華為(ファーウェイ)技術日本株式会社
副社長
端末統括本部 統括本部長
呉 波さん
呉さん - 弊社が日本市場に参入してから10年が経ちますが、今回初めて大賞をいただくことができ、本社のほうでも話題になっています。
弊社は日本のSIMフリー市場に対しても、他社に先駆け、1年半前から取り組んできました。やはり、SIMフリーと言えば「ローエンド、ローコスト」と言われる中で、弊社としてはそうではなく、あくまでもユーザーエクスペリエンスと、製品の品質、ともにベストなものを提供していきたいと考えてきました。今回この「Ascend Mate7」がこのような賞を受賞したということは、まさに弊社が初めから目標としていたものに沿った形になったということで、非常にうれしく思っています。
また、今回はこの「Ascend Mate7」が受賞したわけですが、これは弊社とパートナー企業とがともに受賞したようなものだと考えています。というのも、弊社のスマートフォンに使われている部品の50〜70%は、日本のメーカーから調達しているからです。たとえば、ディスプレイはジャパンディスプレイ、カメラやバッテリーはソニーから提供を受けていますが、これら日本の企業と緊密にやり取りを行いながら最終的なスマートフォン製品を作り出しているのです。そういう意味では、Huaweiというプラットフォームを通して、日本のすぐれた技術を世界中にご紹介させていただいているとも思っています。
プロダクトアワード2015 スマートフォン部門 大賞を受賞した「Ascend Mate7」
呉さん - 私は日本に来て5年になりますが、よくメディアの方から「日本市場での目標は何ですか?」と聞かれます。その際にはよく「日本市場での目標は生き残ることです」と申し上げています。確かに、日本のスマートフォン市場というのは、技術の先進性もありますし、ビジネスの複雑性もあり、世界的に見ても非常に難しい市場だと思います。
弊社は、過去2年間、グローバル市場にも進出し頑張ってきましたが、昨年1億800万台の端末を出荷し、世界のスマートフォン市場ではNo.3の地位を確立することができました。日本市場においても、堅実にステップバイステップで取り組んでいきたいと考えています。そのためには、スマートフォンのデザインと品質をともに上げていって、日本市場に浸透していかないといけません。広告などで一時的に話題になることは可能ですが、製品の品質がともなわないのでは意味がない。最終的には、やはりエンドユーザーの方々にしっかり認めてもらうということが、長期的に見た、弊社の生き残りに大きく影響してくると思います。
それとともに、エンドユーザーにとって肌で感じられるようなメリットのあるサービスを投下することも大事だと考えています。今年は、サービスの体験ショップを開く予定です。すでに昨年2015年の9月から、アフターサービスの一環として、故障機を無償でご自宅まで引き取りにいくというサービスを開始していますし、今年からは修理期間中の代替機をご用意するというサービスも開始する予定です。こうした取り組みによって、従来、三大携帯キャリアから受けていたものに勝るサービスをご提供して、ユーザーの満足度を上げていきたいと思っています。
最終的にはエンドユーザーにしっかり認めてもらうということが重要だと語る呉さん
呉さん - 1つめのポイントは、バッテリーの持続時間だと思います。「Ascend Mate7」のチップセットは弊社の子会社が作っているのですが、すでに20年間チップセットを作ってきたことによるノウハウがあります。このため、非常に電力消費効率のよいチップセットが製造できたことがポイントです。多くのスマートフォンがまだ1日ごとに充電しなくてはいけないという中で、弊社の製品はより長いバッテリー駆動を可能にしていますので。やはり、バッテリー駆動時間というのは、エンドユーザーにとってももっとも重要なニーズと捉えています。
驚異的なバッテリー持ちのよさを評価する声が数多く見られた
2つめのポイントですが、処理の速さかと思います。この「速さ」というのは、たとえばブラウザーの起動や、アプリの起動、写真のアップロード、指紋認証によるロック解除など、さまざまなところで実感いただけると思います。ちなみに本機の後継モデルとなる「Ascend Mate8」では、16nmプロセスのプロセッサーを搭載し、AnTuTuベンチマークでも95,000点というスコアを叩き出しています。他メーカーのフラッグシップモデルでも60,000点くらいですから、相当高速であることがわかるかと思います。
今あげた、バッテリーと速さというこの2つのポイントは、今後も上位モデルだけでなく、ミドルレンジの「HUAWEI P8lite」や「Ascend G620S」、さらにはもっとローエンドの製品にまで広げていきたいと考えています。これらは総じて、先ほど申し上げたユーザーエクスペリエンスの向上ということにつながっていきますので。
そして、3つめのポイントは、写真だと思います。弊社のスマートフォンの場合、単にカメラの画素数が高いということではなく、撮影機能に関するアルゴリズムがすぐれているんです。弊社では600人ほどの研究者がこうしたアルゴリズム研究を行っており、今年中にアップルの「iPhone」よりもすぐれたカメラ機能を搭載したフラッグシップモデルを投入する予定です。手前味噌ですが、これまでになかったような撮影体験ができるすぐれたスマートフォンになると思いますので、ご期待ください。
呉さん - 「Ascend Mate7」は6インチの大型液晶を搭載したモデルですが、他社の5.5インチモデルとほぼ同サイズのコンパクトボディを実現しています。ベゼルも非常に狭く、画面占有率は実に83%にものぼります。また、背面の曲面を描いたメタルボディですが、これは手に取ったときの質感なども非常によくできています。同時に発熱についても非常に抑えられています。製品によっては、発熱による問題が話題になったりしていますが。
さらに実は、この製品はメタルボディではあるものの、通信効率も非常に高いんです。弊社では、携帯電話用の基地局向けの通信機器も多数手がけていますが、そのあたりのノウハウから、通信感度が高く、無線接続に強い製品が作れるのも特徴なんです。
6インチの大型液晶を搭載しながらも他社の5.5インチモデルと同サイズのコンパクトボディを実現
呉さん - 6インチモデルの「Ascend Mate7」がここまでコンパクトにできた大きな理由は、まず部品の選定があります。開発段階からかなり時間をかけて、部品の選定をしっかり行ってきました。これも弊社の特徴のひとつですが、年間の売上げの10%程度を研究開発に投資しています。日本でも2013年に横浜に端末の研究開発センターが設立しました。なお、2013年に研究開発に投じた金額は68億ドル(約8000億円)でした。これは、その年の売上げの14%を占めています。ちなみにこの金額は、弊社以外のすべての中国のIT企業の研究開発費を合わせたものよりも高い数字です。ですので、1つの成功した製品を作り出す裏には、かなりの人数の研究者や専門家などが動いているのです。
なお、現在、世界中に16か所の開発研究センターがあるのですが、各センターはそれぞれの国や地域の特徴に合わせて特化されたものになっています。たとえば、ロシアの研究所ではアルゴリズムの研究に特化していますが、これはロシアが数学の分野ですぐれているためです。本機に搭載される写真のアルゴリズムも、すべてここで研究・開発されたものです。
日本の場合は、材料、金型、デザインといった部分の技術がすぐれていますので、日本ではこうした分野に特化した研究・開発が行われています。同様に、アメリカのシリコンバレーでは約600名の開発者が無線技術の研究・開発を、インドではソフトウェアに関する研究・開発を行っています。
それぞれの国や地域の特徴に合わせた研究・開発により高品質な端末が誕生する
(写真は国内未発売モデル)
呉さん - まず、買い物をする前には一度、価格.comにアクセスして、いろいろ見比べて検討してください(笑)。私も、家電製品や生活用品など、必ず価格.comを見るようにしています。中国や台湾にも同様の比較サイトはありますが、価格.comのような便利なサイトがあるということは、日本のユーザーにとって非常に幸運なことだと思います。今回この賞を受賞したことを、日本の友人達に言うと、みな声をそろえて「それはすごいね!」と言います。それだけ、皆さん、価格.comを使っているということで、今回の受賞も非常にうれしく思っています。ありがとうございました。
プロダクトアワード2015 スマートフォン部門 大賞 記念楯の贈呈
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