2000年式 エグザンティア SXの、私の個人的なレビューです。所謂後期型(X2RF 1998〜)となりまして、前期型(X1RF)とは違いますので、予めご了承下さい。
【これから乗る人のために】
私は、2022年にこの車を購入しました。その後、私が経験したことは、これから後期型エグザンティアに乗る人の参考になるであろうと思い、ここに列記いたします。
1)クランクプーリーの交換
クランクプーリーの中のゴムのダンパーが経年劣化で擦り減って、滑ってしまいます。かなりの騒音を出し、ベルトを回せなくなってしまいますので、オルタネーターの発電不足、ハイポンプの圧力不足となって、最悪走行不能
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に陥りますので、未交換の個体は、交換必須です。参考部品代:2万円+工賃
2)ブレーキコントロールバルブの交換
ブレーキペダルの付け根にあるゴム状の部品が、経年劣化により割れ、運転席足元にLHMが溢れてきます。もちろん、LHMが抜けてしまいますので、最悪走行不能に陥ります。この症状の前兆としては、停車時などでブレーキペダルを踏んでいる時に、ペダルにポンプの脈動(トトトト…)のようなものを感じます。未交換の個体は、すぐに交換することをおすすめします。参考部品代:5万円+工賃
3)イモビライザーの電解コンデンサー
この車は、キーを差し込んでイグニッションの手前まで回すと、キーのICを認識してイモビライザーが解除され、はじめて燃料ポンプから燃料が送られます。イモビライザーの電解コンデンサーが劣化すると、これが解除されなくて燃料ポンプが作動せず、エンジンが全くかからなくなります。特に寒くなると症状は顕著で、前兆としては、室内灯がカチカチする、リモコンキーでロックが解除されない、などがあります。未交換の個体は、交換必須です。参考部品代:1万円+工賃
上記の症状は、全て即不動車に繋がる症状ですので、これから後期型に乗りたい人は上記が交換済みであるか、未交換であれば、納車前に交換をお願いすることをおすすめします。
と、最初にこの車に乗ることを忌避するようなことを書いてしまいましたが、逆に言えば、これさえ交換してしまえば、非常にいい車ですので、以下から、この車のレビューを書きます。
【スペック】
全長×全幅×全高4525×1755×1400mm
トレッド前/後1500/1455mm
ホイールベース2740mm
車両重量1350kg
エンジン水冷直列4気筒DOHC
総排気量1998cc
内径×行程86.0mm×86.0mm
圧縮比10.4
最高出力130ps(97kW)/5500rpm
最大トルク18.7kg・m(180N・m)/4200rpm
燃料供給装置電子制御燃料噴射装置
燃料タンク容量65リットル
使用燃料無鉛プレミアムガソリン
サスペンション形式(前)マクファーソンストラット
サスペンション形式(後)トレーリングアーム
最小回転半径5.6m
【ラゲッジスペース】
トランク容量は480Lで、非常に広く使い勝手がいいです。また後席を倒せば、878Lまで拡大できます。また、この車は後部のハッチがガバッと大きく開きますので、(アウディA5やBMWグランクーペのように)荷物の出し入れが非常にしやすいと思います。
【加速性能】
0-100q/hは10秒くらいだし、数値を見ると130psに過ぎないのですが、普段使いには必要十分で、トルコンが滑らかに発進をさせ、ハイギヤードとあいまって、速度が乗ってくるほどグングン加速する印象があります。馬力の割りには、100q/h以上の高速域が意外に伸びます。
【乗り心地】
1)ハイドロニューマチック
普通の車から乗り替えると、まず地面を這うような、路面に食いつく印象があります。そして、高速域に入ると振動が減って、スーッとどこまでも走るような印象があります。
よく魔法の絨毯と形容されますが、私は20年以上経った個体しか乗ったことがないので恐縮ですが、かなりハーシュネスがあるという印象です。
段差などを乗り越える時、ダダーン!と、びっくりするくらいの衝撃があります。これは、SXは昔ながらのハイドロニューマチックで、ロールを抑制する機能はありませんので、かわりに強力なスタビライザーがついているからで、ハイドラクティブには当てはまらないことだと思います。
2)シート
大ぶりで沈み込むソファのようなシートです。非常にリラックスして運転できます。
3)ギヤ比
ハイギヤードで、100q/lを2000回転程でこなします。しっかりとトルクも出ていて、100km/hからの再加速も余裕で行えるので、ストレスを感じることなく運転できます。
4)ホイールベース
2,740mmという驚異のロングホイールベースにより直進性は高いです。前輪のキャスター角はそんなに大きいわけではありませんが、ホイールベースにより直進性を出している感じです。
上記の4点により、特に高速道路において、疲労を感じることなく運転できます。
【ステアリング】
ロックトゥロックはちょうど3回転です。低速走行時のハンドルは、現代の車に比べれば、かなり重いと思います。走行中はしっかりとした手ごたえがあって、むしろ好印象です。
【燃費】
街乗り9q/Lくらい、高速道路15q/Lくらいです。高速ツアラーなので、このような燃費になるのだと思います。
【信頼性】
シトロエンなので、故障が心配ではないかという意見がちらほら散見されますが、20年以上前の車は国産も同様に経年劣化しますので、とりわけシトロエンが壊れやすいとは思いません。経年劣化したパーツさえ更新してしまえば、よく走ってくれます。いまのところ、出先でJAFを呼ぶような経験は、国産車ではありましたが、シトロエンではありません。
【価格】
中古ですが、車両本体で100万円以下。そこに整備代がかなりかかりました。
【総評】
とてもいい車だと思います。少なくとも、この車が好きで乗りたい人は満足できると思います。私もそのうちの一人です。