わるため変動はありますが、額面年収の8割程度になる方が多いです。通帳などで実際に会社から振り込まれている年収がわかればその金額を目安に試算するとより正確です。
シミュレーションしてみましょう
額面年収800万円(手取年収約640万円)の家庭で年間返済額を20〜25%に抑えられる借入金額を試算してみましょう。
執筆者:風呂内亜矢
今の家賃と同じ負担で物件は購入できますか?
年収600万円、妻と共働きの2人暮しです。家賃を10万円程度払っているため、同じ負担でマンションを購入できるのであれば買った方が良いのではと感じています。
夫(30歳・会社員・年収600万円)、妻(29歳・共働き)
ファイナンシャル
プランナー
マンションの購入にはローンの返済以外にも管理費、修繕積立金、固定資産税などの費用が継続的にかかります。物件の広さなどにもよりますが管理費と修繕費は合わせて毎月2万円程度、固定資産税は年間5〜10万円程度必要です。月額平均で考えると2〜3万円程度の費用がローンの支払い以外に必要ということになります。
そのため今の負担感と同じにするのであれば、月々のローン返済額は現在の家賃より2〜3万円程度低くなるプランにする必要があります。また月額平均の負担以外にも、物件購入当初にかかる諸費用や頭金、定年退職時点でのローンの残高についてはまとまった資金が必要なケースが多いため要注意です。
月々の負担感は現在の家賃より2〜3万円少ないローン返済額にすることを目安にし、諸費用、頭金、退職時残高など、いついくらまとまったお金が必要なのかも忘れず確認しておくと安心です。
シミュレーションしてみましょう
月々の返済額が7万円(現在の家賃10万円−3万円)でおさまる借入金額を試算してみましょう。変動金利の方が借入可能額は大きくなりますが金利上昇時に繰上返済できるように備えておくなどの注意が必要です。
借入可能額シミュレーション
執筆者:風呂内亜矢
今100万円繰上返済することと、5年後に200万円繰上返済することは
どちらの方がお得ですか。
今手元にある100万円を繰上返済するのと、5年後にもう少し貯蓄が増えてから200万円繰上返済することではどちらの方がお得でしょうか。
夫(28歳・会社員・年収600万円)、妻(30歳・共働き)
ファイナンシャル
プランナー
住宅ローンの繰上返済を今すぐ行なうのと増えてからもう少し大きな金額を繰上返済するのとどちらが良いか考えることはとても有効です。返済初期ほど元金の割合が高いため、一般的には繰上返済は早く行なう方が利息軽減効果は高いといえます。
しかし、繰上返済に手数料がかかる場合には軽減できる利息と手数料を比較することも重要です。また繰上返済をすると手元の資金が減ることになります。他にまとまったお金を必要とするイベントが控えていないかを気にかけることも大切です。
繰上返済を実施する前に、どのくらいの利息軽減効果を得られるかシミュレーションしてから判断すると後悔しにくい選択ができます。
シミュレーションしてみましょう
ローン返済開始から1年後に100万円繰上返済する場合と、5年後に200万円を繰上返済をする場合を比較してみましょう。また、同じ100万円を繰上返済する場合、1年後と5年後で利息軽減効果がどの程度違うかを確認することも参考になります。
繰り上げ返済シミュレーション
執筆者:風呂内亜矢
繰上返済は早いタイミングでやるほど有利と聞きました。
多少無理してでもがんばった方が良いでしょうか。
世帯年収700万円、子ども2人の専業主婦です。昨年自宅を購入しました。繰上返済は早いタイミングで行なう方が利息軽減効果が高いと聞き、今後どのくらいのペースで繰上返済をするのが適切か悩んでいます。
妻(40歳・専業主婦)、夫(43歳・会社員)、子2人(12歳、10歳)
ファイナンシャル
プランナー
ローンの返済はスタート時の利息の割合が高く、返済が進むにつれて利息の割合が低くなっていきます。そのため、利息の割合が高い早いタイミングでの繰上返済の方が節約できる利息の金額は大きいと言えます。
但し、お子様が高校生・大学生の時期は多くの家庭で教育費が家計を圧迫するタイミングでもあります。手元のお金に余裕がなくなるほど繰上返済を進めると、教育費や生活費をもっと高金利の借入で補てんしなければいけない事態にもなりかねません。1年分の生活費+お子様1人あたり100万円程度の金額は手元に残し、それでも余剰がある部分について繰上返済を検討してみるのが安全でしょう。
シミュレーションしてみましょう
4,000万円の物件を頭金1,000万円、残りの3,000千万円を全期間固定、35年返済を行なっている場合で試算してみましょう。同じ金額であれば繰上返済のタイミングが早い方が利息を多く軽減できます。教育費にお金がかかる時期に手元に現金を残しておけるメリットと、利息軽減効果がどのくらい落ちるのかを比較しましょう。
繰り上げ返済シミュレーション
執筆者:風呂内亜矢
繰上返済を検討しています。
利息を軽減するのにより有利な方法を選びたいのですが、注意点はありますか。
世帯年収1000万円の共働き家庭です。今年自宅を購入しました。繰上返済を積極的に進めていきたいのですが、有利に進めるポイントはありますか。将来的には子どもも欲しいと思っています。
夫(30歳・会社員・年収600万円)、妻(30歳・会社員・年収400万円)
ファイナンシャル
プランナー
住宅ローンの毎月の返済額には元金(借りたお金)と利息が含まれています。返済開始時点では利息の割合が高く、返済が進むにつれて利息の割合が低くなっていきます。そのため、同じ金額を繰上返済するのであれば、返済開始から近い早期のタイミングで繰上返済をした方が利息軽減効果は高いです。
また、返済の方法には「期間短縮型」と「返済額軽減型」という選択肢があります。「期間短縮型」は毎月の返済額は変えずに返済期間を短くする繰上返済です。「返済額軽減型」は返済期間を変えずに毎月の返済額を減らす繰上返済です。一般的に利息軽減効果は「期間短縮型」の方が高いといわれています。
ただし「返済額軽減型」の繰上返済で月々軽くなった金額を次回の繰上返済に使った場合、「期間短縮型」に近い利息軽減効果を得ることもできます。今後お子様を育てる、奥様の収入が減ってしまうなどが想定される場合には家計の固定費をセーブできる方法として「返済額軽減型」という選択肢の存在も知っておくと助かるケースもあるでしょう。
シミュレーションしてみましょう
3500万円のローンに対して200万円繰上返済するケースを試算してみましょう。返済開始からの年数や繰上返済のタイプによって軽減できる利息は大きく異なります。
繰り上げ返済シミュレーション
執筆者:風呂内亜矢
住宅ローン減税をよりお得に受けられる方法はありますか?
夫婦別々に受けるとお得でしょうか。
世帯年収1300万円の共働き家庭です。住宅ローン減税をより有利に受けるには夫婦別々でローンを組むと良いと聞きました。具体的にどのくらいお得なのでしょうか。
夫(32歳・会社員・年収800万円)、妻(32歳・会社員・年収500万円)
ファイナンシャル
プランナー
住宅ローン減税とは、年末のローン残高に応じて所得税などが減税される制度です。納税額以上に減税はされないため、共働きの夫婦がそれぞれに住宅ローン減税を受けると効果が高くなることもあるでしょう。
例えばこれから購入する場合、1人が受けられる住宅ローン減税は1年間で最大40万円(所得税から控除しきれなかった場合は住民税から13.65万円)です。年収500万円の場合、所得税は約10万円、住民税は約20万円支払っているため、1人あたりの最大の控除額は約23.65万円(所得税約10万円+住民税約13.65万円)になります。夫婦がそれぞれに住宅ローン減税を受ければ、年末のローン残高にもよりますが、その倍の47.3万円、年間控除される可能性があります。
ただし、住宅ローンを別々の名義で組むことになるため事務手数料などが2人分かかります。さらに別々の名義で借入を行なった場合には、団体信用生命保険も別々になります。夫に万が一の事があった場合でも保険金で完済されるのは夫のローンのみで、妻名義のローンについては返済義務が残るため注意が必要です。
住宅ローン減税を受けている間は繰上返済をしない方がお得でしょうか。
住宅ローン減税は年末のローン残高に応じて減税されるものと理解しています。住宅ローン減税をより多く受けるためには減税を受けられる間は繰上返済をしない方が良いのでしょうか。
夫(45歳・会社員・年収700万円)、妻(40歳・専業主婦)、子1人(12歳)
ファイナンシャル
プランナー
今年(2014年)の購入であれば年末ローン残高(上限4000万円)の1%が10年間減税されます。金融機関からの借入金利が減税率の1%よりも大きく低い場合には繰上返済をしない方が有利なケースもあります。但し、住宅ローン減税は年末のローン残高に対して1%、繰上返済は実施月時点での残高を基準に利息軽減されるため、減税率と金利が同等の場合は繰上返済の方が効果が高いでしょう。また、あくまで納税額に応じた減税措置のため、減税対象額よりもご自身の所得税・住民税が低い場合には減税効果を充分に受けられていないケースもあります。
さらに、住宅ローン減税は物件購入の年数に応じて対象となる年末ローン残高の上限額や、減税率、期間が異なる点にも注意が必要です。
購入年度、借入金利、所得税・住民税の額に応じて必ずしも繰上返済をしない方が得とはいえないケースもあります。
欲しい物件が住宅ローン控除が受けられない広さです。購入してはいけないでしょうか。
年収400万円、独身です。立地や価格などが理想にぴったりの物件がありましたが、50平米未満で住宅ローン減税を受けられません。住宅ローン減税が受けられない物件は購入してはいけないでしょうか。
女性(29歳・独身・会社員・年収400万円)
ファイナンシャル
プランナー
物件を購入する方にとって、住宅ローン減税はできれば上手に活用したい制度ですね。ただ、例えば都心好アクセスの立地を求めているケースだと50平米を超える物件の金額は高額になることもあります。自分の気に入った物件が返済計画上も無理がなく値段に見合っているようであれば、50平米を切っていても選択肢の一つです。
50平米を超えて物件価格が300万円高い場合と、50平米未満でも物件価格そのものが抑えられる場合などで総支払額を比較してみると判断の助けになります。
なお、50平米未満の物件の場合は、固定資産税の減税措置が受けられないことや、今回が自宅の買替えで損失がでていた場合でも減税措置が受けられないなどの注意点があります。自宅を対象とした優遇制度は利用できないものもあることには注意が必要です。
安い金利に借り換えたら必ずお得になりますか?
年収800万円、妻と子どもが1人います。10年前にマンションを購入して暮らしています。金利が低いと言われるたびに借り換えをした方がお得なのかと迷います。
夫(45歳・会社員・年収800万円)、妻(40歳・専業主婦)、子1人(10歳)
ファイナンシャル
プランナー
ローンの金利は少しでも低ければ総返済額が減るためお得に感じます。しかし、ローン借り換え時には抵当権設定の費用や事務手数料、保証料といったコストがかかるため、コスト以上に総返済額を減額できなければ結局はお得と言えません。
目安としては、ローンの残債が1,000万円以上で、返済期間も10年以上あり、金利差が1%以上ある場合にコスト以上の総返済額軽減効果があると言われています。最近では保証料0円など借り換えコストが低い金融機関もあるため、必ずしも目安を満たさなくても金額としてはお得になるケースもあります。
借り換えには手間や時間もかかりますが、1度の見直しでまとまった節約ができるチャンスです。軽減できる金額と手間を比較しつつ検討してみると良いですね。
シミュレーションしてみましょう
10年前に4,000万円、全期間固定金利3%、35年返済でスタートしたものを借り換えるケースで比較してみましょう。以下の試算では抵当権設定費用などのコストも含めた概算を算出しています。
借り換えシミュレーション
執筆者:風呂内亜矢
利息を少しでも減らしたいと考えています。借り換え以外にも良い方法はありますか。
住宅ローンの支払い利息を少しでも減らしたいと考えています。ローンの借り換えも検討していますが、手間もかかり手数料もかかるため、他に方法はないかと探しています。
夫(36歳・会社員・年収500万円)、妻(32歳・共働き)、子2人(3歳、6歳)
ファイナンシャル
プランナー
住宅ローンの利息を軽減する方法としては「繰上返済」で元金を前倒して返済しその分の利息を削減する方法や、より金利の低い金融機関への「借り換え」をすることなどが挙げられます。
「繰上返済」の場合は手元の資金の一部を手放す必要がありますし、「借り換え」の場合は再度審査を受けるなどの手間も必要です。そのため「借り換え」の候補や条件を調べたらその内容を元に、現在融資を受けている金融機関に相談してみるという方法もあります。
必ずしも要望通りになるとは限りませんが、既に取引のある金融機関の条件が緩和される方が手間も少なくなり、有利です。他の金融機関に借り換えた場合にどのくらい得になるかを頭に入れて交渉に臨んだ方が話が進めやすくなります。
シミュレーションしてみましょう
借り換えした場合にどのくらいの利息軽減効果があるかチェックします。借り換え以降の【総支払額】欄の()内の数字がほぼ0万円(借り換えだと効果がほとんどない)になる金利でも、現在の金融機関でその金利まで下がれば有利になるケースもあります。
借り換えシミュレーション
執筆者:風呂内亜矢
利率が上がっても変動金利から固定金利に借り換えるメリットはあるのでしょうか。
年収500万円、妻と子供1人の3人家族です。現在、変動金利で融資を受けていますが、今後金利が上がるかもしれないと不安です。固定金利での借り換えは利率は上がってしまいますがメリットはありますか。
夫(38歳・会社員・年収500万円)妻(35歳・専業主婦)、子1人(5歳)
ファイナンシャル
プランナー
金利が上昇する際は、固定金利の利率の方が先に上がる傾向があります。そのため、変動金利で利率が高くなったと感じてからの借り換えの場合、既に固定金利の利率が上昇してしまっているケースも考えられます。
そうした理由から金利が上昇する可能性が高いと感じて不安なのであれば、固定金利への借り換えを検討することは有効といえます。変動金利に比べて固定金利の方が利率が高いとはいえ、現在の金利はとても低い水準になっているため検討する価値も高いでしょう。
また、固定金利でも全期間固定などを選択すると以降の返済額が決まります。お子さんが高校生、大学生となる時期は家計に占める学費の割合も高くなるため予め貯蓄をして備えたいものです。返済について先が読めれば高校生、大学生になる頃に向けた学費の確保も計画を立てやすくなります。
シミュレーションしてみましょう
5年前に2,500万円を変動金利で借り入れていたケースで試算してみましょう。今後の金利がどのように推移すると考えるかで借り換えによって節約できると予測される金額が違ってきます。節約できるとされる金額と、返済金額を確定できる安心を比較して検討することになります。
借り換えシミュレーション
さらに詳しい条件でシミュレーション
執筆者:風呂内亜矢
変動金利は半年毎に金利が見直しだと思うのですが、
借り入れて3年間返済金額が変わっていません。
変動金利で住宅ローンを借りています。確か金利は半年毎の見直しと説明を受けたように思うのですが、返済開始から3年経った現在でも当初の返済額と変わったことがありません。何か誤解をしているでしょうか。
男性(29歳・独身・会社員・年収500万円)
ファイナンシャル
プランナー
変動金利でローンを借りた場合、金利については半年毎、返済金額については5年毎に見直されるケースが多いです。5年間は返済金額は変わりませんが、半年毎の金利の変動にともなって毎月の返済金額の元金と利息の割合が変わっています。金利が上がっている場合は元金が減るスピードが予定よりも遅くなります。結果的に5年後の金額見直しの際に月々の返済額が増えることになります。
一般的に金利水準が上がる状況では、変動金利に比べて固定金利の方が先に金利が上がります。もしも変動金利の動向を確認したり、金額見直しの際に計画的に繰上返済をすることが難しいようであれば、低水準のうちに固定金利のプランを検討することも有効です。
シミュレーションしてみましょう
今後の金利がどのように推移すると考えるかで借り換えの選択肢が変わります。3年前に変動金利1%で2500万円の借入をしていると仮定していくつかのパターンで借り換え効果を考えてみましょう。
借り換えシミュレーション
さらに詳しい条件でシミュレーション
執筆者:風呂内亜矢