キヤノンマーケティングジャパン株式会社
イメージコミュニケーション企画本部
カメラ商品企画第一部
チーフ
佐野 昌宏さん
佐野さん - 本製品を実際に使っていただいたお客様に高く評価いただいたということは、非常にうれしく思います。
佐野さん - 高級シリーズであるキヤノンの「Lレンズ」は長く使っていただくことを前提としているライフサイクルの長い製品で、発売から20年くらい経っているものもあります。発売の時期に関しては、その時々でお客様に求められているものや、市場の状況などを考えながら、いいタイミングというのを考えて決めていますが、このレンズに関しては、お客様からの「I型をリニューアルしてほしい」というご要望は非常に多かったですね。
プロダクトアワード2015 カメラ周辺機器部門 大賞を受賞した「EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM」
佐野さん - 完成度という面でもそうですが、やはり「画質」がもっとも評価されたポイントかなと思います。
デジタルカメラも5000万画素を超える高画素機が登場してきて、レンズに対しても、中心から周辺までピントがバシッと合う解像力というのが求められてきました。今、撮影した画像をパソコン上で等倍で見るという鑑賞法も増えてきていまして、そうなると、本当に隅々までチェックするんですよね。そうした画質にこだわる方々に対しても、本製品は非常にご満足いただけたのかなと思います。
もうひとつは、発売したタイミングですが、ちょうどこのレンズを発売する少し前に、「EOS 7D MarkII」というデジタルカメラが発売されました。このカメラは、飛行機や野鳥や鉄道などに代表される、いわゆる動きものの撮影を趣味とする方に向けて強く訴求するような内容で売り出したのですが、まさにそうしたターゲットの方に合致したレンズだったということが大きかったと思います。「EOS 7D Mark II」を購入した方が、このレンズを一緒にご購入されたという例も多かったです。
「EOS 7D MarkII」とほぼ同時期に発売されたタイミングもよかったと語る佐野さん
佐野さん - 実は、「日本野鳥の会」と組んでイベントなども行いました。全国のいくつかの支部で行われている撮影イベントにお邪魔して、このレンズをお試しいただいたりもしました。実は野鳥の撮影を趣味にされている方の中には、お歳を召した方も多いんですが、これよりも長い500mmとか600mmのような超望遠レンズもお持ちなんです。ただ、そうしたものと比べると、このレンズは非常に機動性も高くて、これまでと違った撮影ができるのがいい、というような声も聞いています。
「EOS 7D Mark II」との組み合わせで高く評価する声も多く見られた
佐野さん - それもありますが、これまで超望遠という分野に足を踏み入れなかった新たなユーザーさんの層が広がっているんだと思います。
佐野さん - 一番こだわったのはやはり画質で、ゴーストやフレアを抑えるために、コーティングなども非常に気を遣いました。このモデルでは、キヤノンのEFレンズでは初となる「ASC」という特殊なコーティングを施していまして、ゴーストやフレアをかなり抑えることができています。
実は、2014年〜2015年にかけては、「キヤノン初」とか「世界初」とか「世界最広角」とか、キヤノンのレンズは初物づくしだったんです。新しい技術を詰め込んだレンズがたくさん出てきた年だったんですが、その先駆けとなったのが、このレンズでした。
新しい技術を詰め込んだレンズの先駆けとなった「EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM」
佐野さん - 手ブレ補正に関しては前モデルは2段でしたから、その倍の4段になっていますしね。手ブレ補正はかなり効きます。そういう基本的な設計のレベルはもちろん全て上げています。
それと、前モデルでは、ズームの方法が直進型だったのですが、剛性面などを考えて本モデルでは回転型にしています。さらにそのトルクを自由に調整できる調整リングで微調整が行えるようにもしました。このあたりもこだわったポイントですね。その他細かなポイントもあります。たとえばレンズフードですが、フードを付けたまま、偏光フィルターを回転させられる窓をつけたり、レンズをカメラに装着したまま、三脚座が取り外せるといった、細かい点まで気を配って開発しています。
佐野さん - そうですね。直進型のほうがスピーディーにズームできるのはいいんですが、微調整がしづらかったので、慣れてくるとこちらのほうがいいという意見はプロカメラマンの方々からも聞きます。
佐野さん - キヤノンとしては「撮影領域の拡大」ということを言っていますが、「これまで撮れなかったものが撮れる」というレンズをこれからも開発していきます。また「キヤノン初」「世界初」という製品がいっぱい出てくればいいなと思っていますし、皆さんのご期待に添えるよう頑張っていきたいと思います。
プロダクトアワード2015 カメラ周辺機器部門 大賞 記念楯の贈呈
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