ASUS JAPAN株式会社
マーケティング部 部長
シンシア・テンさん
マーケティング部 システムプロダクトマーケティング
シニアマーケティングスペシャリスト
福島 美穂さん
システムビジネス部 プロダクトマネージメント
テクニカルプロダクト シニアマネージャー
西 康宏さん
コンシューマー事業部 リテール営業1課 課長
鈴木 直幸さん
福島さん - まずは、この度このような賞をいただけたということで、非常にうれしいです。
この「EeeBook X205TA」という製品については「タブレット時代の新しいコンセプトのモバイルPC」ということで、とにかくタブレットのように手軽に使っていただけることを考えて開発しました。
カバンにサッと入るコンパクト&スリムなボディで、ストレージは32GBのeMMCのみ。後はクラウド使用を前提として使っていただくことを前提に作った製品だったので、発売当初はやや不安もありましたが、結果としては、非常にいい評価をいただけてよかったです。
プロダクトアワード2015 パソコン部門 大賞を受賞した「EeeBook X205TA」
西さん - 実はこの「EeeBook X205TA」は、通常の11インチモデルに比べてもひと回り小さくできているんです。開発当初から、「持ち運びしやすいコンパクトボディ」というコンセプトでしたので、可能な限り最小化しようといろいろ工夫しました。特に苦労したのはベゼルです。これまでの11インチクラスよりも幅を1cmほど小さくするために、中に入っている金具などもリデザインしています。また、高くご評価いただいたキーボードに関しても結構頑張っていまして、ボディは極力小型化しながらも、キーストロークで1.6mm、キーピッチで18.4〜5mm程度をキープしています。
こうしたことを実現するために、パソコンの内部構造も見直しています。本機では、CPUにAtomを採用していますが、さらにメモリーは直付けし、ストレージにeMMCを採用することで、ファンレスを実現でき、それで全体の厚みを抑えることができました。
可能な限り最小化しようといろいろ工夫したと語る西さん
西さん - また、バッテリーも、通常はスクエアな形状で組み込みますが、本機の場合、L字型に曲げて入れています。その分、メインボードをバッテリーと離すことができ、空間を稼げました。ただ、こうするとインターフェイス類が左右のどちらかに寄ってしまいます。これだと利便性が悪いので、小型のI/Oボードを使って、左右にインターフェイスを出せるようにもしました。コンパクトなボディにこれだけのものを入れ込むのには苦労しましたが、そのおかげで何とかこの本格的なキーボードを採用することができました。そこが評価されたのはうれしいですね。
このほか、実はタッチパッドにもこだわっています。弊社の場合、タッチパッドの大きさにはある程度余裕を持たせていますし、どの製品にもスマートジェスチャーというユーティリティーを入れて、マルチフィンガー操作に対応させています。モバイルノートだからこそ、ほかの機器を持ち歩かなくていいように、キーボードとタッチパッドという入力デバイスにはこだわって設計しています。
ちなみに、このタッチパッドは、弊社のスマートフォン「ZenFone」と連携することで、ZenFoneをタッチパッド代わりに使ったりということもできるので、なかなか便利なんですよ。
入力デバイスは特にこだわって設計された「EeeBook X205TA」
福島さん - やはり、ノートパソコンって生産性が大事だと思うので、その生産性を阻害しちゃいけないということで、このあたりの入力デバイスには、かなりこだわっていますね。
西さん - あとスピーカーについても結構こだわっています。今お話ししたように、かなり物理的なスペース制約がありますので、ステレオスピーカーも実は左右対称にはなっていません。そこをいかに違和感がないよう聞こえるか、細かくチューニングしたりしています。ノートパソコンの場合、得てして楕円形のスピーカーになってしまうことが多いのですが、本機の場合きちんと円形のスピーカーを搭載しているのも特徴です。あまり評価されてないのが悲しいんですけどね(笑)。
シンシアさん - 2007年に発売した「EeePC」は、「簡単に学ぶ、働く、遊ぶ」という「お気軽PC」とでもいうようなコンセプトで作られ、誰でも買えるパソコンとして、日本はもちろん、世界中で受け入れられました。日本のノートパソコンのメインストリームは今でも15.6インチクラスの据え置き型ですが、ASUSは、この「EeePC」の頃から、11〜12インチクラスのモバイルノートに一番力を入れてやってきましたし、このカテゴリーにおけるシェアは決して少なくはないです。むしろ得意と言ってもいいと思います。
11〜12インチクラスのモバイルノートには一番力を入れてきたと語るシンシアさん
福島さん - ASUSはパソコンもタブレットもスマートフォンも作っていますし、あまりデバイスを分けて考えることはしておらず、あくまでも、お客様がやりたいことに合う製品をあらゆるラインアップで提供するということが重要と考えています。
「EeeBook X205TA」は、確かに中身的にはタブレットに近い製品ですが、タブレット用のCPUが進化したおかげで、パソコンとしても使えるようになったというところが大きかったと思います。
タブレットは今どんどん伸びてきていますが、生産性という面で見ると、まだノートパソコンのほうがすぐれています。そうしたタブレットの気軽さと、ノートパソコンの生産性とがうまく重なるようなところに、この製品がうまく合致したのかなと思います。
あらゆるラインナップからお客様が選べるようにすることが重要だと語る福島さん
西さん - 省電力化もありますが、ある程度大容量のバッテリーを搭載できたということが大きかったと思います。先ほども申し上げたような内部構造の工夫のおかげで、38Whというこのサイズとしては大きめの容量をキープできました。
福島さん - モバイルノートとして考えた場合に、お客様の求める要素すべて、たとえば軽さ、薄さ、バッテリー、入力の操作性などは満たせるように考えました。逆に言えば、こうした要素を満たしていないとモバイルノートとは言えないと思います。
軽さ、薄さ、バッテリー、操作性などの要素を満たすよう設計されたモバイルPC
福島さん - そうですね。逆にターゲットがあまりないというか、若い人からご年配の方まで、いろいろな方に使っていただける製品だったかなと思います。女性の場合、あまりパソコンで家のスペースを取られたくないという方もいらっしゃいますが、そうした方にもこのコンパクトさが受けたんじゃないかと思いますね。
鈴木さん - 通常、ASUSの製品は男性ユーザーが多いのですが、この「EeeBook X205TA」に関しては、女性の方からもかなりお買い求めいただきましたね。
西さん - ボディの仕上げの部分でも、素材はプラスチックなんですが、つや消しのペインティングをして高級感があるように仕上げています。こういう仕上げは、この価格帯の製品では珍しいと思います。
デザイン面でも老若男女いろいろな方に使っていただける製品だと語るご担当者
シンシアさん - ASUS会長のジョニー・シーは、ASUSという会社を作ったときに「小さくて美しい会社を作りたい」と思ったそうですが、その信念をずっと貫いてきたということです。ASUSは今でも本社内に開発チームとデザインチームの両方を持っていますが、これはASUSだけの特徴かもしれません。
また、会長のジョニーはよく「社員はみんなダヴィンチになるべき」とも言っています。これは、右脳と左脳の両方を使うべきという意味ですが、エンジニアはデザイナーの、デザイナーはエンジニアの考えをより理解して、すぐれた製品を世に出していくというのが、ASUSのポリシーになっています。
特に、スマートフォンやタブレットのようなガジェットは、身につけて毎日使うものですから、あまりガジェット的なデザインは好まれませんよね。そうしたいかにも工業製品的なデザインではなく、ひとつのファッションアイテムとして使っていただけるようなデザインを心がけています。
ファッションアイテムとしてのこだわりが見られるASUSの製品(写真はスマートフォンZenFone)
福島さん - 今後もいろいろ時代の変遷はあると思いますが、私たちはデバイスの形にこだわっているわけではなく、本当にユーザーさんの役に立つ製品を出していきたいというのが信念ですので、これからもよろしくお願いします。
シンシアさん - 「In search of incredible.」(挑め、想像を超えたその先へ。)というASUSのキャッチコピーの通り、ASUSは今後も想像を超えた先へ挑戦していきます。これからも期待してください。
プロダクトアワード2015 パソコン部門 大賞 記念楯の贈呈
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