総評・受賞製品一覧

革新性のあるプロダクトが不在の中で、安定のブランドが再評価された1年

ここ数年の「価格.comプロダクトアワード」を見ていて思うのは、あまり大きな波乱がないということだ。当アワードは、価格.comユーザーの皆さんによる日ごろの製品購買行動の中での製品評価をベースにしている。そのため、思いもよらなかったような製品が、実は高い評価を得ていて、各カテゴリーでの金賞や大賞に突然選出されることもよくあるのだが、最近はそうしたサプライズも少なくなった。上位に選出されるのは、いわゆる定番的な製品が多くなっており、ある意味では、市場が熟成し、消費者の選別眼が肥えてきたとも言えるが、そのいっぽうで、技術的にあっと思うような革新的なプロダクトや、驚きの高コスパ製品といったものが、年々少なくなってきているのも事実だろう。

今年の大賞製品の顔ぶれを見ても、やはり、ここ数年のこうしたトレンドは強く感じられる。ほとんどの大賞製品が、いわゆる定番メーカーのプロダクトであり、ブランド力の強いメーカーの定番製品が、多くのユーザーの高い評価を得たという印象だ。このことを裏返すと、今年1年で登場したプロダクトの中には、驚くような革新性のある製品はほとんどなかったということも言えるだろう。こうした市場状況の中では、相対的に、安定したブランドの製品が強さを発揮する。

たとえば、パソコン部門とタブレット部門では、どちらもアップルの「MacBook Air Retinaディスプレイ 1600/13.3 MRE92J/A」と「iPad mini 7.9インチ 第5世代 Wi-Fi 64GB 2019年春モデル」が大賞に選出されているが、パソコンもタブレットもここ数年、新規性のある個性的な製品は出てこない状況が続いている。そんな中で、ほかとは違う個性を発揮できたこの2製品が、相対的に浮かび上がってきたと言える。

また、カメラ部門とカメラ周辺機器部門では、こちらも、いずれもニコンの「Z 6 ボディ」と、その専用レンズ「NIKKOR Z 14-30mm f/4 S」が大賞に選出された。昨年から加速してきたフルサイズミラーレスカメラおよびその対応レンズの受賞という意味では、時代のトレンドをしっかりとらえた結果となったが、デジタルカメラ市場自体がやや縮小傾向にある中で、全体的に話題性に乏しかったことを考えると、こちらも新規性というよりは、やはりニコンというブランドの安定性と、完成度の高さが評価されたという側面が強い。

自動車部門で大賞に選出されたトヨタ「RAV4」も、懐かしの元祖SUVのリバイバルという側面が強いし、ゲーム部門で大賞に選出されたセガ「メガドライブミニ」などはまさにリバイバル製品の代表格だ。これらの製品が高く評価された背景には、新規性をともなった製品がこれらのジャンルではあまり登場しなかった、という背景が見え隠れするようだ。

いきなり辛めの論評になってしまったが、もちろん上記にあげたようなプロダクトは、個別に詳しく見ていけば、細かな点で新規性もあり、その完成度もきわめて高い。だからこそ、多くのユーザーが高く評価したのだが、ここ1年で発売された製品に限って言うなら、例年ほどの新規性を持ったプロダクトが全体的に少なめであり、その中で相対的に浮かび上がってきた製品という印象のほうが強い。ここ数年よく見かけるリバイバル的な流れも含めて、市場全体がやや停滞してきている部分も背景にはあるだろう。

また、今年の社会情勢を振り返ると、アメリカと中国との貿易戦争や、消費税の税率アップなどのややネガティブな出来事が、微妙に日本国内の市場にも影響を与えた面は否めない。その代表格は、何と言っても、スマートフォン部門で大賞に選出されたファーウェイだろう。ファーウェイは、当アワードのスマートフォン部門では2015年〜2018年までの4年にわたってそのプロダクトが大賞に選出された歴史を持つ、価格.com上でも人気の高いメーカーだ。昨年は惜しくも2位に甘んじたが、今年は「HUAWEI Mate 20 Pro SIMフリー」が返り咲いての大賞受賞となった。その魅力は何と言っても、価格を超えたハイスペック、つまり圧倒的な高コスパにある。「HUAWEI Mate 20 Pro SIMフリー」も、10万円を超えるハイエンドスマホの中にあって、7万円台からという値付けでありながら、Leica監修のトリプルカメラを採用し、カメラ性能では他者を寄せ付けないほどの高性能さを身につけた製品として高い評価を得た。残念ながら、今年5月以降のアメリカからの制裁措置によって、今夏発売以降の製品ではこれまでのような人気を得られずにいるが、昨年11月発売の本製品については、ユーザーからの正当な評価を得ての受賞となった。

このほか、10月からの消費税増税に関連した駆け込み需要で大きく販売を伸ばしたひとつが、ドラム式洗濯機である。生活家電部門で大賞に選出された日立「ヒートリサイクル 風アイロン ビッグドラム BD-SX110CL」は、もとより価格.com上では人気の高い製品であったが、今夏の駆け込み需要の増加を受けて人気が拡大。定評のある洗浄力や「風アイロン」機能などが、実際に買って使ってみたユーザーからの評価を得て、大賞に選出された。

また、約1年前の2018年12月よりスタートした「新4K/8K衛星放送」によって、2019年は4Kチューナー搭載の大型テレビがよく売れた年となったが、4Kチューナーを搭載していない従来の4K対応テレビを所有しているユーザーからの需要が増えたのが、4Kチューナーを搭載するブルーレイレコーダーである。このジャンルでは他を寄せ付けないほどの人気を誇るのがパナソニックだが、その中でも、比較的手ごろな価格で購入できる「おうちクラウドディーガ DMR-SUZ2060」が大賞に選出された。このあたりも、今年ならではの世相を反映した結果と言えるだろう。

このほか、オーディオ部門では、今年大きく市場が拡大した完全ワイヤレスイヤホン製品の中から、昨年のアワードでも大賞に選出されたBang&Olufsenの後継機「B&O PLAY Beoplay E8 2.0」がふたたび大賞に選出された。この分野では、ソニーの「WF-1000XM3」が今年かなりの人気を得ているが、この製品を上回る高評価をつけた「B&O PLAY Beoplay E8 2.0」の完成度はなかなかのもので、いかにも本アワードらしい受賞結果と言える。

また、eスポーツなどの広がりとともに、日本市場でも脚光を浴び始めたPCゲームに関連して、パソコン周辺機器部門では、MSIの34型の湾曲型ディスプレイ「Optix MAG341CQ」が大賞に選出された。ユーザーをぐるりと取り囲むような湾曲ディスプレイ、しかも34型という大画面でゲームに没入しやすい本製品は、6万円を切る低価格を実現したこともあって、パソコンに新たな楽しみを見いだそうとする多くのユーザーに高く支持された。パソコン市場自体は、前述のように完全にコモディティ化しており、プロダクトの個性を打ち出しにくくなっているが、その中で、本製品も属する「ゲーミング」という分野だけは、さまざまな個性を持った目新しい製品が発売されている。そうした流れを受けての本製品の大賞選出は非常に意義深い。

全体としてはややサプライズに欠けた、ある意味で安定したブランドの製品が多く選出された今回の「価格.comプロダクトアワード」だが、総じて見ると、2019年という時代の世相を強く反映した結果となった感じが強い。結局のところ、市場的にやや停滞感が漂う市場状況の中で、消費者が選び、そして高く評価するプロダクトというのは、比較的定番と言われる製品であるということになるのだろう。いいニュースも悪いニュースもいずれも多かった2019年であったが、来年こそは、やや停滞した感のある時代の殻を打ち破るような、新規性の強いワクワクするようなプロダクトの登場を心待ちにしたい。

株式会社カカクコム
執行役員
価格.com本部副本部長
鎌田 剛

パソコン部門

タブレット部門

パソコン周辺機器部門

パソコンパーツ部門

映像部門

オーディオ部門

調理家電部門

空調家電部門

生活家電部門

カメラ部門

カメラ周辺機器部門

スマートフォン部門

自動車部門

カー用品部門

ゲーム部門

このページの上へ戻る